【北京モーターショー16】マツダ CX-4 は「より美しく、“Fun to Drive”を目指した」…小泉チーフデザイナー

新車 レスポンス

マツダのニューカマー『CX-4』は、SUVとしては異例のワイド&ローを実現した。その基本デザインは言うまでもなくフランクフルト モーターショー15で登場した『KOERU』だ。デザインを担当したチーフデザイナーの小泉巌氏と、チーフエンジニアの岡野直樹氏に話を伺った。

◆「CX-4が世に現れたことで、SUVに対する世の中の概念が変わっていく」

----:CX-4がデビューし、具体的な形となりました。デザイナーの方にとって満足度はどのぐらいなのでしょうか?

小泉チーフデザイナー(以下敬称略):最初に自分のチャレンジを実現するとき、いろんなハードルがあって、それをどう乗り越えるかビジョンを思い描きます。そのビジョンを実現したとき、それとオーナーの方に共感を得たときなど、そこに至るまでいろんな満足度に対する尺度があります。それを踏まえれば、100%に近いプロセスを歩んでいるところではありますが、現時点では世の中に出たという満足感しか経験できていません。ただ、シンプルに質問に答えれば“Nearly100%”といったところではないでしょうか。

----:昨年の東京モーターショー15で小泉さんは「これはSUVではなくクロスオーバーカーです」と仰いました。でも一般の人はそれがわかりにくいと思います。

小泉:そうですね。なので、今回はそれを整理してきました。端的に言えば、SUVに対するイメージをみんな持っていると思うんですが、昨年発表したKOERUはそれを超える新たなSUV像として描きました。ショーカーであるKOERUは自分たちのビジョンを超えるもの、既成の概念を超えるものとしてメッセージを送ったのです。それを量産するということは、今度はビジョンを実現するという領域に入った、いわばリアリティのあるところに出て来たわけです。今回、CX-4が世に現れたことで、SUVに対する世の中の概念が変わっていくだろうと思っています。でも、それを「クロスオーバーカー」とどれだけ言っても、なかなかピンときてもらえません。 少なくともCX-4はビジョンではなく現実としてSUVのカテゴリーで登場したのですから。ただ、今までのSUVとはちょっと違う。これからはこういう形でもSUVとして認識できるですよというメッセージを具体化したつもりです。

----:SUVは実用性も併せ持つために、車高がある程度持たせるというのが今までのSUVの概念でしたが、車高が低くクーペのようなスタイリッシュなデザインでもSUVは成り立つと言うことなのでしょうか?

小泉:我々のメッセージは、「SUVと言えども、より美しく、よりFun to Driveなセグメントの実現」なんです。ハンドル切ったらヨロッとするんではなく、高いスタビリティを持ってコーナリングしていく。SUVを選ぼうとしたらミニバンみたいな無骨なデザインではなく、クーペ調のカッコ良さ、でもこれはSUVなんだよ、と。

◆「数値には表れない現代の合理性を突き詰めた形がSUV」

岡野チーフエンジニア(以下敬称略):誤解のないように申し上げますと、従来のSUVを否定しているわけではありません。それはそれでそのカテゴリーとして存在意義がありますから。

小泉:たとえばSUVとは言えどもクロスカントリーから始まっているわけで、そこから比べたら今のSUVはタダの乗用車にも見える。

岡野:現代の合理性を突き詰めた形がSUVだと思っています。それまでは物理的に現れる機能、たとえばどれだけ速いか、どれだけ乗れるか、とにかく数字にこだわってきました。でも人生を経験していくにつれ、カッコがいいのがいいよね、乗って気持ちがいいよね、とか、目に見えないようなところにも価値があることが分かるようになってきます。そういった時にどれをどうバランスさせていくのがいいのか追求していった結果、CX-4が生まれたというわけなんです。

小泉:私はマイカーとしてこれまで、スポーツカーと5ドアハッチバックを行ったり来たりしてきました。スポーツカーは『コスモスポーツ』、『RX-7アンフィニ』とか、5ドアハッチバックはシトロエンとかが多かったんですが、シトロエン『BX』ってありましたよね? 車体がすごく軽くでてきているんで、そこそこ走ってくれました。でもスポーツカーと比べるとコーナリング時に、「ああ、重たいコート着て走っているんだな」と思っちゃう。一方でスポーツカーに乗るとスキーに行くとき荷物が入らないと思うんです。

これを繰り返してきた結果、5ドアハッチバックは生活支援ツールになると認識するようになっていきました。現在は『アテンザ』の5ドアに乗っていますが、これは想像以上に満足度が高かった。仮に新型を手掛けたのでそれに替えようとすると家族から「このクルマの何が悪いの?」と反対されるほどなんです。今の5ドアハッチバック車には、ライフスタイルの拡大というか、自由度が増えるポテンシャルを持っておけるという安心感が大きくなってきているんだと思います。

岡野:キャンプ場に突然出掛ける時でも、5ドアハッチバック車はそれに対応できてしまうことに魅力があります。片や中国だと道路状況にきちんと対応できないといけません。SUVであれば少なくともその対応はきちんとしなければなりませんね。

----:CX-4はSUVの形態を持ちながら、そんな5ドアハッチバックにも近い、ということですね。

岡野:アメリカ市場に目を向けると、スポーツカーは2つのタイプがあります。1つは2シーターのリアルなスポーツカーで、もう1つはピックアップといういわばトラックですね。その両方を併せ持つのがSUVという認識もあります。CX-4をすべての人が受け入れてくれるとは思っていません。でも、ある種のフロントランナーとしてのポテンシャルは持って行きたい。当然、『CX-5』というSUVの王道を行く車種があり、それはそれで発展させていく必要があります。先ほど中国は“SUVの市場”と仰いましたが、我々がCX-4の企画をスタートさせた4年前は決してそうではなかったんです。セダン市場でした。今でも比率としてはセダンの方がはるかに大きい。そういう伝統とかフォーマルな使い方を重視される方も多いわけで、その部分にマツダの英知を出してフォローしていく必要がありますね。

◆「高い運動性能とSUVのようなパッケージングを両立したのがCX-4」

小泉:中国のジャーナリストの方とディスカッションしていると、同じ事を彼らも言います。セダンを経験して、SUVを経験して初めてここに来られるんじゃないかな、というモノの見方なんです。一方でオーナーの中には、単にSUVが流行っているから買ってみたという人も大勢います。でもSUVに乗って経験すれば、ハンドルを切ったときのSUV特有の重心の高さから質量を感じて、思ったよりもユサユサするんだな、と思うわけです。

----:とはいえ、そうは思わないユーザーもいますよね?

小泉:そうだとは思います。でも、運転好きな人はここまで全高は要らないな、スペースも要らないなと思うはず。それよりもっと気持ちがいいハンドリングが欲しい。そんなイマジネーションを働かせる人ってきっといると思う。そういう感覚を持った人がCX-4を見たら「これはいいぞ」と思ってくれるはずです。かなりのプライオリティで高い運動性能を自分のものにしたい。だけどSUVのようなパッケージも欲しい。その意味でCX-4はいいじゃないか、そう思ってくれる人がいるはずと考えているわけです。

----:CX-4を見ていると、無理のない自然なかっこよさを感じます。

小泉:たとえば、セダンをクーペにしていくと、かなり圧迫感が出てきてしまいます。その点、SUVは元々余った空間があるわけで、それをセダン並みにするというのは全然問題がなくて、それでいて日常生活をサポートするのに必要なスペースは残ります。これだけスタイリングに寄せたとしても、実用面ではまだまだ突き詰められると思うわけで、その意味でクーペ型SUVというのは実は一番いいんじゃないかと思っているところです。

----:これを横から見ると十分ヘッドクリアランスも取れてるし、居住性にスポイルされるものが何もない。それでいて荷物が十分入ってスタイリッシュである。CX-4の大きな魅力ですね。

岡野:結構、本音みたいなところは押さえてあって、乗り降りするのも歳を取ってくると辛くなりがちです。今までのSUVなら、ついヨッコラッショとなったりする。CX-4はそれらSUVよりもちょっと乗用車寄りにあって、乗り降りは素晴らしい出来に仕上がってます。

◆「後席はショーファードリブンとしてのスペックも備えた」

小泉:それと後席ですね。トルスアングルなんですが、SUVの場合、座面が高い位置にあるからトルスアングルも立ってくることになる。そうすると長距離を乗るときに、脊髄に向かう入力は大きくて、快適性ではどうなんだろう? と疑問を持つ。それならリクライニングを付ければいいだろうとの発想になりますが、人間の姿勢というのは足の姿勢が全体にも影響を及ぼすので、高くすればやはりバックシートを寝かせてはいけないとなる。CX-4ぐらいの車高だと、セダンかそれプラスαぐらい。いわゆる快適性はショファードリブンの後席とほとんど変わらないんです。

小泉 実はロールスロイスもこの高さで、トルスアングルはそれと変わらない。ショファードリブンのリアパッケージをCX-4は実現したということになるんです。

----:ところで、リアシートなんですが、ヘッドレストは座ったときに背中に当たったりしませんか?

小泉 ドライバー席でもむち打ちを防止するため、最近は対策することもあるが、CX-4の後席は収納した状態でも背中にヘッドレストが当たることはありません。

岡野:CX-4ではトルスアングルを寝かせる方向で設計しているので。本当はむち打ちとの戦いがあったりしているので、他の車両に比べて室内が広いとは決して言えない。むち打ちというのはホントはヘッドレストではなく、シートバックに影響されるものなんです。座ったときに背骨が湾曲しますが、Gがかかったときに背骨の椎間板がキュッと圧力がかかって潰して影響が出ることが多い。頭だけ押さえても大してむち打ちに対して効果はない。ポイントはシートバックなんですね。でも支えないといけないので対応しているというわけです。

  • 会田肇
  • CX-4、チーフデザイナーの小泉 巌氏(左)とチーフエンジニアの岡野直樹氏(右)《撮影 会田肇》
  • 今年の北京モーターショーでデビューしたCX-4《撮影 会田肇》
  • 『KOERU』が現実のものとなり、新たなSUVを提案することとなったのがCX-4《撮影 会田肇》
  • 「『KOERU(越)』の時は既成概念を越えるビジョンとしてメッセージを送った」小泉氏《撮影 会田肇》
  • SUVでもよりFun to Driveな走りが楽しめるよう、ドラポジをグッと低くした《撮影 会田肇》
  • ラゲッジのスペースも確保《撮影 会田肇》
  • 車高を下げてもSUVとして実用性はきちんと確保した《撮影 会田肇》
  • CX-4の開発チーフエンジニア 岡野直樹氏《撮影 会田肇》
  • コンセプトカー「KOERU」からのチーフデザイナーを務めている小泉 巌氏《撮影 会田肇》
  • トルスアングルをショーファードリブン並みとすることで後席の居住性も高めた《撮影 会田肇》
  • 運転席回りだけを見る限りではとてもSUVには見えない《撮影 会田肇》
  • CX-4発表直後の会場。長い時間にわたって多くの報道陣がCX-4を囲んだ《撮影 会田肇》
  • CX-4の後席。角度を立てることなくゆったりとした居住性を確保した《撮影 会田肇》
  • 華やかに盛り立てるステージ上に姿を表したCX-4《撮影 会田肇》
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