“ふたつのヤマハ”の合同デザイン活動「プロジェクト・アーメイ」…その意味と意義とは?

モーターサイクル レスポンス

六本木ヒルズで7月3〜5日に開催された、楽器のヤマハとヤマハ発動機の合同デザインイベント「Two Yamahas, One Passion 〜デザイン展2015〜」。ここに展示された作品のうち4点が、両社のデザイナーによる合同プロジェクトで生み出されたものだった。

「project AH A MAY(プロジェクト・アーメイ)」は両社のデザイナーがお互いの業務領域を交換して、それぞれの考え方や作法でデザインを提案するというもの。同じヤマハブランドを使用する相手を鏡像に見立て、相互に刺激し合うと同時に、共通した「ヤマハらしさ」を見出すことが目的だ。3日にイベント会場でおこなわれた懇親会では、両社のデザイン責任者がプロジェクト・アーメイについて振り返った。

そもそも両社のデザイナーが合同で創作活動することの発端について、ヤマハデザイン研究所の川田学所長は「長屋がヤマハ発動機にデザインディレクターとして着任して、ヤマハに挨拶に来たときから始まっていた。音楽と乗り物の両方を扱っているブランドは他に例がない、ぜひクリエイターを交換してなにかやりましょう、という話をもらったんです」と振り返る。

「これって、セッションだよなあと思った」と川田所長。ここでの「セッション」とはミーティングや会合といった意味のビジネス用語ではなく、「普段は一緒に演奏していないミュージシャンが集まって演奏する」という、音楽の世界での言葉だ。

ときにそれぞれの主張をぶつけ合い、ときに価値観の異なる誰かに合わせて演奏することで、新しい表現や価値感を生み出せるのがセッションの妙味。「だからファーストコンタクトの時点ですでに、今回のイベントのキースケッチや見取り図のようなものが描き上がっていたように思うんです」と述懐する。

いっぽう、ヤマハ発動機デザイン本部の長屋明浩本部長はこう明かす。「ヤマハのアルファベットはすべて線対称。鏡に映すとAHAMAYになるんです。鏡に映った姿を見ることで、自分の姿を知る。ちょっと哲学的なアプローチですが、これをデザインの現場でやったらおもしろいだろうなあ、と」。そしてこれがそのまま、プロジェクト名になったのだという。

「デザインの仕事は、調査から始まることが多い。でもそれより前に『己を知る』ってことがいちばん大事だと思うんです。自分自身を知ってこそ、自分の作品を世に出すことができる。だからミラーリング(鏡映し)したかった」と長屋本部長。手がける製品は異なっていても、相手は同じヤマハというブランドであり、そこに飛び込むことは鏡像の自分に触れることと同義なのだ。

また「MAY」という語句にも大きな意味があったようだ。プロジェクトに込めた想いをこう説明する。「may be(予感)がwill be(確信)になり、最後にgotta be(義務)になる。いろいろな偶然やチャレンジが、すべての原動力じゃないかなと思っています」と語る。

「最初から確信を持って開発するというのはすごく難しい。最初は出来心でも気持ちを育て、最後は強い意志に持ってゆくというのが、最近の開発作業では足りていないんじゃないか。日本全体にそういう元気がなくなっているんじゃないか、という問題意識を持っていました」と長屋本部長。「だから自分から発信して、自分から元気になってゆく。それで人を幸せにするというサイクルにもっていきたい」とのこと。

川田所長は「アイテムは違っていても、どちらのヤマハも人が楽しむための道具を作っているし、趣味性が高い。理屈で考えるのではなく、気持ちに訴えるものを作っている」と分析。長屋本部長も「楽器はプレイヤーが主役。道具が身体能力を拡張して、人生を素敵にすることで感動が生まれる。これはモーターサイクルも同じです」と述べる。

企業は異なっていても、楽器のヤマハと乗り物のヤマハを実際に分けて考える人はほとんどいない。それぞれのデザイナーやエンジニアがお互いの事業領域とその精神を理解すれば、ヤマハというブランドの個性を際立たせることができるかもしれない。今回のイベントはその可能性を探る第一歩。今後の活動にも注目したい。

  • 古庄 速人
  • トークセッションする川田所長(右)と長屋本部長《撮影 古庄速人》
  • 「プロジェクト・アーメイ」の4作品
  • 電動アシスト自転車『O±O (ゼロプラスマイナスゼロ)』
  • モーターサイクル『√(ルート)』
  • ドラムス『RAIJIN』
  • マリンバ『FUJIN』
  • トークセッションの後は作品を使ったジャムセッションがおこなわれた《撮影 古庄速人》
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