2016年8月29日 更新

FF、FR、MR、RR、4WDの違いは?

現在、国産車では、FFが主流となっていますが、中級以上のセダンはFRを採用しています。対してFRだけを頑なに作り続けてきたBMWがFFを出し、駆動方式を超えたキャラクター作りが積極的に行われています。それぞれに得意、不得意点があり、それに合わせた運転方法もありますので、簡単にご紹介してみます。

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効率を最優先したFF

現在の車に求められているもの、特に国産車の場合は、限られた駐車スペースや税制などの面から、できるだけスペース効率が良いことです。そこで主流になっているのがFFです。FFは、フロントエンジン・フロントドライブの省略で、前にエンジンがあり、前輪を駆動します。基本的には、ジアコーサ式と呼ばれるエンジンからトランスミッションが横一列に配列されています。前輪にエンジンの重みが加わり、駆動輪である前輪が向きを変えるので直進性もよく、その割に車の向きも変えやすいというメリットがあります。その半面、前輪に荷重をかけなければならないので、フロントタイヤよりも前にエンジンが載る形になり、重みにかかる遠心力の影響で、カーブではハンドルを切った分よりも外側に広がってしまう傾向が強くなります。駆動と転舵の二つの仕事を同時に行うフロントタイヤへの負担が大きく、減りが早い傾向にあります。また、左右のタイヤに挟まれた空間にエンジンとトランスミッションを入れるため、大型のエンジンは搭載しにくく、小型~中型車への採用が多い駆動方式です。さらに、フロント軸よりも前に重量物が載っている、いわばシーソーの端に重みのある人が載っている状態になります。これは、ホイールベースが長くなればなるほど、テコの原理で強くなります。したがってホイールベースの長いFF車は、高速の継ぎ目を乗り越える時などの前後方向の揺れ=ピッチングが大きくなる傾向があり、乗り心地に影響します。

トヨタ アルファード 3.5エグゼクティブラウンジ(FF)

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居住性と操縦性を両立したFR

FFよりも以前から乗用車の基本形として使用されているのがFR。フロントエンジン、リアドライブの省略で、フロントにエンジンがあり、後輪を駆動する方式です。フロントタイヤは転舵のためだけに使用されるので、FFと比較して自然なフィーリングとなることが多く、駆け抜ける喜びを掲げているBMWも2シリーズ以上はすべてFRです。フロントにエンジンを置くことはFFと同様なのですが、縦にエンジンを置きます。通常はFFより前後輪の重量配分は5:5に近いのですが、それでもややフロントに重みが載っており、運転のしやすさにつながっています。一方、室内にトランスミッションが侵入し、後輪を駆動させるためのプロペラシャフトも通るため、室内はFFに比べ狭く、設計の自由度も下がるので、ウォークスルーなどが必須のミニバンでは、採用されなくなってきました。前輪にしっかりと荷重をかけてハンドルを切り、アクセルで姿勢をコントロールしながら加速に移るという、運転の楽しさが気軽に味わえるのはこの方式の利点です。現に86やロードスターなどのスポーツカーはFRを採用します。

トヨタ 86(FR)

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スポーツカーの代名詞ミッドシップ

ミッドシップは、日本車では以前はMR-S、最近ではS660や新たに出るNSXなどに採用されている方法です。もともとは造船用語で、重量物となるエンジンを船=シップの中央=ミッドに搭載する方法でした。重量物が中央にあるため、ちょうど駒の軸のように回転性がよくなります。車の場合もエンジンとトランスミッションが車体中央に来るように設置されており、やや後輪側に荷重が置かれるので、地面に効率よくタイヤが押し付けられるようになります。ホンダの軽トラック、アクティはミッドシップを採用しています。これは空荷のときでも悪路でしっかりと駆動力が伝わるようにするためです。ミッドシップでもいくつか種類があり、エンジンを縦に置き、トランスミッションがその後ろにくる方法、FF車のようにエンジントランスミッションを横一列に配列した方法や、エンジンを縦に置き、トランスミッションをその前に置き、プロペラシャフトで後輪を駆動する方法などがあります。F1マシンなど純全なレースカーがミッドシップであることから、運動性能が高いのは想像つくのではないかと思いますが、ややリアに荷重が載るため、しっかりとフロントに荷重を移してあげないと曲がらない、フロントに荷重が載りすぎると、荷重が抜けたリアがエンジンを軸に流れるといった癖が出ます。また、重量があり嵩張るものが、車体中央に来てしまうので居住スペースが狭くなるという点もあり、一般車向けではありません。

ホンダ S660(MID)

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ポルシェに代表されるRR

RRは、リアエンジンリアドライブの省略です。リアにエンジンがあり、リアタイヤを駆動する特異なレイアウトです。昔は、フォルクスワーゲンビートルに始まり、スバル360など、多数のRR車がいましたが、現在はポルシェ911に代表される程度で、ほとんどなくなってしまいました。もともと、昔はFF車のようにタイヤが大きく曲がった状態で駆動力を伝える等速ジョイントというシャフト繋ぎ手が開発されておらず、転舵輪へ駆動力を伝えるのは難しかったという背景があります。リアに極端に荷重が載っているので、しっかりとブレーキングでフロントに荷重を載せ、タイヤを押し付けてあげないとまったく曲がってくれません。ちょうど、金づちと同じで、手首がフロントタイヤ、重量物があるのがリアだとすれば分かり易いかと思いますが、軽い手首の動きに対して、重量物のある先端は大きく振られると思います。また遠心力が残ったままラフにアクセルを開けると、フロントを軸に重量物があるリアが一気に巻き込むという悪癖があります。同様に駆動輪に対してエンジンという重しがあるのは、加速の姿勢では非常に有利で、ポルシェ911もタイヤの空転を最小限に、駆動力に換え加速に移ります。

ポルシェ 911カレラS(RR)

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良いとこどりの4WD

4WDは、全輪を駆動します。雪道などでは、接している4輪すべてで蹴りだした方が空転は少なく、効率的に駆動力に変えられます。ドライ路でもハイパワーとなる昨今の自動車に対し、ハガキ1枚分程度で駆動力を伝えているのは、今も昔も変わらずです。できる限り、駆動力を伝えられるように、ハイパワー車で4WDを採用する例は増えています。ただし、4WDでも様々なものがあり、FFベースのものに多いのですが、駆動輪が空転してからもう一方の車輪へ駆動力を渡す方法(第一世代のハルデックスなど)、常に均等に駆動力を分配している方法などです。4輪に常に駆動力が伝わっていると、その分抵抗も増しますから燃費面では不利です。そのため、現在は、コンピューターで各タイヤから送られてくる回転数の差を分析し、最適な駆動力を伝えるように指令を出す方法が主流になっており、トヨタなどは後輪をモーターで駆動する4WD、E-Fourを採用しています。また限界時の特性はベースとなっている車両の駆動方式によります。FFベースであれば、フロントの重量物が遠心力の影響を受けて外側にはらみ易くなりますし、ミッドシップであれば、車体中央から後部が外側に流れていきます。後輪駆動車は後輪が滑ったとき、前輪が引っ張ってくれるので、特にRRのような過激な巻き込みには4WDは有効です。そのため、ポルシェもRRのネガを払拭するには、4WDの使用を前提に設計をしているようです。

アウディ RS6(4WD)

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駆動方式の違いは奥が深く、誰にでも扱える妥協点の中で、各メーカーは最適解を探しており、サスペンションの設計などにも大きくかかわってきます。

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