渋滞回避がより的確に…約20年ぶりの新サービス「VICSワイド」とは

テクノロジー レスポンス

道路交通情報通信システム(以下:VICSセンター)は4月23日、従来のFM-VICSの約2倍まで伝送容量をアップした「VICSワイド」のサービスをスタートさせた。1996年にサービスをスタートして以来の初となる大幅なサービス改善となる。ではこのVICSワイド、従来のVICS関連サービスとはどのように異なるものなのだろうか。

◆受信料は製品価格にインクルード、ユーザーの直接負担はなし

VICSワイドが伝送容量をアップさせたことで実現した新サービスは、「一般道のリンク旅行時間の提供」「プローブ情報を活用した渋滞・旅行時間情報の提供」「緊急情報(特別警報)の提供」「気象・災害情報の提供」の4点。今後発売される予定の対応カーナビゲーションで利用が可能になる。受信料はこれまでのVICSと同様、製品の価格内に含まれているためユーザーが直接負担することはない。

そもそもVICSは1996年4月、世界に先駆けてスタートした交通情報サービスとして誕生した。道路交通情報センターが収集した情報を元にほぼリアルタイムで情報提供を行い、提供メディアは都道府県単位の広域を対象とした「FM多重放送」、一般道を対象とした「光ビーコン」、高速道路を対象とした「電波ビーコン」の3種類に分けられた。このうち電波ビーコンはDSRCを使った「ITSスポットサービス」に切り替えが進んでおり、2024年までにはすべてが置き換わる予定になっている。

◆「FM-VICS」の制約解除で、道路の効率的活用が可能に

今回、「VICSワイド」として新たにサービスをスタートするのは、この中のFM多重放送を使う「FM-VICS」だ。

実は「FM-VICS」は最も普及したVICSサービスだったが、提供情報の中に旅行時間情報を含んでいながらそれを反映させられない、という制約が課せられていた。「一般道での車両を誘導するのは警察庁の管轄」として警察庁がFM-VICSにその利用を永らく阻んでいたからだ。もちろん、光ビーコン/電波ビーコン対応端末を装着すれば渋滞回避はできたが、それには別に2〜3万円はする受信端末をカーナビゲーションに組み合わせる必要がある。

過去には光/電波ビーコンをカーナビゲーションの標準セットとした製品も登場したが、その後の激しい価格競争の中でそのセットはアッという間に市場から消えてしまった。余計なコスト負担を強いられるユーザーは光/電波ビーコン端末の設置を敬遠し、それが結果として大半のユーザーが渋滞回避を行えない状態でVICSを利用する事態を招いてしまっていた。

VICS本来の目的は、交通状況を鑑みた道路の効率的活用にあったわけだが、実際はそれと大きく乖離した状態で普及が進んでいたというわけだ。過去に取材した中で、VICSセンターの担当者は「その解決策を一刻も早く実現しなければならない」と話していたことが甦る。

◆渋滞回避や所要時間把握が大幅に向上、気象・災害情報の提供も

そしてようやく、その実現のために「VICSワイド」は登場した。伝送容量を2倍にした「VICSワイド」は具体的に我々にどんなメリットをもたらすのか。

まず「一般道リンク旅行時間情報の提供」だ。一般道でA地点→B地点に移動する際、複数ルートの所要時間を考慮できるようになり、この中でもっとも短時間で到達できるルートを選べるようになった。途中に渋滞が発生していれば、それを回避するルートでガイドできるわけで、これこそこれまで光ビーコンが担っていたサービスに相当する。

次に「プローブ情報を活用した渋滞情報・旅行時間情報の提供」。これはVICS初の機能だ。主要幹線では交通状況を把握するために車両感知機が備えられているが、これが非設置の道路では交通状況を把握できずにいた。そこでタクシーの走行状況から速度等を推定するプローブ情報を活用し、車両感知機のない区間でも交通状況を把握できるようにしたのだ。

このサービスでは、車両の走行軌跡情報も対象としたことで、直進/右折/左折の車線ごとの所要時間も把握できる。あくまででカーナビゲーション側の対応とはなるが、どの車線にいれば効率よく走行できるかも誘導できるようになるという。ただし、このサービスはタクシー会社との連携が必要となるため、当面は東京地区からのスタートとなった。

続いて改良が加えられたのが「緊急情報(特別警報)」の提供」だ。これまでのFM-VICSでも大津波の特別警報をポップアップで、気象の特別警報は文字情報によって提供されるとしてきた。VICSワイドではこれに火山情報を加えたすべての特別警報(地震を除く)をポップ表示するよう機能アップした。

「気象・災害情報の提供」も新たに追加された。これは近年多発しているゲリラ豪雨に対応するもので、ドライバーの前方視認性が低下する50mm/h以上の大雨情報をエリア(250m四方メッシュ単位)ごとにナビ画面上に表示させる。ゲリラ豪雨などによる徒然の道路冠水で車両が身動きが取れなくなることを防止する効果が期待できる。

◆高速道と一般道合わせた渋滞回避が可能に、メーカーも続々対応

そして、見逃せないのが「VICSワイド」と国土交通省が進めている「ITSスポットサービス」との高い親和性だ。

ITSスポットサービスのメリットとして、ETC等の料金決済と高速道路上の交通情報が両立できることがある。しかし、提供される交通情報に一般道は含まれていなかった。警察庁は光ビーコンによる一般道での交通情報提供を基本としていたからで、結果として一般道と高速道の双方で渋滞回避を行うにはDSRC車載器を搭載しても光ビーコンも併用せざるを得なかったのだ。

それが「VICSワイド」が登場したことで渋滞回避を行うための光ビーコンの必要性はなくなる。VICSセンターによれば「長いことFM-VICSでは許されなかったこと(渋滞回避)が可能になった。警察庁にご理解いただけたということだ」とのこと。これをきっかけとしてDSRC車載器を搭載するメリットは格段に増すのは確実となったのは間違いない。

なお、「VICSワイド」への対応は各メーカーとも素早い動きを見せている。

JVCケンウッドは今年初めに発売した“彩速ナビ”の「MDV-Z702W/Z702」「MDV-X702W/X702」向けにデータ配布をスタートさせ、4月下旬からは「MDV-L502/W」「MDV-L402」「MDV-D502BTW/BT」「MDV-D402BT」「MDV-D302/ML」「MDV-D202」を対象にデータ配布を予定。

パナソニックは今夏までに「CN-RX01WD」「CN-RX01D」「CN-RS01WD」「CN-ES01D」の4機種で対応するソフトウェアの配布を予定する。

クラリオンは6月上旬より発売を予定している「MAX775W」「MAX675W」「NA715」「NX615」「NX615W」の5機種について当初より対応モデルとして準備するという。

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