【ギョーカイ先走り05】自動運転へ繋がるステア・バイ・ワイヤ技術とは?

コラム Clicccar

今回は少し趣向を変えて、今ある将来技術について、紹介してみましょう。完成度が高まっている現代の自動車ですが、それでもまだまだ次々と自動車の将来を変えるかもしれないような、革新的な技術があります。

そのひとつは2013年に登場した日産のダイレクト・アダプティブステアリングです。世界初のこのステアリングシステムですが、スカイラインが唯一の搭載車となっています。あまり話題になることも少ないようですが、この技術は先進的で注目されるべきものなのです。

これまでのステアリングシステムは、ステアリングホイールの軸を回す力をステアリングギヤに伝えて、それがナックルアームを動かして前輪を左右に振ります。パワーステアリングはその途中に配置されていて、力をプラスしてくれる装置です。

日産のダイレクト・アダプティブステアリングは、ステアリングホイールとステアリングギヤが、機械的に繋がっていない構造になっています。ステア・バイ・ワイアと呼ばれていますが、電気信号によって操舵するシステムなのです。ステアリングをドライバーが回した速さと量から、必要な舵角を前輪に与えるわけです。
『そんなことで大丈夫なのか?』と思う人もいることでしょう。システムが故障した場合には、ステアリングシャフトとステアリングギヤが機械的につながるような安全機構も組み込まれています。
ステアリングギヤを駆動するのは、左右対称のように配置された2つのモーターです。ダブルピニオン型EPSの、入力側にもモーターを組み込んだようなスタイルです。ステアリングシャフトのセンサーからの情報によって、演算された舵角をモーターが与えるのです。

もっとも分かりやすいメリットは、ステアリングの操作量が減ることです。実際にスカイラインでは左右にそれぞれ1回転ちょっとしか回りません。ロック・トゥ・ロックが2.2くらいでしょうか。通常のステアリングのスカイラインでは片側1.5回転近く、ロック・トゥ・ロックは2.8くらいあります。

ステアリングの操作量が少ないということは、ドライバーとしては楽です。
ステアリングホイールが回らなくても、舵角は大きくすることができます。機械的に繋がっていないので、自由です。低速では駐車を含めて大きな舵角が必要になりますが、高速では小さな舵角で十分です。こうした仕掛けは、可変ステアリングギヤを使うことでも可能です。ホンダがS2000に用意したVGSでも、同じように制御されていました。
ではステアリングが繋がっていないメリットは何でしょう それはクルマがドライバーの操作とは無関係に、ステアリングの舵角を決めることができることです。もちろん、普通に走っている時は、ドライバーの操作に反することはしません。しかし危険回避やクルマの安定性が失われそうな局面では、積極的にクルマが制御してくれるのです。いわばドライバーの操作ではなく、ドライバーの意志に忠実なのです。
実際にスカイラインのダイレクト・アダプティブステアリングに、そうした制御が組み込まれているか判りませんが、たとえば高速道路を走行中に前方に障害物があって、それを回避しようとします。この時ドライバーは、大抵2つのことを同時に実行することは難しく、ブレーキを踏むか、ステアリングを切るか、どちらかになります。急いでステアリングを切るとクルマが不安定になる可能性もありますが、とっさにそうした行動になってしまう場合もあります。
その時にドライバーの操作に素直に反応するのではなく、十分に減速してから必要最小限のステアリング操作をする、という理想の回避をしてくれるわけです。そのためには走行中の周辺のセンシングは、もちろん不可欠です。
感のいい人ならすでに気づいたように、この技術は全自動運転に必要なコア技術のひとつなんです。

 

『そんな最新のシステムだと、違和感がアリアリなんじゃないか』と思う人も居るでしょう。しかし、全然問題ありません。装着車と非装着車、2台を乗り比べると、非装着車のほうがむしろ違和感が強いのです。
非装着車は、細かな路面の凹凸に対して神経質な動きをする、おおきなうねりに対してもステアリングが取られやすい、という症状が出ます。それはおそらくランフラットタイヤを装備しているためのデメリットでもあります。そして、おそらくランフラットタイヤ対策だと思いますが、コンプライアンスブッシュがソフトで、コーナリング中に段差があるとクルマの方向性が乱れてしまうんです。
装着車では、そうした現象を前輪の舵角を操作することでキャンセルしているようです。つまりドライバーがステアリングホイールを保持していれば、現状のままトレースすればいいと判断して、外乱からの入力を前輪を自動的に細かく動かしてキャンセルしているのでしょう。
非装着車では気になるステアリングの戻りの悪さも、装着車ではキレイに戻ります。そりゃそうです、理想的な動きをセッティングできるんですから、当然です。サスペンションジオメトリーやワイドタイヤの特性など、お構いなしにドライバーが自然と感じるような動きで、モーターの力によって戻してしまえばいいんです。

 ダイレクトアダプティブステアリングは、アクティブレーンコントロールとセットで、メーカーオプションとなっています。そのオプション価格は32万4000円(税込み)。500万円くらいのモデルですから、それほど高価なオプションというわけでもないでしょう。
 ここから微分ハンドルに進化して、さらにはジョイスティックコントロールへと変革するのかな もちろん自動運転には必要な技術でもあります。日産のディーラーに行けば試乗することができますので、興味を持った人はぜひ。
 ただし低速での舵角の大きさには、最初ビックリする人もいるかもしれません。でも2〜3日乗っていれば馴れます。それ以外の感触を確かめてもらいたいところです。

(岡村神弥)

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