【国産SUV 比較試乗】CX-5、ハリアー、フォレスター、三“車”三様きわだつ個性…森野恭行

業界 レスポンス

今のSUVの高い人気は、一過性のブームではなく、市場にしっかりと定着したものだ。

なぜ、セダンやハッチバック、ワゴンではなくSUVなのかといえば、クルマにまつわる欲張りなニーズに応えてくれる存在だから。「SUV=レジャー」は過去の話で、万能なファミリーカー、そして行動の自由を広げてくれる日常のパートナーとして、SUVを選ぶ人が増えた。

そこで、マツダ『CX-5』、トヨタ『ハリアー』、スバル『フォレスター』という、3台のミドルクラスSUVを集めて、「違いはどこにあるのか」を掘り下げてみることにした。ジャンルやセグメントは同じでも、個性や魅力に注目すれば各車各様。なにしろ、ウリとするパワートレーンからしてまるで異なる3車なのだ。

◆四駆、ハイブリット、ディーゼル…際立つそれぞれの個性

「四駆」をマーケットに定着させた立役者といえるスバルは、伝統のボクサー(水平対向)ユニットを搭載する。フォレスターが用意するのは、148ps/20.0kgmの性能を生む自然吸気2リットルと、280ps/35.7kgmのハイパワーをウリとする2リットル直噴ターボの2タイプだ。

そして、トヨタがプッシュするのはハイブリッド。ハリアーは151ps/19.7kgmの自然吸気2リットルも設定するが、イメージを引っ張るのは152ps/21.0kgmのアトキンソン(高膨張比)サイクル2.5リットルと、前後2つのモーター(フロント用は143ps/27.5kgm、リヤ用は68ps/14.2kgmの性能)を組み合わせた「E‐Four」と呼ばれるハイブリッド4WDシステムの搭載車だ。ちなみに、エンジン+モーターのシステム出力は197psに達する。

対して、CX-5の高人気を牽引するのはクリーンディーゼル。2リットルおよび2.5リットルのガソリンユニットもラインナップするが、大半のユーザーが選ぶのは、高価な後処理装置なしにNOx(窒素酸化物)のクリーン化を実現した画期的な「SKYACTIV-D 2.2」だろう。「とろい・うるさい・汚い」と毛嫌いされていたディーゼルだが、コモンレール式直噴や高性能ターボ(SKYACTIV-D 2.2は大小2つのターボを使い分ける2ステージ式)、DPF(これで煤を除去する)などのハイテクを組み合わせてネガを克服。今では、エコでクリーン、しかも走りが楽しい心臓として、日本でも広く認知されるようになった。そのトップランナーが「SKYACTIV-D 2.2」なのだ。

乗用ディーゼル復活のきっかけをつくったのはドイツ車だったが、それを大きな流れに変えたのはマツダだ。単に燃費が良く、クリーンな心臓なら、これほど多くのユーザーの心は捕らえられなかったはず。成功のカギは、「走りの気持ちよさ」を強くアピールした点にあった。いかにもマツダらしい「走り」に根ざした戦略が、見事に功を奏したと言っていい。

◆エンジン音、ドライブフィール、燃費はどう違う?

ならば、個性的な心臓を持つ3台のSUVを乗り比べた印象は? 力強さでライバルを引き離すのは、「SKYACTIV-D 2.2」を積むCX-5 XD プロアクティブだ。その見どころは、フォレスターの2リットル直噴ターボさえ凌ぐ42.8kgmのビッグトルク。しかも、わずか2000回転にトルクピークを置き、レスポンスにも優れるのだから、いつでも、どこでも、右足に力をこめれば即、胸のすく加速を楽しませてくれる。

次はハリアー。強力なモーターとバッテリーを備えるストロングハイブリッドならではのスムーズかつ静寂な走りを特徴とするが、最良の面を発揮するのは穏やかな走りにおいて。ハイペースの高速走行や山道の登坂というシーンとなると、エンジン負荷が高まってうれしくないノイズや振動が伝わってくる。ハイブリッドの悩みは、モーター走行の「静寂」から高負荷域の「ノイジー」に至るギャップの大きさというわけだ。

そこでJC08モード燃費値を見れば、21.4km/リットルのハリアーハイブリッドは、18.0km/リットルのCX-5 XDの上に立っている。だが、ハイブリッドで好燃費を追求する運転は多分に禁欲的。モーターによる走行およびアシストと、回生のうまみを引き出す運転は知的好奇心をくすぐるものだが、それは感性をストレートに刺激する、クリーンディーゼルの力感に満ちた走りとは質の異なるおもしろさだ。加えて、クリーンディーゼルはハイペース走行を楽しんでも良好な燃費をキープするのだから、スポーティ指向のドライバーに強く支持されるのも納得できる。

しんがりはフォレスターの特別仕様車であるSリミテッド。自然吸気2リットルは十分な能力を持つが、スペックから想像がつくようにライバル2車と比べると加速の力強さ、クルージングのゆとりとも見劣りがする。となれば、ターボのXT EyeSightの出番だが…燃費値は自然吸気の15.2km/リットルに対して13.2km/リットルといまひとつの印象。しかもプレミアムガソリンを要求するのだから、割安な軽油を燃料とするクリーンディーゼルとの経済性の差は大きい。

CX-5のもう1つの「気持ちよさ」のカギは、6速ATの「SKYACTIV-DRIVE」にある。ハリアーハイブリッドは電気CVT、フォレスターはCVTを使うが、メカの特性上、エンジンの回転やサウンドと、加速感や速度の関係にどうしてもズレが生じてしまう。だが、トルコンのロックアップ領域を広くとったSKYACTIV-DRIVEは、右足の動きと加速感やサウンドがリニアにリンクするように躾けられている。その一体感が、SKYACTIV-Dの快感をより鮮明にしているポイントなのだ。

ただし、クリーンディーゼルにも気になる点はある。それは、「カラカラ」、「キンキン」と響くディーゼルノック音だ。低圧縮比と低めの燃焼温度を特徴とする「SKYACTIV-D」は、欧州の最新ディーゼルと比べても優秀な静粛性や低振動性を誇る。でも、アイドリング時や低速の加速時には、やはりディーゼルを意識させられる場面がある。そこだけは留意する必要があるだろう。

◆高速走行、ワインディングでの操縦安定性は

今度はシャシー性能に注目する。ハリアーハイブリッドやフォレスターも高い操縦安定性の能力を持つが、その上を行くのがCX-5だ。ここでもキーワードとなるのは一体感。複雑なハイブリッド4WDメカを搭載するハリアーは、上屋が重いことが災い。ペースを上げていくと、S字の切り返しなどの操作にクルマがついてこなくなるが、CX-5はそんな歯がゆさを意識させない。

また、フォレスターにはステアフィールの自然さで差をつける。高速域になると、手ごたえ感がやや抜けた印象となるのがフォレスターの悩みどころ。性格全体を穏やかに躾けた17インチタイヤ装着車との相性は良好だが、18インチを与えてスポーティさを追求したSリミテッドは、動きだしで抵抗を示し、そのあと「ピッ」と鋭く応答するクセを持つ。繊細なドライビングにまでは応えてくれない理由がそこにある。

対してCX-5のフットワークは、速度域やシチュエーションを問わない一体感が光る。そもそも才能のあるモデルだったが、2013年の改良で電動パワステとリヤダンパーに手を入れ、2014年の改良で再度サス全体を見直したことで、走りの気持ちよさに磨きがかけられた。

高速域では高度な落ち着きや安心感を提供してくれ、峠道のスポーティ走行ではSUVを忘れさせる冴えたハンドリングを楽しませてくれる。しかも、サスがしなやかに上下動するようになったことで、乗り心地もグッと良質になった。当初のモデルは足が少し突っ張った感じで、19インチタイヤを履くLパッケージではタイヤのバタつきが気になったもの。しかし、2度の改良を経た最新型は、ハンドリングの一体感だけではなく、乗り心地の上質さもレベルアップさせている。

今回連れ出したCX-5 XD プロアクティブが履くのは17インチタイヤだが、操縦安定性と乗り心地のバランスは、18インチを履くハリアーハイブリッドやフォレスターを確実に上回るレベルにあった。そう、新型CX-5で注目すべきは、プレミアム感を増した内外装だけではない。「最新のデザインと技術を、既存のモデルにもできるだけ早期に投入」という、今のマツダのクルマづくりの思想は、走りの熟成の面にもきちんと反映されているわけだ。

◆安全装備も充実、コスパはどう捉えるか

そして、ユーザーの大きな関心事である安全装備。フォレスターはEyeSight(ver.2)、ハリアーはプリクラッシュセーフティシステムやインテリジェントクリアランスソナー、オートマチックハイビームを設定する。

一方、最新のCX-5はi-ACTIVSENCEの能力をさらに高めたのが見どころだ。自動ブレーキのSCBS(スマート・シティ・ブレーキ・サポート)およびAT誤発進抑制制御は、前進時に対応するタイプが全車標準で、後進時にも対応するタイプをLパッケージに標準、プロアクティブにオプションで設定している。

だが、より身近にうれしさを実感するのは、新たに導入されたALH(アダプティブ・LED・ヘッドライト)だろう。対向車や先行車への防眩機能を持つ配光自動調整式ハイビームが自慢のこのハイテクライトは、夜間の安全性向上や運転のストレス軽減に大きく貢献するもの。Lパッケージとプロアクティブに標準で装備されている。

最後に注目するのは「コスパ」だ。

ゴージャスな内外装が目を引くハリアーハイブリッドだが、試乗をしたプレミアムの価格は403万2000円。先進安全装備を充実させたアドバンスドパッケージはさらに50万円以上高い設定となる。対してフォレスターSリミテッドは、300万円を切る282万9600円のプライスタグをつけている。

CX-5 XD プロアクティブのプライスはフォレスターより高めの316万4400円だが、動力性能や燃費のポテンシャルの違いを考えれば、十分に納得のいく範囲にある。視点を「コスパ」に切り替えても優位に立つのはCX-5だと言えそうだ。とくに、「走り好き」へのアピール度は高い。

  • 森野恭行
  • マツダ CX-5(左)とトヨタ ハリアー(右)《撮影 雪岡直樹》
  • 森野恭行氏《撮影 平野敬久》
  • スバル フォレスター(左)とマツダ CX-5(右)《撮影 平野敬久》
  • トヨタ ハリアー(左)とマツダ CX-5(右)《撮影 雪岡直樹》
  • マツダ CX-5とトヨタ ハリアー《撮影 雪岡直樹》
  • スバル フォレスター Sリミテッド《撮影 平野敬久》
  • トヨタ ハリアーハイブリッド プレミアム《撮影 雪岡直樹》
  • マツダ CX-5 XD プロアクティブ《撮影 平野敬久》
  • マツダ CX-5 XD プロアクティブ《撮影 平野敬久》
  • スバル フォレスター Sリミテッド《撮影 平野敬久》
  • トヨタ ハリアーハイブリッド プレミアム《撮影 雪岡直樹》
  • マツダ CX-5 XD プロアクティブ《撮影 平野敬久》
  • トヨタ ハリアーハイブリッド プレミアム《撮影 雪岡直樹》
  • トヨタ ハリアーハイブリッド プレミアム《撮影 雪岡直樹》
  • スバル フォレスター Sリミテッド《撮影 平野敬久》
  • 森野恭行氏《撮影 平野敬久》
  • マツダ CX-5(左)とスバル フォレスター(右)《撮影 平野敬久》
  • マツダ CX-5 XD プロアクティブ《撮影 雪岡直樹》
  • マツダ CX-5 XD プロアクティブ《撮影 雪岡直樹》
  • マツダ CX-5 XD プロアクティブ《撮影 雪岡直樹》
  • マツダ CX-5 XD プロアクティブ《撮影 雪岡直樹》
  • マツダ CX-5 XD プロアクティブ《撮影 雪岡直樹》
  • マツダ CX-5 XD プロアクティブ《撮影 平野敬久》
  • マツダ CX-5 XD プロアクティブ《撮影 平野敬久》
  • マツダ CX-5 XD プロアクティブ《撮影 平野敬久》
  • マツダ CX-5 XD プロアクティブ《撮影 平野敬久》
  • マツダ CX-5 XD プロアクティブ《撮影 平野敬久》
  • マツダ CX-5 XD プロアクティブ《撮影 平野敬久》
  • マツダ CX-5 XD プロアクティブ《撮影 平野敬久》
  • スバル フォレスター Sリミテッド《撮影 平野敬久》
  • スバル フォレスター Sリミテッド《撮影 平野敬久》
  • スバル フォレスター Sリミテッド《撮影 平野敬久》
  • スバル フォレスター Sリミテッド《撮影 平野敬久》
  • スバル フォレスター Sリミテッド《撮影 平野敬久》
  • スバル フォレスター Sリミテッド《撮影 平野敬久》
  • スバル フォレスター Sリミテッド《撮影 平野敬久》
  • スバル フォレスター Sリミテッド《撮影 平野敬久》
  • スバル フォレスター Sリミテッド《撮影 平野敬久》
  • スバル フォレスター Sリミテッド《撮影 平野敬久》
  • スバル フォレスター Sリミテッド《撮影 平野敬久》
  • スバル フォレスター Sリミテッド《撮影 平野敬久》
  • トヨタ ハリアーハイブリッド プレミアム《撮影 雪岡直樹》
  • トヨタ ハリアーハイブリッド プレミアム《撮影 雪岡直樹》
  • トヨタ ハリアーハイブリッド プレミアム《撮影 雪岡直樹》
  • トヨタ ハリアーハイブリッド プレミアム《撮影 雪岡直樹》
  • トヨタ ハリアーハイブリッド プレミアム《撮影 雪岡直樹》
  • トヨタ ハリアーハイブリッド プレミアム《撮影 雪岡直樹》
  • トヨタ ハリアーハイブリッド プレミアム《撮影 雪岡直樹》
  • トヨタ ハリアーハイブリッド プレミアム《撮影 雪岡直樹》
  • トヨタ ハリアーハイブリッド プレミアム《撮影 雪岡直樹》
  • トヨタ ハリアーハイブリッド プレミアム《撮影 雪岡直樹》
  • トヨタ ハリアーハイブリッド プレミアム《撮影 雪岡直樹》
  • 森野恭行氏《撮影 雪岡直樹》
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