2016年の全日本F3王者は山下健太…ゲーム出身の強敵マーデンボローとの接戦を制す

モータースポーツ レスポンス

将来のトップドライバーを目指す若手が競う「全日本F3選手権」は、9月24〜25日のスポーツランドSUGO大会で今季のフィナーレを迎え、チャンピオンには参戦3年目の山下健太が輝いた。山下は、ゲーム出身の強敵ヤン・マーデンボローとの大接戦の末に悲願を達成している。

「モータースポーツの甲子園」とよく喩えられる全日本F3だが、今季のドライバーズチャンピオン争いは稀に見る熾烈さだった。

日産の若手育成プロジェクトが関与するチーム「B-MAX with NDDP」(エンジンはVW)で走るマーデンボロー、トヨタ系の名門チーム「トムス」で走る山下と新人の坪井翔(昨季FIA-F4王者)、この3人に王座の可能性が残った状態で、3レース(第15〜17戦)実施の今季最終SUGO大会に突入。ポイントをリードしてきたのはマーデンボローだが、SUGOのレースウイークに入ってからはトムス勢がマシン的に優位さをもった展開となり、実に微妙なタイトル攻防戦になることが予想された。

ポイント的に厳しい位置にいた坪井は日曜朝の第16戦決勝終了時点で王座争いから脱落し、勝負はマーデンボローVS山下に絞られて、午後の最終レース(第17戦決勝)に向かう。この段階でSUGO大会2連勝とした山下がついにポイントトップの座を奪って、103点。追う側に回ったマーデンボローは102点。1点差である。

勝った方がチャンピオンの最終第17戦、グリッドは第16戦の決勝結果で決まるため、ポールポジションは山下、そして2番グリッドがマーデンボローという完全な真っ向対決に。ここまでの構図が整うことはなかなかない。

天候急変やマシントラブルがない限りはピットストップなどあり得ないF3。コース上でのオーバーテイクも簡単ではなく、まさにチャンピオンの座をかけたスタート勝負である(路面ドライ)。ポールの山下は発進直後にマーデンボローの前、イン側へと進路を取り、ライバルの先行を絶対に許さないという気迫を見せつつ1コーナーへ。好発のマーデンボローだったが、ポジション逆転には及ばなかった。

SUGOのコースにおける今回のマシン戦闘力の面を含めて考えた場合、これでほぼ勝負あり。途中、セーフティカーが入る場面もあったが、山下はリスタートもしっかりこなしてSUGO大会3連勝、シーズン7勝目を挙げてチャンピオンを獲得した。強敵との息詰まるポイント争いを制しての、価値ある戴冠となった。

山下健太のコメント

「スタートを決められれば勝てると思っていました。ヤン(マーデンボロー)選手の方がスタートが良かったので、すぐに右に寄り、うまく前に出ることができましたね。序盤のペースはあまり良くなかったのですが、後半のペースは良かったです。今回のレースはさすがに緊張しました。3年目のF3、というプレッシャーもなかなかすごくて(笑)。最終的にチャンピオンが獲れて、ホッとしているのが正直なところです」

山下はF3参戦3年目(過去2年ともシリーズ2位)。まだ21歳という若手ホープの彼だが、F3とは元来、あまりモタモタしてはいられないステージであり、「ホッとしました」という言葉には頷けるところだ。「3年目のF3、というプレッシャーもなかなかすごくて」という言葉にも実感がこもる。

だが、これでしっかりチャンピオン獲得という結果を残した山下には、これまでの先輩チャンピオンたち同様、トップカテゴリー進出(あるいは海外武者修行)の道が開けるはずだ。若き逸材のさらなる飛躍に期待したい。

敗れたマーデンボローは英国出身の25歳。レースゲーム「グランツーリスモ」と現車のレースとを繋ぐ国際的コンテスト「GTアカデミー」で2011年にチャンピオンとなり、そこから“リアル”への本格進出を果たすという、現代ならでは経歴の持ち主だ。GTアカデミーと深くリンクする日産/ニスモから高い評価を受けており、今季はSUPER GTのGT300クラスでもGT-Rで戦い(相棒は星野一樹)、優勝を飾るなどの活躍を演じている。彼もまた、今後大いに上位カテゴリーや国際舞台での活躍が期待される存在だ。

ヤン・マーデンボローのコメント

「スタートがうまくいき、前に出ることができればこちらのものだと思っていたんだけどね。ワングリッド分の距離を埋めることは難しかった。シーズンを振り返ると、いい1年だったと思う。シリーズ2位は悔しいけれど、たくさんの経験を積むことができたからね」

なお、チーム部門タイトルはマーデンボローらを擁したB-MAX Racing Team with NDDPが、エンジンチューナー部門タイトルはマーデンボローらが使用したVWエンジンを手がけるスピースがそれぞれ獲得。また、エンジンワンメイクによる「Nクラス」の今季チャンピオンには、9勝を挙げた片山義章が輝いている。

VWエンジンの参入といった目新しい話題もあったところに、迫真のチャンピオン争いが演じられ、大いに活気づいた今季の全日本F3。来季もまた、上を目指す若手たちの激しい攻防に沸くこととなりそうだ。

  • 遠藤俊幸
  • 参戦3年目、悲願の王座獲得を果たした山下健太。写真:TOYOTA
  • 参戦3年目、悲願の王座獲得を果たした山下健太。写真:TOYOTA
  • 山下健太が王座獲得、F3新人の坪井翔がシリーズ3位となったトムス陣営。写真:TOYOTA
  • #36 山下と#22 マーデンボローは最後までタイトルを争い続けた。写真:TOYOTA
  • 惜しくもシリーズ2位となったヤン・マーデンボロー。写真:NISSAN/NISMO
  • 惜しくもシリーズ2位となったヤン・マーデンボロー。写真:NISSAN/NISMO
  • 惜しくもシリーズ2位となったヤン・マーデンボロー。撮影:遠藤俊幸
  • 最終第17戦、山下(手前)とマーデンボロー(奥)は1点差の状況でフロントロー対決に。撮影:遠藤俊幸
  • 往年のトヨタ系の名手で、山下を指導するひとりである関谷正徳さんがスタート直前に最後の激励。撮影:遠藤俊幸
  • こちらマーデンボローには、日産系の往年の名手、長谷見昌弘さんが最後の激励。写真:NISSAN/NISMO
  • 最終SUGO大会まで王座獲得の可能性を残していたひとり、坪井翔。写真:TOYOTA
  • 最終第17戦の表彰式。撮影:遠藤俊幸
  • 悲願の王座をステップに、さらなる飛躍が望まれる山下健太。撮影:遠藤俊幸
  • F3-Nクラスのチャンピオンとなった片山義章。撮影:遠藤俊幸
  • 来季もまた、全日本F3では期待の若手たちが激戦を展開することになるだろう(写真は第15戦)。写真:TOYOTA
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