【池原照雄の単眼複眼】トヨタ、1000万台時代の役員人事…ゼロベースで人材起用を改革

業界 レスポンス

◆「未知」のゾーンでの持続的成長に向けて

トヨタ自動車が4月からの経営体制に種々の新機軸を導入する。副社長以上の首脳による意思決定の迅速化を図る一方、役員人事ではグループ会社からの受け入れや、外国人、女性の起用といったダイバーシティ(人材の多様化)推進にも力点を置く。トヨタは2013年度にグループ世界販売が1000万台を超え、「自動車メーカーとして未知の領域」(豊田章男社長)に足を踏み入れた。これまでの慣行にとらわれない縦横な役員人事は、「未知」のゾーンでの持続的成長に向けた先鋭的な試みとなる。

トヨタは2年前の4月に大幅な組織改革を実施し、バーチャルカンパニーのような4つのビジネスユニットを導入した。これらは(1)高級車ブランドの「レクサス・インターナショナル」(2)日米欧を担当する「第1トヨタ」(3)新興諸国を担当する「第2トヨタ」(4)エンジンや変速機などの「ユニットセンター」――である。各ユニットでの事業・収益責任を明確にし、変化の激しいグローバル市場に迅速に対応する狙いである。

◆グループの連携強化とダイバーシティ

これまで、レクサスを除く3ユニットはそれぞれ複数人の副社長が責任を担う体制で来たが、4月からは基本的に専務役員以下でユニットの執行を完結させる。6人の副社長は、豊田社長、内山田竹志会長とともに中長期の視点で経営全般の針路を定める役割とした。今回の手直しは、裏を返せばこの2年の反省点でもあろう。副社長が地域担当や業務執行の責任者となったため、経営判断のスピード感が削がれた印象がぬぐえなかった。

こうした意思決定体制の見直し以上に注目すべきは役員人事だ。トヨタは今回の人事の狙いを「グループ会社との連携強化およびダイバーシティの促進」と説明しているが、長年の慣行にとらわれない新機軸が目立つ。「グループ会社との連携」では直系中核部品メーカーであるデンソーとアイシン精機から、両社の生え抜き役員各1人を受け入れる。元々トヨタから分離された両社へは、トヨタがトップを含む役員を派遣することが定着しているが、今回のような“逆流”は異例だ。

トヨタは、現在推進中の新しい車両開発手法「TNGA」(トヨタ・ニュー・グローバル・アーキテクチャー)の一環として、昨年秋から同社やグループ企業間での変速機やブレーキなどのユニットの生産再編に着手している。こうした取り組みをスムーズに進め、グループ力を高めるため、経営層の交流・連携も強化することとした。

◆グループ企業からの「出戻り」人事も定着へ

この部品メーカー2社からの人材起用も広義のダイバーシティということになろうが、本筋のダイバーシティという面では、外国人役員の副社長起用および女性役員の誕生が象徴的だ。6月の株主総会後には欧州本部長のディディエ・ルロワ専務役員(57)が、外国人では初の副社長に昇格。経営方針を練る「戦略副社長会」に外国人として“初入閣”する。一方で4月にはトヨタモーターノースアメリカ(TMN)のジュリー・ハンプ副社長(55)が女性初の常務役員に就き、渉外・広報本部の副本部長として対外的な「顔」の一端を担う。

また、経験豊かな技能者として活躍してきた河合満技監(67)が専務役員に昇格する人事も、モノづくり現場を重視する同社ならではの起用だ。さらに、13年に専務役員を退任、グループの資産管理会社である東和不動産社長に転じている伊地知隆彦氏(62)が、副社長に復帰する。こうした出戻り人事は、須藤誠一副社長が12年にトヨタ自動車九州社長から専務役員で復帰するなどの前例があるが、今回で定着した格好だ。

子会社に出たから「上がり」と、安穏としていられなくなるし、逆にそこから巻き返す道も開ける。一連の役員人事からは、従前の慣行をご破算にし、ゼロベースで「1000万台」時代の人材起用を改革しようという豊田社長の強い意志が伝わってくる。

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