【池原照雄の単眼複眼】自動車取得税は残り、新税は見送りへ…消費増税再延期の余波

業界 レスポンス

◆国内市場低迷へ追い打ちの可能性も

安倍晋三政権が2017年4月の消費税率引き上げを19年10月まで先送りすることで、自動車の税制も17年4月からの新税導入などの見送りが必至となった。一方で、燃費性能の良い車を対象にした優遇措置である「エコカー減税」と「グリーン化特例」は16年度で期限切れとなる。消費税増税は延期されたものの、自動車税制は負担増へ―となれば低迷が続く国内新車市場には追い打ちとなる。自動車業界には燃費データの改ざんや不正測定という問題が重くのしかかるが、17年度以降のユーザーの税負担軽減策を政府・与党にしっかり訴えていかねばならない。

税率10%への消費税増税が17年4月に計画通り実施された場合、自動車税制では廃止と新設が同時に行われる予定だった。廃止は車両購入時に課税される「自動車取得税」(税率は取得価額の2〜3%)。新設は「環境性能課税」と呼ばれているもので、燃費性能などによって税率は0〜3%と制度設計されていた。いずれも地方税であり、取得税の廃止でなくなる財源を、新税でまかなおうという手立てだ。15年末の与党税制調査会の税制改正大綱に「消費税率10%」時に導入すると盛り込まれた。

◆保有税の負担軽減検討も先送り

同大綱ではさらに、17年度税制改正において「自動車の保有に係る税負担の軽減に関し総合的な検討を行い、必要な措置を講ずる」という一文も盛り込まれた。これは先進諸国でも過重となっている保有段階の税負担、具体的にはユーザーが毎年支払う「自動車税」(軽自動車は「軽自動車税」)の負担軽減を念頭に置いたものだ。この軽減策検討も「消費税率10%」が前提となっていた。

こうした軽減策、あるいは取得税の廃止と環境性能課税創設の扱いについては今後、与党税調が方針を決める。だが、消費税増税が延期された今となっては、17年度からの導入は「(消費税増税と)セットで先送りが必至」(自動車業界団体幹部)となっている。

◆焦点は「エコカー減税」などの延長措置

一方、16年度で期限が来る「エコカー減税」は、燃費性能と排ガス規制値の達成に応じて、自動車重量税と自動車取得税が免税あるいは20〜80%の幅で軽減されるもの。さらに、同様の性能に応じて自動車税(または軽自動車税)を新車購入の翌年度のみ軽減する「グリーン化特例」も16年度までが期限となっている。車両購入時や保有時の税負担を現状より増やさないためには、こうした16年度までの免税あるいは軽減措置を17年度以降も延長しなければならない。

日本自動車工業会の西川廣人会長(日産自動車CCO兼副会長)は5月の就任会見で、自動車税制の負担軽減への取り組みについて「今年度から17年度にかけては大きな節目になる。(当局との)議論を活発にして最大限努力したい」と表明した。この時点で、消費税増税の延期は決まっていなかったものの、延期となった今も自工会の取り組みが「大きな節目」という情勢に変わりはない。

ただ、エコカー減税など負担軽減策の尺度となる燃費性能については、そのデータの改ざんや測定法の不正問題が発覚した。自動車メーカーの信任を取り戻すため、当事者は補償や減税された一部税金の返納、さらに再発防止策などへの早急な取り組みが求められている。

  • 池原照雄
  • トヨタ アクア(手前)とプリウス(奥)
  • ホンダ N-BOX
  • 3度目の会見に臨む三菱自動車、益子会長(右)、相川社長(左)《撮影 中島みなみ》
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