2016年10月26日 更新

【車のドア】ガルウィング、バタフライ、シザードアはどう違う?

車に乗り込む際に開けるドア。普通は横方向へ開くか、スライドドアではないでしょうか。上方に開くドアというだけで特殊な感じがありますが、「上方に開くドア=ガルウィング」だと勘違いされている方、結構いるのではないかと思います。厳密にいえば、上方に開くドアだけで4種のジャンル分けがあるのです。

5,779 views

ガルウィング ~「カモメの翼」のドア

「ガルウィング」は日本語に直訳すると、「カモメの翼」です。羽ばたくカモメの翼のようにルーフの中央部分の前後を支点とし、車体進行方向に対して垂直上方に上がるのがガルウィングです。
最初に採用した車は、メルセデス・ベンツの300SLという2座のクーペでした。この車はチューブラーフレームという、スチール鋼管を鳥かごのように組み合わせたシャシーでできており、サイドも比較的高い位置までそのパイプが張り巡らされていました。そのため、乗り降りの際にはそのパイプが入った高いサイドシルを跨がねばならず、通常のドアではスポーツカーらしい低いルーフと、サイドシルの文字通り隙間から抜け出すようにしなければなりませんでした。それを解決するために、ルーフまで大きく上方に開くガルウィングを開発したのです。
しかし、同じようなガルウィングを採用したデロリアンなども含めて、横転の際にはドアが開かなくなるなど問題も生じ、次第に使われなくなっていきました。300SLをオマージュしたSLSでも同じようなガルウィングでしたが、こちらは横転を感知するとヒンジ部分を火薬で爆破し、脱出を用意にする仕掛けを装着しています。
メルセデス・ベンツ・300SL - Wikipedia (54084)

シザー(ス)ドア ~ハサミのドア

シザー。いわゆるハサミです。ハサミのようにAピラーの付け根の一点を支点に、車両前後方向に対して、平行に上がるのがこのタイプで、ランボルギーニカウンタック、ディアブロ、ムルシエラゴなどが採用してきました。
カウンタック、ディアブロ、ムルシエラゴと続く、ランボルギーニのフラッグシップは、メルセデスベンツ300SLと同様、鋼管のスペースフレームという構造をとっており、ボディ剛性確保のため、高いサイドシルを設けていました。また、3車種とも、フロントタイヤとリアタイヤの間にエンジンが載るミッドシップなのですが、特異な点としてエンジンから前方のトランスミッションに動力が伝わり、トランスミッションから、Uターンする形で後輪、または4輪を駆動するというレイアウトをとっています。
このため、長い12気筒を搭載する割にはホイールベースを短くでき、重量物を車体中央に寄せられるので、運動性能の向上に貢献。しかし短いホイールベースのため、フロントドアの前端がフロントフェンダーにかかってしってヒンジを設置できず、横方向に開くことができないという問題点が生じました。そのため、フロントフェンダーにかかりながらも開口部を確保できるシザースドアを採用したというわけです。なお、現行のフラッグシップ、アヴェンタドールは、車体に対して完全に平行ではなく、やや開きながら上方へ開きます。
ランボルギーニ・カウンタック - Wikipedia (54087)

ラプタードア ~「猛禽類」の愛称が付けられたドア

採用されているのは、ケニーセグぐらいと非常に珍しいドアですが、やはり幅広のサイドシルを跨ぐために設計されたドアで、一度車体から真横に飛び出した上にドア前端中央を支点に回転して開きます。やはりカーボンモノコックのバスタブがメインとなっているため、それをかわすのに必要だったのかもしれません。
しかしこの「ラプタードア」は、アフターパーツメーカーが名付けた名称で、メーカーがつけたものではありません。また、フォードGT40など、通常の前ヒンジで横開きのドアですが、ルーフまで大きく開く構造になっているものもありました。これは車名の由来ともなっている40インチ(約100cm)と非常に低い車高、かつレースカーなので、ヘルメットをかぶった状態で乗り降りをするために、このような形状になっています。
ガルウィングドア - Wikipedia (54090)

バタフライドア ~最もポピュラーな跳ね上げドア

最近はこのパターンが多いのではないでしょうか。古くは国産車でもトヨタ・セラなどがこの開き方を採用しており、最近では、ラ・フェラーリなど。レーシングカーでもWECのLMP-1マシンなどがこの方法です。Aピラーを軸に上方へ上がる形で、多くはルーフ部分から大きく開きます。
マクラーレンのMP4-12Cやラ・フェラーリは、浴槽のようなカーボン製のバスタブフレームに前後のサスペンションユニット、パワーユニットが剛結されます。このバスタブフレームがキャビンスペースとなるため、乗り降りの際は、そのバスタブを跨がなければなりません。LMP-1マシンもサイドにラジエターやインタークーラーなどをマウントし、万一のクラッシュの際に衝撃を吸収する部分として機能する高いカーボンモノコック部分を跨いで乗り降りしますので、このような開き方が採用されています。
この開き方に近いものでは、Aピラー付け根のスカットル部にのみヒンジがあり、そこを支点に上がるタイプをディへドラルドア(上反角)と呼び、マクラーレンMP4-12Cなどが該当します。他に昆虫が飛び立つ様子か「インセクトウィングドア」と呼ばれることもあります。
 (54093)

シャシー構造から必然的に跳ね上げドアに

ドアの種類を紹介してきましたが、各車とも共通するのは、ボディ構造やパワートレーンなどの兼ね合いと乗り降りを両立させるために生み出された機能美だということでした。最近はボディの制作精度が上がってきており、ドアなど開口部もできる限り骨格となるピラーに密着させ、ボディ剛性に貢献するように設計しています。その開口部もできる限り直線的にしたほうが剛性は上がりやすいということで、ボディデザインと実用性、剛性という性能面の全てを成り立たせるように日々研究がされている部分です。
フレーム形式 (自動車) - Wikipedia (54096)

ドアをおかずにご飯が食べられるほど、奥が深い分野といってもよいでしょう。最近は衝突安全なども考慮しなければならず、設計には気を遣う部分でもあります。普段あまりなじみのない跳ね上げドアですが、カッコイイだけではなくしっかり実用性も持っているのです。

関連する記事 こんな記事も人気です♪

ファミリーにおすすめ!厳選5人乗りスライドドア車5選

ファミリーにおすすめ!厳選5人乗りスライドドア車5選

ゆったり広い室内空間が魅力の5人乗りスライドドア車。ファミリーにおすすめの5車種を厳選してご紹介します。
goo自動車&バイク | 14,518 views
スライドドアのある人気ミニバン4選

スライドドアのある人気ミニバン4選

ファミリーカーとして高い人気を誇っているミニバン。その人気の理由のひとつにスライドドアがあります。今回はそんなスライドドア付きのミニバンの中から、人気の高い4車種をご紹介します。メーカーを問わず幅広く選んでいるので、自分にぴったりの一台が見つかるはずですよ。
goo自動車&バイク | 13,972 views
スライドドアのある人気コンパクトカー4選

スライドドアのある人気コンパクトカー4選

今回はスライドドア付きのコンパクトカーの中から、人気車種4つを紹介していきます。コンパクトカーでスライドドア仕様のものを探して困っていた方は必見。スズキ、トヨタ、ホンダ、プジョーの人気車種とそれぞれの特徴をご紹介します。
goo自動車&バイク | 13,071 views
子育てに最適!スライドドアのある人気軽自動車4選

子育てに最適!スライドドアのある人気軽自動車4選

維持費が安いということもあり、何かとお金が入用な子育て世代に人気の軽自動車。そんな軽自動車の中でも今回は何かと両手がふさがりがちな子育て世代には特にお勧めの、スライドドアのある車を紹介していきます。それぞれの車の特徴を挙げていくので、スライドドアつき軽自動車の購入を考えている人は必見ですよ。
goo自動車&バイク | 4,764 views
安くておすすめな中古軽自動車はこれだ!売れ筋10選

安くておすすめな中古軽自動車はこれだ!売れ筋10選

軽自動車はなんといっても安いのが魅力。そんな軽自動車の中でも安いだけでなくスライドドア式等、装備の充実した燃費のいい軽自動車を徹底調査しました。安くておすすめの中古軽自動車を一挙にご紹介します。
goo自動車&バイク | 5,922 views

この記事が気に入ったら
「いいね!」しよう

Car-iの最新情報をお届けします

Twitterでgoo自動車&バイクをフォローしよう!

この記事のキーワード

この記事のキュレーター

goo自動車&バイク goo自動車&バイク