【トヨタ アルファード & 日産 エルグランド 比較試乗】見た目以上に異なる走りの味付け…高山正寛

新車 レスポンス

本当に敵はいないのか? 1月26日にフルモデルチェンジを行なったトヨタ『アルファード』『ヴェルファイア』。今回でアルファードは3代目、ヴェルファイアは2代目となるが、日本のLLクラスミニバン市場を牽引し発展させてきたクルマであることは誰もが認めるところだろう。

一方、このクラスを見回してみると実は意外なまでにライバル車が少ない。今回、比較する日産『エルグランド』は真っ向勝負ができるクルマだが、ホンダ『オデッセイ』は現行モデルにフルモデルチェンジした際、それまでラインナップしていた『エリシオン』と実質統合した形になっている。ボディサイズ、特に全高が低いことでスポーティさを表現できているが、搭載するパワーユニットなどを考慮するとガチンコ勝負はあまり望めない。

新型になって敵なしの雰囲気も感じるアルファード/ヴェルファイアだが、本当にそうだろうか?今回あえてライバル車となるエルグランド側からの視点をベースに両車を比較してみることにした。

◆エクステリア…ロー&ワイド感の強さとハンドリングの正確さは見逃せない

そもそも3代目となるエルグランドが登場したのは2010年8月である(事前のティザーは5月から行われていたが…)。この時間差はいかんともし難いわけだが、日産もそのまま手をこまねいて見ていたわけではない。それが2014年1月15日に実施された大幅改良である。自ら「ビッグマイナーチェンジ」と銘打っただけのことはあり、ヘッドランプやフロントバンパー&グリルの意匠を全面刷新した。元々押し出し感は十分だったわけだが、それでも1年後先に登場するであろう新型アルファード/ヴェルファイアのことを考えるとこの位、大胆な変更は必要だったのだろう。

実はエルグランドとアルファード/ヴェルファイアの全長&全幅はほぼ同じである。逆に言えば旧型のアルファード/ヴェルファイアはエルグランドより全幅は20mm短く、ホイールベースに至っては50mmも短かった。今回のフルモデルチェンジでホイールベースも3000mmとなりエルグランドに追いついた格好とも言える。

全高を活かし、迫力あるグリルの造形を持つアルファード/ヴェルファイアだが、エルグランドは前述した通り、全幅が同じでも全高が約65mm低い。普通に低いと聞けばユーティリティを重視するミニバンゆえにネガティブな印象を持ってしまうかもしれない。しかし、後述する室内の快適性も含めその部分は心配しなくていい。何よりも“見た目勝負”の迫力はビッグマイナーチェンジで得た大型グリルとこのディメンションが生み出すロー&ワイド効果はなかなかの迫力なのである。

今回あえて用意したのは両車とも2.5リットル車、アルファード/ヴェルファイアにはハイブリッド車が設定されており、当面はハイブリッド車が人気だろうが、時間が経つにつれ販売の主力は2.5リットルに移っていくと考えられる。これは限られた予算の中でミニバンユーザーが求めるクルマの嗜好としてベースとなるクルマをいかにカスタマイズするか、という点が重要だからである。そのための予算は残しておく必要があるのだ。2.5リットル車であれば比較的車両価格も安く、このニーズにはピッタリ。もちろん走りは2.5リットル車だから…というのは心配無用だ。両車とも高効率なCVTとの協調制御により2トン前後もある車重をものともしない。

◆走り…乗用車的な身のこなし

さて走りに関してもこのロー&ワイドが活きてくる。サスペンション形式は両車ともフロントはマクファーソンストラット式。リアはエルグランドがマルチリンク式、アルファード/ヴェルファイアはダブルウィッシュボーン式と異なる形式を採用している。

全体の印象としてはアルファード/ヴェルファイアの走りはソフトタッチでロールもやや大きめ、全体としてはボディコントロールが利いており、快適性も高い。ただドライバーの感覚からすればもう少しシャキッとした部分は欲しいのも事実。それでも18インチタイヤを装着するエアログレード系であればまずまずこの部分は解消されるのだが…。

一方のエルグランドだが、予想以上と言ったら失礼かもしれないが、これがなかなかの物である。サスペンション形式は前述した通りだが、足の動きがよくわかるのはこちらだ。フロントは元々軽量化したアルミ製リンク、リアには日産車ではおなじみとなったリバウンドスプリングを内蔵したショックアブソーバーを装着している。

元々2.5リットル車ということもありフロントは非常に軽い。コーナリング時のフロントの入り方などはかなりセダン感覚で狙ったラインをトレースしやすい。また、なるほどと思ったのが高速道路でのレーンチェンジ時のクルマの揺れの少なさだ。重心が低くロー&ワイドの恩恵はこのような部分で感じることができる。切り始めからスムーズにノーズが動き、その後リアがブレることなくピタッと収束する感じはこの分野でもスポーティさを忘れない日産の味付けの旨さが光る瞬間だ。

◆インテリア…真似ができない中折れ機構は「快感」のひと言

グレードに応じて多彩なシート構成やアレンジを持つアルファード/ヴェルファイアは世のミニバンを研究し尽くした結果と言える。しかし逆に言えばグレードによってシートの仕様が異なるというのはそれなりの快適性を求めるのであれば価格アップも伴ってくるということだ。一方のエルグランドだが、まず助手席側のオットマンが全グレードに標準装備、そして7人乗り仕様のセカンドシートにはコンフォータブルキャプテンシートが装備される。

このシート、何が凄いかと言うと前述した助手席同様、シート一体型のオットマンを搭載。ロングシートスライドを使うことで助手席とセカンドシートで同時にゆったりとした姿勢で座れる「トリプルオットマン」を採用した点。そして何よりもこのシートには「シートバック中折れ機能」が搭載されているのだ。この機構はリクライニングをした状態でシート上部が手前に折れることで肩と首をリラックスした状態で支持。これに3層構造パッドを組み合わせることで血流を妨げずにゆったりと座ることができるというものだ。

理屈はさておき、座ってみると正直「気持がいい」。普通のシートの場合、リクライニングをすると頭は斜め上を向いた状態になるが、このシートの場合は身体を傾けながら正面を見ることもできる。さらにオットマンと組み合わせることで身体の力をスッと抜いた状態で座っていることができる。さらに角度を変えることで家の応接間にいるような感覚でDVDビデオなどの映像も楽しめるのだ。

この部分はアルファード/ヴェルファイアでは真似できない部分。クルマ選びの際にはぜひこのシートだけは体感しておいたほうがいいだろう。またあまり話題に取り上げられていないが、マイナーチェンジで室内高が+25mm、ヘッドクリアランスも+20mm拡大、こういう実直な改良はユーザーとして嬉しいものだ。

今回のアルファード/ヴェルファイアにはかなりゴージャスな仕様も設定されているが、実は日産にはオーテックジャパンというグループ会社がある。究極の4名乗車仕様である「VIP」やより走りの手応えを感じることができる「ライダー ハイパフォーマンススペック」なども選択の幅が非常に多い。クルマ選びの際はこんな部分までしっかりチェックすると買い得なクルマというものが見つかるはずだ。

高山正寛│ ITS Evangelist(カーナビ伝道師)/カーコメンテーター/AJAJ会員

1959年生まれ。自動車専門誌で20年以上にわたり新車記事&カーAVを担当しフリーランスへ。途中5年間エンターテインメント業界でゲーム関連のビジネスにも関わる。カーナビゲーションを含めたITSや先進技術のあらゆる事象を網羅。ITS EVANGELIST(カーナビ伝道師)として自ら年に数台の最新モデルを購入し布教(普及)活動を続ける。またカーナビのほか、カーオーディオから携帯電話/PC/家電まで“デジタルガジェット”に精通、そして自動車評論家としての顔も持つ。

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