アウディCEO、燃料電池車の市販化は「長い道のり」

業界 レスポンス

次世代環境車として注目される、水素を燃料とする燃料電池車(FCV)。いち早くトヨタが『MIRAI(ミライ)』を市販化したことで話題となっているが、昨年11月にFCVコンセプト『A7 h-トロン』を発表、2月に燃料電池に関する特許を加バラード社から購入することを明らかにした独アウディは、市販化に向けては「長い道のり」と慎重だ。

翌日に年次会見を控えた3月9日、独インゴルシュタットでアウディCEOのルパート・シュタートラー氏、技術担当役員ウルリッヒ・ハッケンベルク氏に、アウディの燃料電池車戦略について直撃した。

FCV普及において欠かすことができないのが、燃料となる水素を充填するステーションの整備だ。日本では近く開設予定のものも含め現在全国で約40件だが、ドイツではすでに700件近い施設が稼働している(一般非公開含む)のだという。ステーション数では日本を大きく上回るが、正式な市販化については慎重な姿勢を見せる。

シュタートラー氏は要因のひとつに、設備に関して「テクノロジーが高価であること」を挙げる。「経済的な観点から、ブレイクスルーが出来ているとは言い難く、2〜3年で普及が実現するものだとは考えていない」(シュタートラー氏)。ドイツ国内のガソリンスタンド数が約1万5000件。これに比較すると、ユーザーの不安を払拭出来る数には満たないという考えだ。さらにハッケンベルク氏が加える。「CNG(天然ガス)車のステーションは1000か所ある。それでも顧客は不安を感じている。(水素は)これと状況が似ている」。

車両開発については「量産直前の段階にある」という。2014年11月のロサンゼルスモーターショーで発表したA7 h-トロンは、充電にも対応し満タンで約500km走行出来る。技術開発においては既に完成形に近いというが、「量産するかどうかは、売れるかどうか、ということに直結する。(顧客視点だけでなく)サプライヤーとの契約もある。ビジネスケースでなければ量産化はありえない」(ハッケンベルク氏)と厳しい視点。

またシュタートラー氏は「今後も投資は続けて行く」とした上で、現在アウディでは電気自動車(EV)の開発、普及への取り組みを推進しており「バッテリ開発、航続距離の延長にリソースを割いている」こと、「今後5年は、EVステーション拡充にあてる。水素インフラはその先」であると話した。この先5年以内にアウディ製FCVが市販化する可能性は低いが、FCVもバッテリを搭載するEVの一種であることから、バッテリ性能の向上、コスト低減が進むことでインフラの課題をクリアできる可能性もある。事実、ジュネーブモーターショーで公開した新型『R8 e-トロン』では、EVながら450kmの航続距離を可能とした。

「FCVはトップダウンでしか導入できない。2万ユーロで出すことができなければならない。長い道のりになる」としながらも、次世代環境車の重要な可能性のひとつだとして「(各社が)競争をしていくことはとても良いことだし、FCVへの取り組みは非常にエキサイティングだ」と期待をこめる。

  • 宮崎壮人
  • アウディ ルパート・シュタートラーCEO(9日)《撮影 宮崎壮人》
  • アウディ技術担当役員ウルリッヒ・ハッケンベルク氏(9日)《撮影 宮崎壮人》
  • アウディ インゴルシュタット工場《撮影 宮崎壮人》
  • アウディの燃料電池試作車 A7スポーツバック h-トロン・クワトロ
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