【池原照雄の単眼複眼】為替変動にも強いぞ…乗用車7社の今期営業利益は初の5兆円突破へ

業界 レスポンス

◆前期はリーマン前の最高を7年ぶりに更新

乗用車メーカー7社の2015年3月期業績は、為替の円安効果や北米を中心とした販売増などによってトヨタ自動車など4社が連結営業利益の最高を更新した。7社合計の連結営業利益も、ピークだったリーマン・ショック前の08年3月期以来7年ぶりに最高を塗り替えた。

16年3月期の営業利益は7社ベースで初めて5兆円を突破、2期連続の最高益が予想されている。今期は為替の変動影響が前期のプラスから一転してマイナスになるなかでの最高益だけに、09年から12年にかけての超円高時から取り組んだ体質強化策が、大きな成果となって現れるかたちだ。

乗用車メーカー8社のうちトヨタの業績に反映されるダイハツ工業を除いた7社の15年3月期営業利益は、いずれも品質関連費用が膨らんだホンダとスズキを除く5社で増益となった。さらにこのうちトヨタ、マツダ、富士重工業(スバル)、三菱自動車工業が最高益を更新している。

◆1700億円の為替減益要因を超えての増益に

7社合計の営業利益は4兆9325億円(前期比13%増)となり、それまでのピークだった08年3月期を約4500億円上回って最高を更新した。前期は4月の消費税率引き上げに伴う国内需要の冷え込みが続き、東南アジアやロシアといった新興国も不振だったものの、多くの企業が北米市場の回復に支えられた。

◎乗用車7社の営業利益などの推移

    15年3月期  16年3月期

営業利益:4兆9325億円 5兆1880億円

(増益率):(13.1%) (5.2%)

営業利益率:7.9%  7.9%

為替影響:+5,828億円 −1,713億円

さらに前期も引き続き円安が進み、各社の業績を底上げした。期中のレートは1ドル110円、1ユーロ139円程度であり、1年前の期中平均に比べてドルは10円、ユーロは5円ほどの円安となった。営業利益段階での為替変動による増益要因は7社計で5828億円となった。為替の増益要因が約1兆5900億円にも及んだ14年3月期からはほぼ1兆円もの減少になったものの、引き続き収益改善をもたらした。

しかし今期の為替については、北米依存が高くドル高の影響が出やすい富士重を除く6社が減益要因に織り込んでいる。各社の今期前提レートは、1ドル115円、1ユーロ125円近辺に設定されている。前期実績からは米ドルがなお円安となる方向だが、各社はユーロやアジア各国、ロシアなどの新興諸国通貨はおおむね安値推移を前提とした。ドルの独歩高状態であり、ドルでの決済が主流の海外拠点では「ドル高」影響が顕著になる。7社計での今期の為替による減益要因は1713億円と見込まれており、一転して利益の押し下げに作用するのだ。

◆営業利益率も7.9%と高水準をキープ

ただし、それでも原価低減を中心とする収益体質の改善や海外での販売増などにより、今期の7社の営業利益は2期連続で最高更新予想となった。合計額は5兆1880億円(前期比5%増)と、初めて5兆円台に乗せる。7社ベースの売上高営業利益率は今期予想および前期実績とも7.9%と高い水準が続く。これは欧米の代表メーカーである独VW(フォルクスワーゲン)の6.3%、米GM(ゼネラルモーターズ)の4.2%(いずれも14年12月期)を上回る。

一方、日本7社の原価低減による営業利益押し上げは前期、今期とも約5000億円規模となる。為替の悪化要因を安定的な原価低減を柱とする収益改善力で相当程度カバーできる状況になっている。持続力ある盤石な収益力への確立には個々の課題を抱えるものの、日本メーカーがリーマン後の7年で、よりリーン(筋肉質)な経営体質に着実に歩を進めたと評価できる今期業績展望だ。

  • 池原照雄
  • 日産 米国スマーナ工場(参考画像)
  • トヨタ自動車の豊田章男社長《撮影 池原照雄》
  • 日産自動車のカルロス・ゴーン社長《撮影 池原照雄》
  • ホンダ 埼玉製作所 寄居工場《提供 ホンダ》
  • マツダ CX-3 の船積み風景
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