利用者満足度No.1のナビアプリ、「MapFan」シリーズ…創意工夫がもたらしたユーザー目線アプローチとは

テクノロジー レスポンス

世の中に数え切れないほど存在するスマホ向けナビアプリ。そんな中で、イードが主催する利用者満足度調査「モバイルアワード2014」の「交通系アプリ部門[有償]」において最優秀賞を獲得したのが、インクリメントPの地図ナビアプリ『MapFan』だ。ユーザーに高い満足度をもたらすための取り組みについて、インクリメントP第二事業部ソリューション企画部 部長 米澤秀登氏に話を聞いた。

◆設立20周年の節目で受賞

今や地図情報はスマートフォンやタブレットの普及により、出掛けた先でも手軽に得られるようになった。その範囲はコンシューマだけでなく、企業向け用途にも広がりを見せ、その適応範囲は拡大する一方だ。そんな多種多様な業界での用途を重視しつつも、米澤氏はオフライン地図ならではの有効性を前面に打ち出し、同社の主力となるスマホ向けナビアプリ「MapFan」シリーズを市場に送り出した立役者でもある。

「地図のデザインや配色をiOSとAndroid向けそれぞれに特色を出したのが評価されたのだと思います。インクリメントPは昨年、設立20周年を迎え、PC用のアプリを手掛けてからとしても来年で20年目を迎えます。それを記念する数多くの事業計画を持つ中で、その弾みとなる有り難い受賞となりました」。米澤氏は、最優秀賞を受賞した感想をこう述べる。

◆「オフラインで使える」ことの重要性

インクリメントPは現在、カーナビゲーション用アプリだけでなく、スマートフォンでの位置情報サービスとして、コンテンツの開発とサービスそのものを提供する。そうした中、20年に及ぶ蓄積の中で得た一つの結論は、「ネットワークにつながらない場所や電波の弱いところでも変わらず使えるべき」ということだ。

たとえば現在提供しているiOS向けナビアプリ「MapFan+(プラス)」は、オンライン上であれば無料で使えるアプリを基本としている。しかも一部の検索機能は使えないものの、目的地を探せて、そのままルートガイドを受けることも可能だ。つまり、OSに付属するナビアプリに匹敵する基本スペックがMapFan+には備わっているわけだ。それが有償版となると地図のダウンロードが可能になる。実は、ここにこそ米澤氏が述べたこだわりがあった。

「(無料アプリとして)Google Mapsがよく使われますが、それは基本的にWeb上で使うことを基本としているため、ネットワークにつながらない場所など、通信環境が悪い場所では地図情報が見られなくなります。私は東日本大震災が発生した当時、岩手におりましたが、その時ほどスマートフォンで地図を見られることの重要性を感じたことはありませんでした」。同社は東日本大震災の後、MapFan+の前身ともいえるナビアプリ『MapFan for iPhone』をなんと無償で提供している。震災を経験した、この時の思いが改良版である『MapFan+』を生み出すきっかけになったという。

ただ、地図データをスマートフォン内に収録すれば、その分だけストレージに影響を及ぼす。メモリが少ないスマートフォンを使っているユーザーには扱いにくいアプリとなってしまう。そこで、「目的地を探す検索データなどの施設情報は、その都度サーバーにアクセスして使う“ハイブリッド”スタイルにしたのです」。つまり、通信状態が悪くても地図上で現在地が分かり、目的地を地図上で設定すればルートガイドも受けられる。仮にルートをそれても目的地の方向は矢印と直線で示し続ける。これなら非常時の帰宅支援にも役立つというわけだ。

◆地図の見やすさへのこだわりと工夫

今回、ユーザーから高評価を得た理由として、MapFan+の「地図が見やすさ」を第一に挙げている。これには地図を見やすくするための様々な工夫が功を奏したと言っていい。iPhoneシリーズでも採用される「Retina ディスプレイ」などの高精細画面に対応したのをはじめ、地図上に表示する地名や施設名などの配置を最適化。配色にも気を配ることで、誰も自然に受け入れられ、見やすさを感じるデザインとしたのだ。また、ローカルで地図が安定して見られるMapFan+ならでの基本性能が、このメリットをさらに引き立てていることは言うまでもない。

「地図に配置できる文字量には限度があります。その中で必要な注記(地名や施設名)を効率よく配置していかなければなりません。これまでもバランス良く配置する工夫を地図整備部門と細かく協議しながら作ってきました。なかでもGoogle Mapsなどと違うのは、ストリート名の表示方法です。ストリート表示が基本の海外では通りに沿って名称が表示されていますが、たとえば斜めに走る道路上では名称の頭が下に来ることもあるます。日本語だとこれでは読みにくいんですね。そこで、必ず名称の頭を上に来るようにしているんです(米澤氏)」

とはいえ、MapFan+を使っていると、全体として注記表示が小さめに感じることもある。iPadにも対応する仕様となっていることも影響をしていると思われるが、これについて米澤氏は「(注記を)大きくすれば隠れる部分が増えて地図が見にくくなってしまいます。バランスを取って今のサイズにしているわけですが、注記が小さめであるという認識は持っています。今後もバランスの取れた表示に注力していきたいと思っています」と回答した。

地図上の目印として使われるアイコンを見やすくする工夫も行われている。MapFan+では、昨年の暮れには縮尺に応じて表示される注記やアイコンの量を見直し、よりすっきりした表示にした。さらに、ファミリーレストランやコンビニエンスストアなどでは中堅のブランドロゴマークを拡充し、汎用マークでの表示を極力排除している。また、メニュー表示も従来のテキスト表示からアイコンを大型化して、より直感的に選べるようになった。以前はアイコンが表示されていてもその内容まで判別しにくいことがあったわけだが、この改善は今後の成果として間違いなくプラス評価へとつながっていくことだろう。

また、MapFanはAndroid向けにもアプリの提供を行っている。しかし、iOS向けで実現していた仕様はそのまま利用されていない。iOS向けが“ハイブリッド”スタイルとしているのに対し、アンドロイド向けは地図を端末内に格納する“ローカル型”を採用している。そのため、「iOSではストレージ容量が2GB程度だが、アンドロイド向けでは5GB程度が食われてしまう(米澤氏)」状態なのだという。これでは少ない容量でスマートフォンを使っているユーザーにとって負担は大きい。そこで、「20周年を迎えたことを契機に、iOS並みのスペックを持つ次のバージョンも用意したい(米澤氏)」と考えているそうだ。

◆地図サービス会社の技術力を活かしたユニークな取り組みも

ところで、今回の評価は豊富なラインナップを揃えるMapFan全体が評価の対象となっている。その中にはユニークな取り組みもある。代表的なのが『はい!こちらネコ屋台です。by MapFan』。三匹の猫が屋台を残していなくなった飼い主のお兄さんを探して幾多の試練を乗り越えていく中で、様々な出会いがある“屋台育成×位置ゲーム”だ。「世の中に多い猫好きにとって癒されるゲームとしての評価も高い(米澤氏)」という。このゲームは誰もが無料で使えダウンロード数は何と14万を超えたのだという。そして、それが「MapFanの地図を使うための導入としても役立っており、今後は第2・第3弾として様々なアプリを出していけたらと考えている(米澤氏)」と述べた。

スマートフォンのカメラで映し出したAR映像をガイドに使う『MapFan eye』は、「一般ユーザーよりも企業から問い合わせが多い(米澤氏)」という。たとえば地下街や駅構内など、地図データが表示できないような場所でも迷わずに目的の場所にたどり着ける方法として使えないか、との問い合わせだ。「課題はGPSが届かない場所での現在地表示で、Wi-Fiスポットの利用も考えましたが、思うように活かせていないのが実情(米澤氏)」なのだという。ただ、今後の改善次第で思わぬ化け方も期待できる。こうした幅広い取り組みが『MapFan』ならではの大きなステータスとなっていくのだろう。

今後の課題としては、スマートフォン向けナビアプリとして必要な位置精度向上がある。スマートフォンが現在地測位で使えているのはGPSとWi-Fiを組み合わせ程度にとどまる。米澤氏によれば「郊外での利用では現状でほとんど問題なく使えますが、都心などビル街ではマルチパスの影響も無視できなくなります。弊社は既にAndroid向けに加速度センサーを利用するサービスを提供して位置精度向上に成果を上げています。現状ではiOS向けには対応していませんが、何らかの形で展開できないか検討中」だそうだ。

車載ナビゲーションの分野ではAppleの「CarPlay」やGoogleが主導する「AndroidAuto」など、自動車メーカーを巻き込んで新たな流れが生まれようとしている。これに対してはどう対抗するのか。「仮にこれらが普及し始めると弊社としても影響は小さくない。そこで(真正面で戦うよりも)一つのアプリに様々な機能を盛り込まず、単機能を持つアプリが横で連携して必要に応じて機能を追加していく。それがトータルでMapFanシリーズとして機能する新たなスタイルも対抗策の一つと考えている」(米澤氏)ということだ。

◆無料アプリと差別化ポイントをどこに見いだすかがカギに

最後に米澤氏が関心のあるデバイスについて伺った。「一番関心があるのはやはりウエアラブルデバイスですね。ウォッチ型やメガネ型など様々なデバイスが登場して賑わいを見せていますが、ウォッチ型はナビとして音声は使えず、振動だけでどこまでいけるのか。メガネ型は投影された映像を見ていると目が泳ぐ。それが危険へとつながる恐れもあります。その辺りが検討課題ですね」。

地図の見やすさから使い勝手に至るまで、スマートフォン向けナビアプリとして高い評価を得たMapFan。今後は様々なアプリの登場で険しい状況が待ち受けているのは間違いない。しかし、コレまで培って来た様々な用途に使える多彩な機能と高いデータの信頼性、そして詳細な地図データは道路の標高データや等高線データ、古地図風マップといった地図展開も行う。これらの充実こそ無料版地図との差別化につながることも確かだろう。インクリメントPのMapFanシリーズがナビアプリで高評価を獲得し続けているのも、こうした多方面での展開が活かされているからなのだ。

  • 会田肇
  • インクリメントP・MapFan+《撮影 雪岡直樹》
  • MapFan+ロゴ《撮影 雪岡直樹》
  • インクリメントP・MapFan+《撮影 雪岡直樹》
  • カーナビ評論家の会田肇氏とインクリメントP第二事業部ソリューション企画部 部長 米澤秀登氏《撮影 雪岡直樹》
  • インクリメントP第二事業部ソリューション企画部 部長 米澤秀登氏《撮影 雪岡直樹》
  • インクリメントP第二事業部ソリューション企画部 部長 米澤秀登氏《撮影 雪岡直樹》
  • インクリメントP第二事業部ソリューション企画部 部長 米澤秀登氏《撮影 雪岡直樹》
  • インクリメントP・MapFan+《撮影 雪岡直樹》
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