ドライバーの意識喪失からの、安全な停車を可能にするマツダの新技術CO-PILOT 2.0を公道体験

コラム Clicccar

瞼の様子や姿勢などからドライバーの異常を検知するとクルマが運転操作を取って代わる

以前にも紹介したように、マツダが「MAZDA CO-PILOT CONCEPT」という技術を発表しています。これは、ドライバーが居眠りや体調急変(主に心臓や脳に由来する疾患)によって意識喪失したことによる交通事故を防ぐための安全技術です。

今回、そのプロトタイプとなる実験車に公道(東京・臨海地区)で試乗することができました。どのように安全を確保するのか、体験したことを報告します。

イタルダ(交通事故総合分析センター)によると、発作や急病に起因する交通事故というのは、毎年200件以上起きているといいます。交通事故全体の規模からするとわずかな数といえるかもしれませんが、予想できない急病による意識喪失は、ドライバー側では何もカバーする手立てがありません。

事故ゼロを目指すには、自動車メーカーサイドにしか手の打ちようがない交通事故のシチュエーションといえます。

安全に停車できる場所を求めて脇道に曲がるという複雑な”自動運転”も可能というのは驚きだ

そうしたニーズに応えるのが「MAZDA CO-PILOT CONCEPT」で、そのシステムは大きく2つのテクノロジーで成り立っています。

ひとつは、ドライバーの意識喪失を確実に検知するためのセンサーとアルゴリズム。もうひとつが、クルマを安全に停車させるための自動運転技術です。

今回、3通りのシチュエーションでドライバー異常からの緊急停止というシナリオを公道体験しました。が、とにかく安全に停車するときの振る舞いは、いずれにしても非常に高いレベルに仕上がっていると感じました。

実質的には、ドライバー不在の状態で一般公道を走るというのは、自動運転でいうとレベル4相当ということになります。が、後方から迫ってくる他車とのコミュニケーション、路上駐車しているクルマを避ける能力、安全で適切な駐車場所を見つける能力などは、まさに自動運転的な視点でいってもマツダの技術力は高いといえるものでした。

実験車はMAZDA3だが、実際には2022年に市販予定のCX-60/CX-80から搭載される技術となっている

なにより、緊急停車というイメージとは異なる、スマートな振る舞いには感心させられました。

SOSボタンを押すことでドライバーの異常をクルマに伝えると、すぐさまハザードを点け、ホーンを鳴らす(公道実験なので車外には聞こえないようになっていました)という、ガイドラインで決まった緊急事態を知らせるモードに移るのですが、そこから停車までは意外に時間をかけていたのです。

すぐに止まるというのもありかもしれませんが、助手席などの乗員が乗っているときに道の真ん中で停まってしまうと、慌てて降りた乗員の二次被害につながることもありますし、また、ドライバーの異常原因が脳出血などの疾患だとすると、急ブレーキで頭を大きく揺らすような止まり方はNGといえます。

この記事末に貼った動画でも確認できると思いますが、かなり上級のドライバーが上手に安全な場所を見つけて停車するといった振る舞いをするのでした。

運転手が意識喪失した際、助手席などの乗員に対しての情報を細かく伝えるので安心感がある

このように、ドライバーの体調や周囲の交通状況に配慮した止まり方ができるMAZDA CO-PILOT CONCEPTですが、そもそもこれほどの技術レベルにあるのであれば、一足飛びに自動運転を目指すのもありでは?と思ってしまいます。

しかし、それは長い目でみるとドライバーの健康寿命を延ばすことにならないかもしれません。たとえば、国立長寿医療研究センターの調査によると、運転を続けていた高齢者は、運転をしていなかった高齢者に比べて認知症リスクが37%も減少するといいます。

運転寿命を延ばすことは、健康寿命を延ばすことにつながるといえます。MAZDA CO-PILOT CONCEPTのような、万が一に対応する安全技術があれば、高齢だからという理由で免許を返納することなく、運転を続けていき、健康な老後を過ごせる期間が長くなるかもしれません。

さらに、MAZDA CO-PILOT CONCEPTの技術を応用すると、運転スキルが落ちてきた部分を教えてくれるようなレクチャー機能も実装可能になるといいます。

走る歓びを感じることは、心や体が活性化する、そんな世界をマツダは目指しているのです。MAZDA CO-PILOT CONCEPTは、そうした世界の実現に向けた技術のひとつといえるでしょう。

自動車コラムニスト・山本 晋也

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