【池原照雄の単眼複眼】インドをどう攻略…動き出すトヨタ−ダイハツの新興国共闘

業界 レスポンス

◆両社にまたがるカンパニーを設置

トヨタ自動車とダイハツ工業による新興国小型車事業での“共闘”が2017年1月に本格始動する。トヨタは、ダイハツにこの分野での開発から部品調達、生産準備に至るまでを委ね、軽自動車など小さいクルマづくりで培ったダイハツの競争力を最大限生かしていく構えだ。当面は中国を除くアジア地域から事業展開するが、とりわけ大市場へと変貌しつつあるインドで、どう活路を見いだすかにプロジェクトの成否がかかる。

両社は今年1月、トヨタによる完全子会社化で合意し、8月に実施した。その最大の狙いが、新興国での小型車事業のテコ入れと表明していた。具体策として今回、17年1月に両社にまたがる「新興国小型車カンパニー」(仮称)を立ち上げる計画を定めた。このカンパニーは、両社内にまたがる組織として発足させる。トヨタは今年4月に、車両の大きさなど製品群ごとに分けた7つの社内カンパニー制を発足させており、新興国小型車カンパニーは8番目になる。

◆責任もやり甲斐も大きいプロジェクト

現行のカンパニー制では、車両の生産や開発を担っている完全子会社群は、トヨタ内の各カンパニーに属している。たとえば『アクア』など小型車を主力とするトヨタ自動車東日本は「トヨタ・コンパクトカー・カンパニー」に、『ハイエース』や『ランドクルーザー』などのトヨタ車体は「CV(商用車)・カンパニー」に属している。また、レクサスを中心とするトヨタ自動車九州は「レクサス・インターナショナル・カンパニー」の一員となっているのだ。

しかし、新発足の新興国小型車カンパニーはこれらと違った形態になる。2社にまたがり、運営はダイハツがリードする形とする。本拠はダイハツ本社に置かれる見込みで、カンパニーの責任と権限を背負うプレジデントも、恐らくダイハツ側から出されることになろう。トヨタのコーポレート戦略部などを担当する寺師茂樹副社長は「トヨタはダイハツの競争力について根底から学び、自らの仕事のやり方を変えていく」と、新カンパニーの狙いについてコメントしている。

ひと口に「新興国」といっても、世界にまたがるが、事業の取っかかりは中国を除くアジアからとする。両社が強い東南アジアに加え、インド、パキスタンも対象とする。また「小型車」の事業範囲は、いわゆるAおよびBセグメントとし、エンジン排気量だと1リットル級から最大で1.5リットルまでをカバーしていくという。さらに、トヨタとダイハツの協業では『パッソ』と『ブーン』のように、双方のブランドを投入してきたが、新カンパニーは「あくまでトヨタ車に主眼を置く」(トヨタ広報部)方針。ダイハツには責任もやり甲斐も大きなプロジェクトとなる。

◆「顧客に一番近いクルマづくり」をインドで実践できるか?

両社の海外協業で最も大きな成功例は、インドネシアだ。もともとトヨタの強い国だったが、04年に3列ミニバンの『アバンザ』/『セニア』を共同開発、ダイハツが現地生産を担当するプロジェクトが当たった。近年はホンダなど日系他社の攻勢を受けているものの、今年1〜8月の両社の合計シェア(出荷ベース)は52%と過半を占めている。8月には、ダイハツが軽自動車のノウハウも入れて開発したコンパクトな3列多目的車のダイハツ『シグラ』とトヨタ『カリヤ』が新たに投入され、これらも好調だ。

もっとも、新カンパニーの課題は、こうした高シェアのアジア諸国ではない。トヨタの苦戦が続き、大きなポテンシャルをもつインドが大きなターゲットとなる。インドの15年度の新車マーケットは347万台(前年度比8%増)と世界5番手だが、早晩、ドイツを上回り、さらに500万台規模の日本を超えるのもそう遠くない。

そのインドでは、トップのスズキが40%近いシェア(商用車含む)をもっているのに対し、トヨタは4%強で5、6番手に甘んじている。11年に新興国向けの戦略モデルとして『エティオス』(1.2〜1.5リットル)を市場投入したものの、不調が続く。マーケットを綿密に調べての商品化だったが、トヨタと顧客の思いはすれ違ってしまった。「お客様に一番近いクルマづくり」(三井正則社長)を標榜するダイハツだと、この国でどんなクルマづくりをするのか―具体的な商品の姿を見るのは数年先となるのだろうが、新カンパニーはそこに成否を賭けていく。

  • 池原照雄
  • トヨタ・カリヤ《撮影 古庄速人》
  • トヨタ・エティオス・エクスクルーシブ
  • トヨタ自動車の豊田章男社長とダイハツ工業の三井正則社長《撮影 池原照雄》
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