【ロードスター開発者への10の質問】Q2.100kgを超える軽量化は開発の絶対条件だったのか?

新車 レスポンス

2014年9月4日に行われたロードスターファン感謝イベント「マツダ ロードスターTHANKS DAY IN JAPAN」で世界初披露された4代目ロードスター。発売に際して4月4日から5月17日までの約1.5か月に行われた先行予約でも月販目標台数の500台に対し約6.6倍の3323台の受注が入った。期待の大きさと共に今後ますますの“加速”が見込めるモデルだと言えるだろう。

マツダの気合と執念が結実したと言っても過言ではない同車。今回、開発主査である山本修弘氏を筆頭とした“5人の侍”にその魅力と素朴な疑問を「10の質問」として投げかけてみた。

Q2.100kgを超える軽量化は開発の絶対条件だったのか?

A2.軽量化は「感(Kan)」づくりを実現するために必要だったが、100kgや1トンという数字そのものは重要とは考えていなかった。

ロードスターは、Sグレードモデルで100kg以上の軽量化をはかり、初代(NA)にせまる車重を実現している。なぜ軽量化が必要だったのだろうか。また、その数値は開発当初から掲げられていた絶対条件だったのか? 山本主査にじっくり話を伺っているとここでも“価値”というキーワードは外すことができないようだ。

◆数値で示すのは簡単、しかしやりたいことが表せない

----:山本主査はQ1の質問の際に「価値を提供するということはファンに愛されるクルマにしなければいけない」とおっしゃっていました。それはやはり製品自体の価値とは異なるものなのでしょうか? 例えば、軽量化に関していえば、1トンを切る、軽くなる、という事実は注目すべきトピックだと感じるのですが。

山本修弘 開発主査(以下敬称略):やはり製品価値ということより、そういったことを達成するためにはどのような提供価値をお客様に示せば良いのか、という部分を作りこんでいかなければならないわけです。だからなかなかクルマの性能や商品の目標には降りない。お客様がこのクルマを使って生活を楽しくできることを絶えず考えねばならないと、最初の段階からかなり検討してきました。だから、海外のリージョンと話しても、馬力を上げろとか言ってくるわけです。でも、そんなのどうでもええと(笑)。製品価値を重んじるのではなくて、提供価値をもっともっと論じようって話をずっとしてきて、そのクルマを持つ意味がどこにあるのかということをとても大事にし、最初の頃から取り組みを行ってきました。

----:ユーザーというのはワガママなものですし“スペック偏重主義”の時代にクルマに慣れ親しんだ我々世代の中でも「なぜ1.5リットルエンジンなんだ?」という話が出てくることも多かった。お客様としては、エンジンにしてみても歴代の中では一番排気量が少ないとか、製品価値というか製品としてどうなっちゃうんだろう、というような心配があったりすると思うのですが。

山本:物の価値は、そういって皆様が今まで使ってるわかりやすい指標で表すと、簡単なんです。数字で示すのがね。でも、それによって本当に僕たちのやりたいことが表せるかというと、できないと思ったから、数字を言わないようにしたんですよ。

----:そこで出してきたのが進化の方向性として掲げている「感(Kan)」づくりということでしょうか。

山本:そうです。でも自分たちのテーマが「感(Kan)」づくりだって、点数でも数字でもないんですよね。そういうことがなかなか言えなかったし、どのように伝えたらいいのかずっと悩んでいたっていうのも事実なのです。そこで途中から言葉にちゃんと置き換えて作らなければいけないとなったわけです。

----:では具体的には「感(Kan)」づくりについて教えて下さい。

山本:最終的には導入するにあたり3つの「感(Kan)」づくりを行いました。1つは「手の内、意のまま感」であり、2つ目は「軽快感」であり、最後は「開放感」。これらを徹底的に作り込むために、それぞれの部門がそれぞれの領域の物理的な目標に落とし込んで、目標を掲げてきた。でもそれだけではまだわからなかったので、ではその途中でお客様に提供する価値はなんなのか、と考えたときには、やはり製品にやっぱり落とさないといけないわけです。

----:そこでキーとなってくるのがデザインだと。

山本:やはりクルマのデザインってとても重要なので、これについては一番最初にお客様への提供価値をきちんと伝えなければいけないわけです。その時に僕たちが選んだ言葉は「誰もが一瞬で心ときめくデザインを作ろう」であったし、ファントゥドライブを体現しなければいけない。そのためには、誰もが心ときめくドライビング体験を価値として提供し、最後は誰もが心開くまでの開放的なフィーリングを与える。この3つを具体的な提供価値として作っていこうってどんどん落とし込んで行ったのです。

----:その考えにはブレがない、と…。

山本:確かにここまで来ると普通はハードに落ちてきてしまうんです。そんな取り組みをずっとやってきて、そんな言葉にしたからといって商品ができるわけじゃなくて、それを実際具体化していかないといけないわけです。そういったことも最後クルマが出来てくると同時に、整理することによって言葉を生んで行ったんですよ。最初はどのようにするのが一番いいのかな、と。コンセプトは最初からあったけど、価値作りはなかなか難しかったので。それでも実際に図面を出す段階、私が商品コンセプトを作って、志を立て、目標を定めた時にそういうものを作りたい、って言ったのが開発2年前ですね。それが出来てそれからまったくブレていません。

◆クルマはできた、これからは乗って感じてもらう

----:確かに今回のロードスターではエンジン出力や何秒早い、などのスペック的な話は驚くほど聞こえてきません。逆に言っていませんよね。

山本:言わないですね(笑)。

----:軽量化で注目を集めているSグレードに関しても「100kg軽い」程度でした。それはなぜでしょうか。

山本:100kg軽いというのはずっと例えとして言っていましたし、1トン切りましたとも言いましたけど、ここに来てから(発表後)それはあんまり言っていません。だって軽いから、じゃあどうなの? ってことです。たしかに今まではそれが運転する楽しさを象徴するキーワードだったわけです。初代のような、原点回帰をするためには1トン切るというのはどうしても必要だと思ったからそのように作り込んで来ました。でもクルマが出来てしまったら、1トン切っているからどうした。もうあるんだから、それはもうまったく意味がなくて、乗ってもらってどうですか、という話にしかならないんですよ。990kgだから偉い、っていうことは全然ないんです。

----:しかし他社を見渡すと、それらは皆、セールスポイントとして“利用”するものではないでしょうか。実際、クルマがもう出たから、その役目を終えたということで意図的に発言をしなくなったのですか?

山本:発売するまでは軽量化など技術的な部分を伝えることによって、表現してきましたが、これからは乗った時、お客様がこのクルマとのライフスタイルの中で、どういう使い方をしてもらうのか、というのが僕たちの伝えたい価値なので、そのお客様のライフスタイルに合わせて車を選んでほしい。だから大きく、Sとスペシャルパッケージ、レザーパッケージ、という3つのグレードを用意したのです。

  • 高山 正寛
  • マツダ ロードスター《撮影 太宰吉崇》
  • マツダ ロードスターを手がけた、山本修弘 開発主査《撮影 太宰吉崇》
  • マツダ ロードスター《撮影 太宰吉崇》
  • マツダ ロードスター《撮影 太宰吉崇》
  • マツダ ロードスター《撮影 太宰吉崇》
  • マツダ ロードスター《撮影 太宰吉崇》
  • マツダ ロードスター《撮影 太宰吉崇》
  • マツダ ロードスター《撮影 太宰吉崇》
  • マツダ ロードスター《撮影 太宰吉崇》
  • マツダ ロードスター《撮影 太宰吉崇》
  • マツダ ロードスター《撮影 太宰吉崇》
  • マツダ ロードスター《撮影 太宰吉崇》
  • マツダ ロードスター《撮影 太宰吉崇》
  • マツダ ロードスター《撮影 太宰吉崇》
  • マツダ ロードスター《撮影 太宰吉崇》
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