【池原照雄の単眼複眼】消すな! 横浜走る超小型EV「チョイモビ」の灯

社会 レスポンス

◆全国40か所の実証実験で最大のスケール

日産自動車と横浜市が2013年10月から実施してきた2人乗りEV(電気自動車)による超小型モビリティの実証実験「チョイモビ ヨコハマ」が、9月末で予定終了となる。全国約40か所で行われてきた同様の実証実験で、チョイモビは車両数や利用件数など、ずば抜けてスケールが大きい。利用者の評判も総じて良く、運営の継続を望む声が少なくないという。今後の方針は現時点で未定だが、自治体や国の運営支援強化も含め、何らかの延長措置ができないものかと考える。

チョイモビの車両は、日産のEV『ニューモビリティコンセプト』で、全長2340mm、全幅1230mmというコンパクトな車体サイズに前後2人が搭乗できる。リチウムイオンバッテリーをフル充電すると約100kmの連続走行が可能。高速道路や自動車専用道路での走行は認められないが、最高速度は80km/hが出せる。トヨタ自動車の『i-ROAD』やホンダの『MC-β』などとともに、国土交通省が13年1月にスタートした「超小型モビリティ」制度の認定を受けたEVだ。

◆利用実績5万回突破でも人身事故ゼロ

これら3社の車両は、すでに終了したものも含めると全国約40自治体の実証実験で、延べ200数十台が運用されてきた。横浜のチョイモビは最多時で70台、現在は50台が走っている。駐車場や充電所を兼ねたステーションは市内63か所に及び、多くの観光名所もカバーしている。運営は会員制で、借りたのとは別のステーションに乗り捨てできる「ワンウェイ・カーシェアリング」を採用しているため、利便性も高く評価されている。

会員数は1万3000人で、これまでの延べ利用回数は5万回を突破した。利用には自動車の免許が必要であり、やや特殊な車両なので会員になるには日産が実施する90分の講習の受講も義務付けられている。同社によると、これだけの利用実績がありながら、人身事故はゼロ(8月末現在)というのも驚きだ。講習や利用者のマナーもしっかりしているのだろう。

国交省は、超小型モビリティを「少子高齢化時代の新たな地域交通手段」として、各地域での観光用途なども含めて育成を図ろうとしている。横浜の場合は、観光地の顔ももった大都市での実験でもあり、得られる利用実態は国交省が検討する超小型モビリティの新たな車両規格の策定など、次の展開に生かす貴重なデータとなろう。それだけに、更なる運用の継続も検討されるべきだ。

◆国、自治体、民間が一丸で3年目のチョイモビを

実はチョイモビは、当初14年9月まで1年間の実験としてスタートしたが、好評のため1年延期した経緯がある。ただ、利用者の要望に応えてさらに再延長を、とは容易に言えない事情も見えてくる。運営収支は明らかにしていないが、日産の負担が重いのは想像に難くない。車両の提供とメインテナンスに始まり、講習会、運用時にはバッテリー切れがないよう全車両の状態もリアルタイムで把握している。

入会金1000円、料金は1分30円などとなっている利用料がステーションなども含む運営費に充てられるが、ごく一部しか賄えないのが実情だろう。再延長にあたっては自治体などの支援強化とともに、利用負担の見直しも必要かもしれない。日産の担当部署は「国、自治体、民間が一丸となって、街づくりや従来の公共交通機関を補完する新しいモビリティの姿を考えていくことが重要。当社は魅力あるクルマづくりで貢献したい」(バッテリー事業本部企画グループ)と話す。ここでチョイモビの灯を消すのでなく、まさにそうした協議から“3年目の姿”を導き出してもらいたい。

  • 池原照雄
  • チョイモビ ヨコハマ (日産提供)
  • チョイモビ ヨコハマ (日産提供)
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