DeNAが無人バスを商業施設で実証実験---今後は大学構内での実験も

テクノロジー レスポンス

DeNAは、夏休みの期間中を狙って8月1日から11日まで自動運転バスを利用した交通システム「Robot Shuttle」(ロボットシャトル)を運行。主催したDeNAによれば、連日200人前後が乗車する人気ぶりだったという。猛暑が続く中、その無人走行を体験した。

会場となったのはイオンモール幕張新都心(千葉市)に隣接する豊砂公園。普段はイオンモールに買い物に来た家族連れが遊べる遊具施設が設置してある、入場無料の公園だ。その周囲に約250mに渡って専用コースを設置、無人走行する。

無人運転バスとして使われるのは、フランスのイージーマイル社が開発した定員12人の小型バス『EZ10』。昨年10月にボルドー(フランス)で開催されたITS世界会議でデモ走行したものと同じ車両だ。

配備された車両は2台。ひとつは『Ver.2.0』で、もう一つは『Ver.2.3』の車両。両者とも障害物を検知するためのライダーが車両の四隅の装備されているが、Ver.2.3には車両前後の中央部にライダーが別に追加されている。「四隅だけでは高い位置にある障害物が検知しにくいことがあり、安全策を高めるために追加された」(DeNAオートモーティブ事業部 中井雄一郎氏)とのこと。

車内には非常ボタンが用意され、緊急時にはこのボタンを押すことでいつでも停止が可能。基本的には乗客がボタンを押してドアを閉めると自動的に目的地へ向かって走り出すが、今回の運用ではITS世界会議と同様、常に1名のオペレーターが乗車していた。何らかの異常時の対応としてオペレーターが対応することになっているという。また、車両の前後には走行状態を示す表示ランプも備わる。

動力はリチウムイオン電池で動き、前後に取り付けられたカメラやGPS、ライダーを組み合わせたセンシングによって走行が制御される。スペック上の最高速度は40km/hということだが、ここでは10km/h前後の速度でコース内を走行した。

このシステムの最大のポイントは、運用開始前にコースを走行し、センサーを利用して自動運転専用の高精度3D地図を作り上げることだ。これにより、ネットワークとの接続に頼らずシンプルなシステムで、運行するルートを問わずどんな環境にも対応して走行できるようになったというわけだ。

ただ、今回の実証実験では、ルートはすべて柵で囲われており、“自動走行”とはいえ、感覚的にはレール上を走行しているのに等しい。自動運転での制御を体感するまでとはなっていなかった。ボルドーでは柵は一切なく、人が自由に往来する中を走行しただけに、物足りなさを感じたのは正直なところだ。

この状況について中井氏は「この形ではないと警察から許可が出なかった」のだという。今後は九州大学との間で構内を無人バスで走行する実証実験も予定されており、「状況次第では柵なしの走行も実現するかもしれない」(中井氏)とのことだった。

DeNAでは、公道での自動運転タクシーを目指す事業も展開しているが、この事業ではあくまで私道での利用を想定。今後は「商業施設やテーマパーク、大学、工場に向けて、来客や従業員などの輸送手段として販売していく」(中井氏)ことにしているという。

  • 会田肇
  • 「EZ10」のVer.2.0。ライダーは四隅にセットされているだけ
  • 車内は6人掛けのシートを備えるが定員は12名
  • ディスプレイにはコース全体が表示され、現在地も映し出される
  • 車内には緊急時の要員として常時オペレーターが乗車した
  • ウィンドウ上部にセットされたカメラ
  • ルーフにはGPSレシーバーが乗せられている
  • 車両の四隅には地図を作成するのにも使うライダーが備えられていた
  • 「Ver.2.3」の車両には、高い位置の障害物にも対応するライダーが追加されていた
  • 走行状態を示すランプ。緑は正常走行、赤は異常発生を知らせる
  • 車内には緊急時のために「SOS」ボタンが装備されていた
  • 自動走行中の「EZ10」。正常走行を示す緑ランプが点灯している
  • フロア下にバッテリーが装備されているせいか、乗り降りは若干高めだった
  • 乗車するには大人200円、子供100円が徴収された
  • 試走会場となった豊砂公園全景
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