【ロードスター開発者への10の質問】Q8.ライトウェイトスポーツにふさわしいパッケージングとは?

新車 レスポンス

ダウンサイジングをはかり、「感」を追求した新型『ロードスター』。そのパッケージング開発はどのような哲学に基づき、どのような技術を駆使して進められたのだろうか。

商品本部 商品企画部 主幹の中村幸雄氏に話を伺った。

Q8.ライトウェイトスポーツにふさわしいパッケージングとは?

A8.人を中心とし、より低く路面に近い場所にドライビングポジションを置きつつ、視界を犠牲にしないことで、マツダのスポーツカーらしいパッケージングを実現した。

◆ドライビングに集中できる=運転が楽しくなる

----:ロードスターのパッケージング開発はどのように進められたのでしょうか?

中村幸雄 主幹(以下敬称略):やはり人間中心の車づくり、ということに非常に注力し、まず乗員のドライビング空間を一番最初に考えて作りました。その中で、最初に取り組んだのが乗員をどこに配置するか。フォーミュラーカーなどを見るとわかりやすいですが、車はタイヤが4つなので、真ん中に座っているのが普通かつ理想的です。しかし、実際市販する車で考えたらそれは無理なのと、もう一つFRという問題もある。非常に難しいことではあったんですが、それでもとにかくなるべく車両の中央に乗員を乗せようと。

そして、車と人の一体感をアップさせたいということで、より乗員を低く低く下げるドライビングのポジションを設定しました。つぎに、リラックスした姿勢で手を伸ばした位置にステアリングやシフト、ペダルなどの操作したいものが素直にある、という状態を目指しています。

----:それは、今の新世代商品の中で全てに共通する考え方でもありますね。

中村:自然な操作ができるということは、ドライビングにそれだけ集中できる。これが、いわゆる運転する楽しさをドライバーにすごく感じてもらえる、ということに繋がるのです。その上で、「感」、いわゆる車のスペックとかではなくて、ドライビングするお客様が、気持ち良いとか楽しいという気持ちになることを開発のテーマにしようと。そこで大事になるのが、軽快感ですね。構造的に軽くするとか、アルミなども使用しているので、材料面の話もあるのですが、やはり車をいかに小さくするか、をパッケージングでは取り組みました。

先ほど言いましたように乗員空間は、これはもう削ってはいけないところなので、そこは確保しながら、前後のオーバーハングなどを中心に、もうとにかく削れるだけ削っていこうというアプローチでやっています。

----:実際、オーバーハングはNCに比べて20mm短くされているとか。苦労も多かったのではないでしょうか。

中村:先ほど乗員を内側に入れると言いましたが、通常の車のフロアというのは、真ん中は駆動系が通ってるので、裾野が広がっているんですね。しかしロードスターは、内側に人を入れて低く下げている。裾野を絞るのに、シートの構造を工夫したり、ボディ担当のエンジニアが何回もシミュレーションを繰り返して成形を行いました。

----:新型は、ボンネットも低くなっていますね。非常に見切りも良いと感じました。エンジンも中央かつ後方へ持っていくようにしたのでしょうか。

中村:そうですね。運動性能のところでは大きく言うと2つ、慣性モーメントの低減と、低重心化に努めました。慣性モーメントの低減については、ホイールベース間にいかに重量物を載せていくかです。その中でも、エンジンはかなりの重量物なので、これをいわゆる後方に、フロントホイールセンターに対して、どれだけ下げられるかというアプローチで今回やってます。そういう意味で言うと、エンジン搭載位置に関しては、NCに対して15mm降下させました。

オープンカーでいわゆる屋根がないので、骨格の要になるのは実を言うとフロントのトリムから来たトンネルの、「ハイノートバックオン」と呼ばれる部分をいかに強化するかと、前後をいかにちゃんとつなぐかなのです。それで、この繋ぎ目のところを開発時の俗称で「銀座」と呼びます。銀座とは何かと言うと、賑やかというか、いろんなものがあるという意味で、よく広島弁で、「おう、これは銀座じゃ」と言うんですけど(笑)。つまり、ここの繋ぎ目のところは、下にはペダルがあるので、ペダルの取付けとか色々含めて、陣地の取り合いなんですね。

一方、エンジンが後ろに下がってくると、この断面に対して近づいてくる。そこでボディを削ってしまうと、せっかく前で素晴らしい構造を作っても、バックボーンへのつながりが悪いので、いわゆる折れてしまうというか、あまり意味を成さなくなります。繋がっていないものを補強しても全然意味が無い。だから、しっかり滑らかに断面を通さないといけないんですね。そうなると三つ巴になってくるのですが、今回は、もうそういうのはやめようと。全部両立する形でやろうということになりました。

◆ロータリースポーツから受継がれた低重心のDNA

----:運動性能でいえば「低重心」も重要ですよね。

中村:今回、新型のFFの車が使っているものからオイルパンを薄くしてもらって、それによりグラウンドクリアが稼げた部分を、ギリギリまで下げました。というのも乗員を下げたものの、それをそのままにしていたら、埋まり込んでしまって視界が悪くなる。一方で我々はその「感」のなかで「手の内・意のまま感」と言って、車がまるで手足の延長に感じるような、意のままに操れるという感覚を実現しようとした時に、大事なのはやはり、視界なのです。いかに路面近くまでよく見えるか。そういう意味で、乗員を20mm下げ、ボンネットはさらに下げるということで、結果的には28mm下げました。

----:ああ、それで8mm下がってるから、よく見えますよね。今回本当に、全体のつかみやすさに関しても路面とかなり近い、コンタクト感があるんですけれど、そういう設計の効果があるのですね。

中村:私は以前、『RX-8』も担当した事があります。ロータリースポーツの一番の良いところっていうのは、ロータリーエンジンのユニットそのものもあるのですが、スポーツカーのパッケージングにしようと思った時に、今のような、路面が良く見える低いボンネットとか、コンパクトなユニットだからこそできる、造形であり、視界を提供できるという部分です。それが今までやってきて、マツダのスポーツカー作りの中ではDNAの1つになっているかと思うので。なので、今回ロードスターでも、そういったことをやることに対して、誰も疑問を感じる人がいませんでした。

あとは、ボンネットの形で、車の挙動を分かりやすくするということで、例えば、FDの『RX-7』なんかもノーズの形状はすごく形の削ぎ込みがしてあって、FDにしようなんて話はしたことは全然ないのですが、みんな心の中でDNA的に、ああいったもので、いかに路面が合う、車がどういう挙動にあるかをつかませるっていうのは、やるべきものだというのは、多分共通認識であったのではないかと思います。

  • 聞き手 高山正寛、まとめ・構成 編集部
  • マツダ 商品本部 商品企画部 主幹の中村幸雄氏《撮影 太宰吉崇》
  • マツダ ロードスター《撮影 太宰吉崇》
  • マツダ ロードスター《撮影 太宰吉崇》
  • マツダ ロードスター《撮影 太宰吉崇》
  • マツダ ロードスター《撮影 太宰吉崇》
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  • マツダ 商品本部 商品企画部 主幹の中村幸雄氏《撮影 太宰吉崇》
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