【川崎大輔の流通大陸】インドネシアの中古車乗入れ規制での影響

業界 レスポンス

◆2017年に実施か。車齢10年超の中古車乗り入れ規制

以前より話があがっていたが、「車齢10年超の中古車乗り入れ規制」がインドネシアの首都ジャカルタで2017年より本格導入する計画が浮上している。2015年1月15 日付で地元新聞のビスニス・インドネシアなどが伝えた。渋滞を解消するための1つの施策となっている。

一方、この計画が実施された暁には、車齢を重ねている中古車の価格に相応の影響がでることが予想されている。

◆インドネシアの中古車市場規模

インドネシアにおける中古車市場規模の統計データがないため性格な数字は分かっていない。現地の銀行アナリストは中古車の年間販売台数は新車販売台数(約120万台)の約4倍(=500万台弱)と見積もっている。

これは1つの考え方で一概にはいえないが、インドネシア国内における自動車保有台数が約2000万台であり5年に1度買い替える前提で考えると概算で年間400万台弱となる。いずれにしろ大きな市場規模だ。

一方、インドネシア自動車製造業者協会(ガイキンド)によると、2014年の新車販売台数は前年よりも約2万台少なかった。2009年以降増加を続けていたが、景気停滞やルピア安などが影響して5年ぶりに前年を割り込み129万8523台(2013)から2%減の120万8019台(2014)となった。

中古車市場規模は新車販売台数が先行指数となっていることを考慮すれば、若干の波はあれ長期的には中古車の発生量が急減することはないだろう。市場への流入量が増えてくれば重要と供給の関係から中古車価格は次第に下落してくると考えられる。

◆価格形成について

2014年の現地でのヒアリングによれば、2年前は需要の割に中古車の市場への供給が圧倒的に少なく高値で安定をしていたが、直近では中古車価格は下落を続けている。

2013年に政府が行った低燃費・低価格自動車の普及に向けたローコストグリーンカー(LCGC)施策の減税によって安い価格で新車購入ができるようになり、中古車もそれに引きずられ下落していったためである。

一方でLCGCだけが価格下落の要因とはいえず、これまでの相場がむしろ高すぎたと考えるのが自然といった認識が多いようだ。価格の下落は続いているが適正相場に向かっている過程であると考えられる。

◆中古車流通の実態について

一般的に日本の中古車販売店ではオークションからの仕入れとなる。一方インドネシアでは多くをブローカーから仕入れている。つまりブローカーネットワークの大きさと質がビジネスの強みとなる。

オークションは存在するが販売店が積極的に売買する習慣は日本ほど根付いていない。日本と異なり自動車メーカーがまだ中古車に目を向けておらず、中古車買い取り専門店も存在しないためブローカーがまだ活躍できる市場があるためだ。

インドネシアのブローカーの重要な役割として、都市から地方への中古車流通を担っている点があげられる。地方のエンドユーザーは購入した中古車があった際、近所の中古車販売店に希望を伝える。中古車販売店は地元ブローカーに条件を指示。地元ブローカーは信頼できる都市のブローカーに連絡して、都市の中古車販売店で希望の中古車を見つけるのだ。都市で仕入れられた中古車は、それぞれの販売店・ブローカーで中間マージンを加算されながら、最終的に地方のエンドユーザーの元に届いていく。

◆地方へ流通加速と中古車価格2極化

「車齢10年超の中古車乗り入れ規制」がインドネシアの首都ジャカルタで導入された場合、ジャカルタから地方への中古車の流れは当然加速すると考えられる。公共交通機関についても規定の見直しを実施するとしており、導入はこれらの公共交通機関の準備が整うおよそ2年後程になるだろうとジャカルタ特別州のバスキ知事が語っている。

2017年に本格的に導入された場合、車齢10年以上でジャカルタで利用ができない中古車はブローカーを通じて地方の中古車販売店へ流れるであろう。自動車需要はジャカルタ周辺だけにとどまっていない。インドネシア全体の新車販売台数はジャカルタ特別州が最大の市場となってはいるが、隣接する西ジャワ州、東ジャワ州などでも市場規模は大きい。スラバヤ(ジャワ島)、メダン(スマトラ島)、マカッサル(スラウェシ島)など人口100万人以上の都市が10か所ある。地方都市もインドネシアの経済発展に大きく貢献しており、地方でのさらなる自動車需要が見込まれる。

同時に、中古車価格は大きく2つのカテゴリーに2極化されると筆者は考えている。1つは1.8〜3.0リットル(カムリ、CR-Vなど)の高価格帯の車。これらの中古車価格はそれほど大きな下落はない。インドネシアにおける平均所得向上と低価格で購入しやすいLCGCの増加によって保有台数に占める市場に占める小型車の割合は増加する。それにより高価格帯の中古車供給が少なくなることが考えられるためだ。もう1つが1.3〜1.5リットル(アバンザなど)の小型車。ここがLCGCにひっぱられて中古車市場が軟化しやすくなると考える。

インドネシア国内の1000人あたり保有台数は日本の約600台に対して約80台前後である。インドネシアにおける自動車普及率がまだ低く拡大する余地は大きい。インドネシアの中古車市場はまさに黎明期だ。

<川崎大輔 プロフィール>

大学卒業後、香港の会社に就職しアセアン(香港、タイ、マレーシア、シンガポール)に駐在。その後、大手中古車販売会社の海外事業部でインド、タイの自動車事業立ち上げを担当。現在、プレミアファイナンシャルサービス(株)にてアセアン事業展開推進中。日系企業と海外との架け橋をつくるべく海外における中古・金融・修理などアフター中心の流通調査を行う。経済学修士、MBA、京都大学大学院経済研究科特別研究員。

  • 川崎 大輔
  • 販売されている中古車《撮影 川崎大輔》
  • 中古車販売店の集積エリア《撮影 川崎大輔》
  • ジャカルタ市内で大渋滞中の車窓より《撮影 川崎大輔》
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