新型・ホンダ「ヴェゼル」はe:HEVのFFモデルか、ガソリンの4WDか。試乗した飯田裕子の選択はどっち?

コラム Clicccar

新種のコンパクトSUVモデルとして登場したのが2013年。フルモデルチェンジを行うのは初めてというのに、もうずいぶんと前から存在しているような気がしてならないホンダ・ヴェゼル

e:HEV Zのリアアングル。

何度も年間SUV販売台数一位に輝いたモデルだけのことはあり、路上で出会う頻度はもちろんのこと、そもそもSUVとしての実力を私自身も実感できるからこそ、その存在感にどこかベテランのような貫禄を漂わせているように思えるのかもしれません。

こちらはガソリンエンジンを搭載するG。

新型は、デザインでは初見からひとクラス上の存在感を抱くことができ、機能や性能面ではヴェゼルらしい進化と変化を遂げています。

2代目となるヴェゼルは、すでに優れた実力を持つパッケージングは大きく変えることなく、新装備や新機能を採用して使いやすさに磨きをかけています。

動力性能はガソリンモデルよりも最新のハイブリッドシステム“e:HEV”を搭載するモデルが充実、環境性能と走行性能の向上ぶりがうかがえます。ちなみに販売台数も好調のヴェゼルの購入者の9割がe:HEVを選んでいるのだとか。

内外装のデザインは、成功モデルのモデルチェンジに少々臆病なあのホンダが思い切ったイメージチェンジを図ったな、と。

水平基調で美しさを感じさせるエクステリア。

まずはデザインから紹介しましょう。

先代ヴェゼルは、止まっていても今にも動き出しそうなフロントフェイスや前傾姿勢をとるリヤビューによってスポーティな印象が強かったのに対し、新型は眺めていると落ち着くような佇まい。

“力強く”もありながらカッコ良いというより“美しい”という言葉が似合いそうなSUVへとまさに変貌を遂げています。

テールランプにはレイヤードインナーレンズを採用。見る角度で表情が変わります。

ボディ全体でスリークな印象を醸しだし、フロントフェイスではそのなかのグリルがバンパーとの境界を感じさせない、溶け込みぶりも新鮮。静かに爽やかに配置されています。切れ長のライトもクールに際立ち、それらをより涼しげに魅せるのにダーク色のフロントバンパーがまた効果抜群です。

リアまわりは傾斜するテールゲートを水平基調のテールレンズ(ライン)が受け止め、スッキリとした安定感が強まりました。また、レイヤードインナーレンズなるレンズを採用したテールレンズは見る角度で見え方が変わるこだわりぶり。

新型ヴェゼルのデザインはシンプルに美しく魅せる品質感も十分で、外観を構成するデザイン要素を知るほどに好感度が増すタイプではないかと思います。

前席のエアコン吹き出し口にはサイドウィンドウに沿って風を流す“そよ風アウトレット”機能が。

インテリアはまず、室内が広い。相変わらず、広い。特に後席の足もとスペースは圧倒的なゆとりがあります。

そのうえ新インテリアは欧州コンパクトモデルに差をつけるような、シンプルななかに質感の良さが感じられるわけです。グレードにもよりますが、クラスアップ感を抱く方も多いはずです。

ハイブリッドモデルにはスマホのワイヤレス充電が標準装備。

シンプルな印象はスイッチ類が減り、マルチインフォメーションディスプレイに集約しているから。しかし空調系のスイッチ類はアナログを採用しているところが万人に優しい。

室内温度の快/不快は精神的にも影響があること、そしてディスプレイでの操作が苦手な方もいるわけで、ヴェゼルが幅広い世代を意識した機能性を優先してデザインしていることがうかがえます。

空調と言えば、通常のモードに加え「そよ風アウトレット」なる風の吹き出し方法も採用されていて、これはサイドウインドウに沿って風が流れるしくみ。夏場はサイドウインドウから伝わる暑さ、冬場は寒さを風のカーテンが和らげてくれるんですね。目に見えないブラインド的な役割は優しいですね。

ガソリンモデルGのフロントシート。シートはフルファブリック。

そしてやはり注目すべきはパッケージング。先代でも採用していたガソリンタンクを後席ではなく前席(クルマにとっては中央)に配置する「センタータンクレイアウト」方式を新型ヴェゼルにも採用。おかげで後席のフロアがフラットでスッキリとしているのはこれまで通りです。

さらに新型では後席の足下スペースがやや拡がり、その広さは2クラス上並みと言ってもいいくらい。ラゲッジの奥行きがやや短くなっているようですが、個人的にはネガティブな印象は抱かず、後席の背もたれを倒したり、後席の座面をチップアップしてフラットな後席フロアと高さを活かす収納はラゲッジとはまた違う使い方ができて便利、背の高い観葉植物なんかも運べてしまいます(過去に筆者も利用経験あり)。

さらに新型ヴェゼルにはモデルにもよりますが、ハンズフリーアクセスパワーテールゲートに「私が立ち去るときに閉めてね」的な閉扉予約をボタン一つでできる機能も追加されています。

ちなみに後席はシートアレンジの利便性にも配慮しているため先代の乗員の快適性(座り心やサポート性)は正直いまひとつでした。コンパクトサイズながら少しでもシートアレンジの高機能性にこだわりたいと考えるのはどこのメーカーも同様、悩みどころです。

新型ヴェゼルはよりクッション性の良いシートを採用し、着座状態を低めに沈み込ませて落ち着きやすいシートを採用し、改善されています。

ガソリンエンジンは新開発の1.5L DOHC i-VTECで118ps/14.5kgmを発生。

個人的にもヴェゼルと言えばパッケージングに魅せられがちではありますが、走行性能もスイスイっ〜と進化。今回は新型フィットにも採用されている新たなe:HEV(ハイブリッド)を搭載するFFモデルとガソリンの4WDモデルを試乗しました。

大きめのフットレストも採用された運転席はポジションも取りやすく、視界も良好。e:HEVは1モーターシステムから発電用と走行用の2モーターに変わり、さらにフィットよりもバッテリー容量も増加。ヴェゼルの車重や使い方に配慮しているからだそうです。

1.5Lエンジン+モーターの走行モードは、EVモード、ハイブリッドモード(エンジンで発電した電力で走行用モーターを駆動)、エンジンモード(高速クルーズや登坂路などでエンジンと車輪を直結しエンジンの力で走行)の3種類。

街中走行シーンでは積極的にモーター走行をしながら、長く続く登りワインディングではエンジンも出動……と簡単に言うけれど、システム内部では状況に応じた“何でタイヤを転がすか”のベストな制御を人知れず行い、しかもドライバーが欲しいトルクを感覚的にも力強く、ごく自然に与えてくれます。

ハイブリッドのe:HEV ZはFFに試乗。

ドライブモードを“スポーツ”に変更すれば、よりダイレクト感のあるドライビングが手元でもアクセルレスポンスでも楽しめます。また減速セレクター(パドル含む)を使うと、減速度を4段階で調整が可能。一番強いBレンジ相当の減速レベルでは街中の信号停止などでかなりブレーキ操作頻度も減りそうです。

先代に比べ滑らかで、安定感とコントロール性に進化が感じられます。

質感の向上はフィーリング面でもうかがえます。路面の凹凸や荒れたアスファルト路を通過する際の乗り心地のコツコツも軽減、先代に比べ滑らかな印象です。おかげでハンドリングの手応えにもスッキリとした操舵感が生まれ、安定感とコントロール性にも進化ぶりが感じられます。

静粛性も向上しているものの、新型ヴェゼルの佇まいや質感に包まれてしまうと、どうしてもより静かな印象を期待したくなったのが本音。ただしエンジンが主役となるような走行時のエンジン音も高音硬質系な音にまとまっていて、実はそこにはホンダもこだわったそう。その点は理解できました。

ガソリンモデルでは内燃機関らしいトルク感、軽快感が感じられます。

一方、1.5LガソリンエンジンにCVTを組み合わせたモデルは、本来のクルマ好きもニヤッとしそうな“Theガソリン車”と言いたくなるような感覚。よりダイレクトでエンジンのトルク感も十分あり、軽快感のあるドライビングフィールが得られます。

ボディやタイヤの存在感を感じやすく、運転席前方の少し先のほうから聞こえてくるエンジンもより素直に耳に入ってきやすい。それが決してネガになっていないのは新型ヴェゼルがボディやサスペンション、ステアリングの剛性感や性能を進化させているおかげと言えそう。

左がFFのハイブリッドモデル「Z」、右が4WD のガソリンモデル「G」。

今回は4WDを試乗したため、2WD(FF)のフィーリングはお伝えできないのですが、4WDはおすすめです。4WDは乾いた舗装路でも後輪に駆動を配分してくれます。FF(前輪駆動)ベースのヴェゼルながらコーナーリングの際にもリアタイヤが駆動をさり気なくサポートしてくれるので走行安定性にも貢献してくれます。

そういう意味では、街中を走る速度レベルでもガソリンの4WDモデルのほうが2WDのe:HEVより直進走行フィールがスッキリとまとまっている印象。ちょっとマニアックにフィーリングにこだわるなら、全天候をカバーしてくれる4WDのオールマイティな走破力が、フィーリング的にも万能かもしれません。

ヴェゼルとスマホと連携させて、さまざまな機能を付加できます。

最後に、新型ヴェゼルの進化や変化の細かな点までは伝えきれないのですが、新世代のコネクテッド技術を採用することでスマホとの連携も実現、スマホをデジタルキーとして使うこともできます。

安全運転支援システム”Honda SENSING”では、より高速な画像処理チップ、広角カメラの採用などにより、周囲の対象物の認識能力向上やそれを活かした支援技術の高精度化も進んでいます。同クラスの輸入車より進んだ技術を採用している点でも選ぶ価値はあるのでは?

コンパクトSUVである新型ヴェゼル。ひとクラス上の佇まいも頼もしく、日常からアウトドアレジャーまでの“走る”、“曲る”、“止まる”、“積める”の総合力も増し、ダウンサイジングを考える方にも期待できるモデルといえそうです。

ホンダ・ヴェゼル主要諸元

(文:飯田 裕子/写真:前田 惠介)

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