【インタビュー】「VW問題はインダストリー4.0の進展の妨げとはなっていない」…ボッシュ役員

業界 レスポンス

ドイツが産官学一体となって強力に推し進めている「インダストリー4.0」。なかでもボッシュは、生産ラインを通信に接続し、個々の行程を最適化することで生産性を高めたスマート工場を展開し、最も先進的なインダストリー4.0企業として業界の牽引役となっている。今回、そのボッシュでインダストリー4.0プロジェクトを統括するヨアヒム・フランゲン(Joachim Frangen)氏にインタビューを実施、プロジェクトの進捗と今後の展開について、話を聞いた。

◆VW不正問題のインパクトは“今のところない”

----:VWのディーゼル不正問題がクローズアップされているが、850万台に及ぶ大規模なリコールが発表された。この問題がボッシュのインダストリー4.0への取り組みに何らかの影響を及ぼす可能性はあるか。

ヨアヒム・フランゲン氏(以下敬称略):VWの問題に対する解答を出すには時期尚早すぎるので、コメントは差し控える。ただ、現状はネガティブはインパクトはない。

----:工場のデジタライゼーションが定着したインダストリー3.0と、インダストリー4.0との違いはどのような点にあるのか。

フランゲン:インダストリー4.0は、「コネクテッドインダストリー」と呼びかえることができる。デジタル化はコネクテッドインダストリーのために技術を提供するもの。工場のラインの例を取ると、いままで看板や伝票で確認していた部品発注や工程がデジタル化されることによってステータスがビジュアル化されるようになった。これがインダストリー3.0。インダストリー4.0はデジタル化されたデータを集めて中枢でまとめて活用できるようになった。コネクトすることで全体最適が図れるようになったため、当社の場合、インダストリー4.0が導入された工場では、在庫を3割減らすことができ、生産効率も10%向上させることができた。

ただ、インダストリー4.0のソリューションは一様ではなく、作業環境の改善であったり、現場の人間の能力向上であったり、ユースケースごとに異なってくる。ソリューションの導入成果が早期に把握でき、さらなる改善策を打ち出せることも特長で、インダストリー4.0の導入は効率を上げることに役立っている。

◆プロバイダーでありながらオペレーターであることの強み

----:ドイツにおけるボッシュのインダストリー4.0における役割はどのようなものか。

フランゲン:当社は、リードプロバイダーでありながらリードオペレーターでもある。当社の事業部門のひとつ「インダストリアル・テクノロジー」というセクターは、IoTを活用した製造工場の革新に取り組んでおり、ここにスマート工場のノウハウを蓄積している。また「オートモーティブ・エレクトロニクス」というセクターでは、加速度やジャイロなど車載向けの各種センサー(MEMS:Micro Electro Mechanical Systems)を提供していたが、ここ数年はスマートフォンなどの消費財への需要も高まっている。センサーの生産総計は2014年で50億ユニットを達成しており、コネクテッドソリューションのニーズは引き続き拡大している。

----:ドイツ政府は、インダストリー4.0について、2015年内に100個のユースケースを作るといいう目標を掲げているが、これは実現可能か。

フランゲン:すでに数多くのユースケースがある。それから100を集めることは可能だ。当社だけで取り組んでいる課題ではなく、他の研究機関や大学と連携して、物理的な垣根を越えて取り組んでいるところだ。

----:先頃レニンゲンに開設された新研究センターでは、人工知能やマシンラーニング(機械学習)を重点研究分野に位置づけた。

フランゲン:データを蓄積するだけでなく、データを活用することが大事だ。人間が主導で分析することが必要だと思う。データマイニングやデータアナリティクスはインダストリー4.0にとって不可欠な要素。一部の工場では、データアナリティクスによって生産設備の損耗度合いを予測して、トラブルが起きる前に部品を交換する予測保守を導入している。当社では、こうしたソリューションをパッケージとして提供しているので、顧客の用途に合わせて使ってもらうことが可能だ。ホンブルク工場では、テストの行程が90あったところをデータマイニングの技術をつかって分析したところ、20が不要ということが分かり、これらの行程を省略して効率を上げることができた。

◆日本企業のインダストリー4.0への参加も歓迎

----:国際間の連携についてはどう考えているか。

フランゲン:もちろん、一企業の取り組みには限界があり、企業どうしそして国どうしの連携も不可欠だ。従来は企業内だけでイノベーションがおこなわれていたが、インダストリー4.0は、ドイツ政府がイニシアチブを取り、さまざまな企業が連携して産業を活発化・活性化していく取り組み。また当社は米国のインダストリアル・インターネット・コンソーシアム(IIC)の運営委員会メンバーでもあり、こちらではIoT(Internet of Things)に関わっていく。こうしたパートナーシップを通して競争力を強化していきたい。

----:インダストリー4.0において、最大のライバルである米国に対する優位性はどのような点にあると考えるか。

フランゲン:ドイツは歴史的に機械メーカーとして強いポジションを占めてきた。とりわけマシンテクノロジーやアプリケーション、データ分析での競争力は高い。当社について言えば、輸送/産業機械の分野をほぼカバーしており、その広汎な事業分野は当社のひとつの強みだ。

ただハードウェア/ソフトウェアどちらか一方では世界の競争を勝ち抜いていけないので、ソフトウェア技術をさらに高めることで、要求が高まる顧客のニーズにも対応していけるものと思う。インダストリー4.0は当社にとって大きなチャンスであり恩恵を得られる機会だ。

----:メルケル首相がこの4月に来日した際、安倍首相との共同会見で日本の企業がインダストリー4.0に参画することに対して歓迎の姿勢を示したが、競合関係にある国外企業の参画に対しての抵抗はないか。どのような協調体制を取っていくことが可能か。

フランゲン:当社は日本でも7000人の従業員を雇用しており、グループの中でも重要な位置を占めている。日本の参加がドイツの企業である当社にも恩恵をもたらしてくれるものと考えている。当社はグローバル企業であり、インダストリー4.0は企業間の協調なくしては実現できないので、グローバルに物事を考えねばならない。他の国の企業がインダストリー4.0に参加することに何ら問題はない。

  • 北島友和
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  • ボッシュ ロイトリンゲン半導体工場
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