【川崎大輔の流通大陸】マレーシア中古車メディアは群雄割拠

業界 レスポンス

◆安定しているマレーシアの自動車市場

2014年のマレーシアの新車販売台数は66万5000台、前年実績に比べて1.4%増加となった。安定した経済・雇用状況に加え、新モデル車が市場を引っ張ったのが要因である。2010年以降60万台をキープしており、前年比33.7%の減少となったタイとは対照的に安定した国内新車販売台数の推移を見せている(図表1参照)。

フロスト&サリバンが発表した「2015年マレーシア自動車市場の展望」によれば、2015年のマレーシア国内新車販売台数(乗用車、商用車を含む)は、競争価格での新モデル車の販売、2014年に見直し案が策定された“NAP(国家自動車政策)”のプログラムが成長を後押しして、前年比3.15%増の68万5950台に成長すると予測している。

◆中古車メディアはウェブサイトへの流れ

こうした新車が中古車として市場に出てきた際、中古車を購入したいエンドユーザーが活用しているのが中古車メディアである。マレーシアの中古車メディアは群雄割拠。ほかのアジア諸国に比べて数多くのメディアがマレーシア各地に勢力を張ってお互いに競い合っている状況だ。

企業と一般消費者の取り引きであるB to C(Business to Consumer)、また一般消費者間で行われる取り引きであるC to C(Consumer to Consumer)、主としてこの2種類の取り引き形態がある。規模を中古車の掲載台数ということでみれば、マレーシアの中古車メディアCarlistが約16万台と最も多い。

一方、現地でのヒアリングによれば、Carlistの掲載台数は同じ車両もダブって掲載されていることが指摘されていた。Mudahが約8万台、Motor Traderが約4万台の掲載台数である。自動車物件数は全体の6〜7割がクアラルンプールを中心とした首都圏に集中している状態だ。中古メディアの媒体の種類は雑誌、新聞、ウェブサイトがメインだが、最近はウェブサイトへという流れが加速してきている。

◆マレーシアの主要中古車 6メディア

マレーシアの中古車メディアに詳しい方からのヒアリングによれば、中古車を探す場合、必ずエンドユーザーがどれかは見るであろうと言われている6メディアがある。「Carlist」「Motor Trader」「On the Road」「Star」「Paultan」「Mudah」だ。

「Carlist」はオーストラリアの上位場企業であるicarAsiaによって運営されており、icarAsiaはマレーシアだけでなく、タイ(One 2 Car)、インドネシア(Mobil 123)などでも中古車メディアを運営している。大規模なプロモーションを行い、積極的な戦略を続けているメディアだ。

「Motor Trader」は日本のグーネットを運営するプロトコーポレーションが、マレーシアの中古車関連情報大手のMTMマルチメディアを買収し子会社化。マレーシアで中古車情報誌「Motor Trader」「Bike Trader」の出版と関連ウェブサイトを運営しているほか、新車情報誌「Autocar」をマレーシアとシンガポールで出版している。マレーシアでは比較的高価格帯の中古車を扱うメディアとして認知されているようだ。

「On the Road」は日本の中古車インポーターと提携して運営されているメディアであり、雑誌とウェブサイトを運営しているという点でMotor Traderと似たビジネスモデルといえる。

「Star」はローカルの新聞。日曜日の裏面などにある新聞のクラシファイド広告はマレーシアではよく見られている。傘下でCarsifuという中古車サイトも運営している新聞系メディアだ。

「Paultan」はすっぱ抜きなどの記事が多く新車ニュースではマレーシア国内での知名度が非常に高い。oto.myという中古車サイトも少し前から運営しており無視することができないメディアとなっている。「Mudah」は自動車に限らない総合クラシファイド広告メディア。自動車に限定しなければマレーシア最大だ。中古車メディアとしてはC to Cのサイトとして認知度が高い。

◆中古車メディアの課題と可能性

マレーシア中古車メディアの課題として、不正確な情報、及び赤字の収益が指摘されている。情報の正確性は、情報が玉石混合で社会問題にもなっており、Mudahを介した個人間取引などで詐欺事件も起こっている。エンドユーザーが安心して中古車を購入できる仕組みづくりは不可欠だ。消費者保護のための規制も検討する必要があるだろう。

収益化に関しては、マレーシアでは紙からウェブへの流れが出てきている。特に、2015年4月1日から導入された初めての消費税6%(GST)の導入によって出版物は軒並み10%ほど値上げされている。ウェブへの流れが更に加速する可能性はあるだろう。一方で「ウェブに対してお金を出す」という感覚はまだ薄い。マレーシアでウェブサイトを運営する中古車メディアは、まだ収益は赤字傾向と聞く。マレーシアの中古車メディアにとって群雄割拠の時代を迎えており、各社予断を許さない時期だ。

ただし、上記のような課題を克服した企業にとっては、大きなブルーオーシャン市場が待っていると個人的に考える。物事には裏と表がある。GST導入によって、税金を逃れるためこれからC to Cの個人間取引が増えていく可能性は大いに考えられる。また、マレーシア市場ではデスクトップからモバイルに移行してきている。それにより新アプリなど商品開発によって新たな付加価値を収益化する可能性も持ち合わせているからだ。

<川崎大輔 プロフィール>

大学卒業後、香港の会社に就職しアセアン(香港、タイ、マレーシア、シンガポール)に駐在。その後、大手中古車販売会社の海外事業部でインド、タイの自動車事業立ち上げを担当。現在、プレミアファイナンシャルサービス(株)にてアセアン諸国の進出したい日系企業様の海外進出サポートを行っている。日系企業と海外との架け橋をつくるべく海外における中古・金融・修理などアフター中心の流通調査を行う。経済学修士、MBA、京都大学大学院経済研究科特別研究員。

  • 川崎 大輔
  • マレーシア中古車販売店の在庫《撮影 川崎大輔》
  • マレーシア中古車販売店(2)《撮影 川崎大輔》
  • マレーシア中古車販売店のメディア広告《撮影 川崎大輔》
  • マレーシア中古車販売店エリア《撮影 川崎大輔》
  • 図表1 マレーシアの新車販売台数推移川崎大輔作成
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