ジェイテクトのTwin-ITCCを、ジューク 16GT FOURで体感

業界 レスポンス

ジェイテクトは7月14日、三重県伊賀市にあるテストコース「伊賀試験場」で、基幹事業の一つである駆動製品の体験会をメディア向けに行った。

今回、同社を代表する駆動製品として、トルク感応型LSD「トルセン」と共に取り上げられたのが、電子制御4WDカップリングシステム「ITCC」だ。前者は歯車(ギヤ)による完全メカ式の、つまり電子制御が介在しないタイプのLSDだが、後者はいわゆるオンデマンド4WD車に搭載される電子制御多板クラッチ式4WDシステムである。

ITCCとは、Intelligent Torque Controlled Couplingの略。1998年に初めて市販車に搭載されたもので、いわゆる電子制御4WDカップリングシステムとしては世界シェアトップを誇る。2015年には販売実績で2000万台を突破したという。

基本的にはFFベースのクルマをオンデマンド4WD(通常は2WDで、必要な時だけ4WDになるタイプ)とする場合に採用される。搭載位置はプロペラシャフトの後端、リアデフの直前。通常は前輪駆動で走行するが、前輪がスリップした時などにボールカムで電磁クラッチを制御し、後輪にトルクを伝達する。電子制御式なので状況に合わせて前後トルク配分を100:0から50:50まで自由に可変できるほか、いわゆるフルタイム4WDより燃費を4%ほど改善できるのがメリットだ。

現行車でITCCを搭載しているのは、トヨタ車ではヴィッツ、カローラ、エスティマ、アルファード/ヴェルファイア、レクサスのRXやNXなど、FFベースの4WD車ほぼすべて(ハイブリッド車は除く)。日産はエクストレイル、ジュークなど。マツダはCX-3、CX-5、デミオ、アクセラ、アテンザなど。スズキは新型エスクード、SX4 S-CROSS。海外メーカーではフォードのエクスプローラー、クーガ。ジープのコンパス、パトリオットなど。現在、国内外の約70車種に採用されているという。

なお、現在でもFFベースの軽乗用車では、搭載性やコストの点から、回転差が生じるとトルク伝達を行うビスカスカップリングを使った4WDシステムが一般的だが、今や登録車では小・中型クラスのSUVでも燃費性能と走行性能の両立を狙って、こうした電子制御4WDシステムの採用が一般的になりつつある。

今回の体験会で用意されたのは、そのITCCの発展型と言える「Twin-ITCC」を市販車で搭載する日産 ジューク 16GT FOUR(2010年発売)。ITCCをリアデフ内に2個搭載することで、前後のトルク配分だけでなく、後輪左右のトルク配分も行い、それによるトルクべクトリング効果によって、アンダーステアの低減やライントレース性の向上を狙ったものだ。

ジュークは2010年の発売時に試乗していたが、16GT FOURに乗るのは今回が初めて。エンジンは1.6リットルの直噴ターボ(190ps、240Nm)で、トランスミッションはCVTのみ。

パイロンで仕切られた周回路を、まずはFFモードで走り始める。エンジンは低回転からパワフルだが、FFモードのハンドリングは典型的なFFコンパクトカーのそれでピリッとせず、腰高感もある。コーナリングスピードを上げようとすると、すぐにラインが外へ膨らんでしまう。

続いて4WDモードを選択。すると別のクルマに乗り換えたかのように、ライントレース性が上がる。また、旋回中にアクセルを開けてもグイグイ曲がるし、アンダーステアが出てもアクセルを戻せば、すぐにリアのスリップアングルが増し、ノーズがインを向いてくれる。慣れてくると4輪ドリフト気味に、主にスロットルだけで姿勢をコントロールするような走り方も可能。ESPオンのまま走ってしまったのは、介入がほとんど気にならなかったからだ。発売から6年も経ってから言うのも何だが(途中で若干のマイナーチェンジはしている)、16GT FOURは実に楽しいクルマである。

試乗後、開発者にTwin-ITCCの採用が拡がらない理由について聞いてみると「そういうニーズが、お客様にないということかと思います」とのこと。今は楽しさより、燃費性能の方が市場ニーズとしては強いという。まぁそれはそうかもしれない。

生産コストについては、Twin-ITCCの場合、ITCCが2つになる分、普通のITCCより高そうに思えたが、実際には通常のデファレンシャルが不要になるため、普通のITCCより「ちょっと高い程度」で収まるという。ちなみに16GT FOUR(Twin-ITCC搭載車)の車両価格は270万円からで、16GT(同じターボエンジンのFF車)の約27万円高だ。

それが高いかどうかはともかく、どちらが楽しいかと言えば、これはもう断然16GT FOURの方だと言いきれる。コスト、燃費性能、そして何より市場ニーズといった点は今後の課題だが、ジュークのようなコンパクトSUVや、あるいは小型スポーツモデルに搭載された時には大きな付加価値になると思えた。

ジェイテクト自身も、Twin-ITCCについては、「走りの魅力」をアップするためのアイテムとして、まずは欧州市場への展開を検討しているという。欧州市場ではハルデックス社製の電動油圧多板クラッチ式4WDシステムが中・大型SUVに多く採用されているが、ジェイテクトでも今後は上級モデルでの採用を狙って、ITCCの高性能・高機能化が課題となりそうだ。

  • 丹羽圭@DAYS
  • 日産ジューク 16GT FOUR(Twin-ITCC搭載車)《撮影 丹羽圭@DAYS》
  • ジェイテクトのTwin-ITCC
  • 日産ジューク 16GT FOUR(Twin-ITCC搭載車)《撮影 丹羽圭@DAYS》
  • 日産ジューク 16GT FOUR(Twin-ITCC搭載車)《撮影 丹羽圭@DAYS》
  • 日産ジューク 16GT FOUR(Twin-ITCC搭載車)《撮影 丹羽圭@DAYS》
  • 日産ジューク 16GT FOUR(Twin-ITCC搭載車)《撮影 丹羽圭@DAYS》
  • 日産ジューク 16GT FOUR(Twin-ITCC搭載車)《撮影 丹羽圭@DAYS》
  • 日産ジューク 16GT FOUR(Twin-ITCC搭載車)《撮影 丹羽圭@DAYS》
  • 日産ジューク 16GT FOUR(Twin-ITCC搭載車)《撮影 丹羽圭@DAYS》
  • 日産ジューク 16GT FOUR(Twin-ITCC搭載車)《撮影 丹羽圭@DAYS》
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