ホンダ S660、高剛性と高効率実現する独創の「インナー治具」

業界 レスポンス

ホンダはオープンスポーツ『S660』を生産するグループの八千代工業・四日市製作所を、5月26日にメディア関係者に公開した。スポーツカーに求められる高い車体剛性をしっかり造り込む溶接工程では独創の生産方式が採用されていた。

八千代工業は1970年代からホンダの軽自動車の受託生産を行っており、軽の元祖ハイトワゴンである『ステップバン』(1972年)や、S660の前身ともいえる『ビート』(1991年)といった名車も手掛けてきた。熟練の技能者と独自の生産技術が持ち味であり、S660にも随所に生かされている。

車体骨格の組立では、各パネル部品の位置を決めて固定する「治具」を車室内に設置する「インナー治具」方式を開発した。通常、車体組立の治具は車体の左右両側から部品を固定する方式が多い。だが、S660では治具の出し入れがしやすいオープンカーという特性も生かして2分割タイプの治具を車室内に置く方式とした。

この工程では4人が従事しており、治具の出し入れは作業員がホイストで釣り上げて行う。治具装着後、作業員は部品を取り付けて主要部をリベットで仮り締めし、次のロボットによる溶接工程に送り出す。ロボットの溶接が終わると、車体骨格は4人の作業員のところに戻ってくる。再び追加のパネル部品を取り付けてロボット溶接工程に送り出す。その後車体骨格は、またもや作業員の元に戻り、治具が取り外される―という手順だ。

ラインの中を車体骨格が往復するという非常にユニークな工程である。インナー治具方式による利点は、治具設備費の削減や人手をかけることによる組立精度の向上などが挙げられている。治具の部品点数は従来の外置き方式に比べ、ほぼ半減できたという。また、「小さくて、少量生産のクルマの生産効率や品質を上げるには人の作業にも頼る、こういう方式が最適」(完成車事業担当の本告次男専務)という自信作でもある。

S660の生産は、好調な受注を背景に3月の量産開始時より2割ほど引き上げられた。それでも現在の生産は日量48台と多くはない。笹本裕詞社長は「アフリカなど次の自動車市場といわれる国々では、少量のモノづくりも求められる。(大型設備だけでなく)人に焦点を当てたモノづくりも出番があるのではないか」と話し、ホンダの海外拠点での応用にも期待を寄せている。

  • 池原照雄
  • 八千代工業 S660 車体骨格組立用のインナー治具《撮影 池原照雄》
  • 八千代工業 S660 車体骨格のロボットによる溶接工程《撮影 池原照雄》
  • 八千代工業 笹本裕詞社長《撮影 池原照雄》
  • ホンダ S660を生産する八千代工業 四日市製作所《撮影 池原照雄》
  • 八千代工業 本告次男専務《撮影 池原照雄》
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