【人とくるまのテクノロジー16】「意識のバリアフリーを」パーソナルモビリティの可能性について活発な議論

新車 レスポンス

5月25〜27日に開催された「人とくるまのテクノロジー展2016横浜」。主催の自動車技術会は展示会と同時に春季大会を開催し、さまざまな会議や講演もおこなわれた。そのなかでパーソナルモビリティに焦点を当てたフォーラムも開催されている。

「出かけよう!未来を変えるパーソナルモビリティで!」と題したフォーラムを開催したのは、自動車技術会デザイン部門委員会。自動車の技術に関わるプログラムがほとんどを占めるなかで、異色の内容だ。

フォーラムは東京大学次世代モビリティ研究センターの須田義大センター長による基調講演でスタート。「これからの時代の交通システム、街づくりの方向性と課題」という題で、超小型モビリティの価値を訴えた。高齢者や交通弱者のためにも、既存の乗用車と公共交通の間を取り持つ乗り物が必要という認識だ。

さらに「パーソナルモビリティはシェアリングエコノミーとの関係を深め、行政や経済界、IT業界など複数の当事者と有機的に連携し、共存共栄を目指さないと実現できない」と須田センター長。「新しい乗り物なのだから、制度設計、街づくり、道路整備、安全安心の確保、楽しさの追求、新しいライフスタイルを作ってゆくという観点で、社会受容性を確保したエコシステムの構築が必要」と結んだ。

続いて第一部として、自動車メーカーの実例紹介。本田技術研究所4輪R&Dセンター デザイン室の矢口忠博シニアエキスパートが『Wander Walker』、トヨタ自動車先進技術開発カンパニーBR次世代車両開発室の谷中壯弘 主査は『i-ROAD』の開発における研究成果や、実証実験で見つかった課題などが紹介された。

この後にはピープルデザイン研究所の須藤シンジ代表理事が登壇。福祉機器を特殊なプロダクトではなく、ライフスタイルに寄り添う商品としてアピールする活動を続けていることを説明。「バリアフリーとよく言われるが、そのバリアはハードウェアではなく、人々の意識のほうにあるのではないか。この”意識のバリア”をどう壊し、ポジティブに創造的に混ざり合っていけるのかを考えている」という。そして活動では電動カートをはじめとしたパーソナルモビリティも活用していることを紹介した。

また「日本の大手製造業の人は、身体障害者や高齢者といったマイノリティが形成する小さな市場にたいして、上からの立場や目線で問題点やニーズを探り、商品を届けようとしているのではないか?」という仮説を披露。「車椅子に乗るというシーンに人々が憧れるということはないだろうけれども、“車椅子に乗るのも、別に悪くないかもね”と思える未来にしたい」と須藤代表理事。

行政の援助を利用して使うのではなく、ユーザーが消費税を支払ってでも積極的に購入することで市場が形成され、そこに向けて商品が届けられるという未来を提案している、とのこと。

第二部は4氏によるパネルディスカッション。第一部の後に聴講者が提出した質問を元に議論が進められたのだが、質問は「超小型の自動車」という概念によるものと「個人移動のための道具」として捉えたものが混在したため、登壇者の発言もいささか散漫になってしまった印象。ただしそれは、多様なパーソナルモビリティの可能性があるということでもあるだろう。

ひとくちにパーソナルモビリティと言っても、公道を走る超小型車から歩行者として扱われるシニアカーまで、さまざまな種類の「乗り物」がある。そうした車両を開発すると同時に、それぞれが活躍できるインフラや社会環境を考え、作り上げていかなければならないということなのではないだろうか。

  • 古庄 速人
  • フォーラム会場にはトヨタ『i-ROAD』とホンダ『Wander Walker』が展示された《撮影 古庄速人》
  • 須田義大センター長《撮影 古庄速人》
  • 矢口忠博シニアエキスパート《撮影 古庄速人》
  • 谷中壯弘 主査《撮影 古庄速人》
  • 須藤シンジ代表理事《撮影 古庄速人》
  • パネルディスカッション風景《撮影 古庄速人》
  • パネルディスカッション風景《撮影 古庄速人》
  • 挨拶するデザイン部門委員会の高嶋晋治 委員長(本田技術研究所)《撮影 古庄速人》
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