【池原照雄の単眼複眼】注目のライバル誕生か、ホンダとスズキの「チーム総監督」

業界 レスポンス

◆スタート台に立った注目のライバル

ホンダとスズキは6月に新社長が就任、それぞれの課題に向けて新しい体制が始動した。両社の社長会見では、出席者を「おやっ!」と思わせることがあった。自らの経営を進めるに当たり、ホンダの八郷隆弘社長は「チームホンダ」を、スズキの鈴木俊宏社長は「チームスズキ」をキーワードに掲げたのだ。

偶然の一致だが、トップの強力なリーダーシップよりも合議やチームワークで課題に挑むという点では共通の事情がある。同じスタート台に立った両社長が在任中にどのような成果をあげるか、自動車業界に「注目のライバル」誕生だ。

八郷社長は7月6日の記者会見で、「新しいホンダに向けて2つのテーマを掲げる」とし、「グローバル6極体制の進化」と「ホンダらしいチャレンジングな商品の継続的な開発」に取り組む方針を明示した。そして、これらを推進するに当たってキーワードになるのが「チームホンダ」だと指摘した。ホンダの強みは「チームやプロジェクトのメンバーが高い目標にチャレンジし、実現すること」というのが八郷社長の持論であり、開発や生産、営業といった現場のチーム力を高めることが自らの仕事だと強調している。

◆「現場に根付いた仕事」が強みの八郷社長

一方、鈴木社長の「チームスズキ」は、世界のスズキグループ全体での企業風土改革や人材育成などを推進するうえでの“くくり”として表現している。同じ「チーム」でも捉え方が若干異なるというイメージだが、小さなチームの活動が有機的に総合してホンダやスズキというひとつのチームになるのだから、両社長の考え方に大差はない。

チームに焦点を当てるというこの一致には、成るほどと、うなずける所がある。ホンダのこれまでの社長は、技術屋としての強烈な個性をもち、経営も個の力でけん引する人がほとんどだった。しかし、八郷社長は明らかにタイプが異なる。「私の強みはさまざまな現場に根付いた仕事をしてきたこと」と自己評価するように、歴代の社長にはなかった幅広い経験と視点を武器に、ホンダを現下のあい路から引き出す構えだ。

◆脱“中小企業の親父依存”を目指す鈴木社長

スズキも前社長は、同社だけでなく自動車産業でもカリスマ的存在である鈴木修会長。1978(昭和53)年の社長就任から、すでに37年が経過しており、自ら「企業規模からもワンマンの限界が来ている」と指摘する。「浜松の中小企業の親父(修会長の自称)に依存していた体質からの脱却」を図る俊宏社長には、まさにチーム力が勝負となるのだ。

両社は、タカタのエアバッグ問題以外でも大量のリコールを発生させたという共通の課題も抱える。品質問題への対応の一環として、両社長は異口同音に現場やチーム内での「コミュニケーションを大切にしたい」とも話す。八郷、鈴木両社長はともに技術者であり、1959年生まれという共通項もある。チームの総監督として、時にはしっかりとお互いを意識しながら、経営というレースを競っていただきたい。

  • 池原照雄
  • ホンダ 八郷隆弘社長就任会見《撮影 太宰吉崇》
  • 鈴木俊宏社長《撮影 関航介》
  • 鈴木俊宏社長(左)と鈴木修会長(右)《撮影 関航介》
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