新型マツダCX-5が低全高化で得たもの、失ったものとは?

コラム Clicccar

新型マツダCX-5のボディサイズは、全長4545×全幅1840×全高1690mmでホイールベースは2700mm。先代CX-5は、全長4540×全幅1840×全高1705mmで、ホイールベースは2700mmとなっています。

全高が15mm下がったことが大きな違いとなっていますが、これは空気抵抗(燃費)や走りの面から下げたのではなく、デザイン上の理由。新旧で見比べると狙いである「スピード感」が確かに具現化されているように見えます。

室内長は先代よりも20mm短くなり、室内幅は10mm広がっています。全長が5mm長くなったのに、室内長が20mmも短くなったのかと思うかもしれませんが、インパネ形状による計測ポイントの差でこうした数値が出ているとのことで、実際に室内が短くなったわけではないそう。

さて、代が変わっても計測ポイントの差が少なそうな室内高はどうでしょうか。こちらも新型の方が15mm低くなっています。

新旧CX-5で前後席を乗り比べてみると、後席は明らかにヒップポイントが低くなっていて、たった10mm低くなっただけでこれだけ乗り降りしやすくなるのかと驚かされるほど。小さな子どもやお年寄りの場合、その差をより実感できるのではないでしょうか。

ヒップポイントを下げることで懸念されるのは、フロアから座面までの高さが犠牲になっていないか? という点。いわゆるヒール段差が低いと大人にとっては「膝を抱えるような姿勢」というのは大げさにしても、太もも裏が浮いてしまい、とくに長時間だと疲れを誘いそう。

そこで新型では、後席のトルソー角を22°から24°まで拡大し、2段階のリクライニング機構を追加。つまり座る姿勢の自由度を増し、立ち気味だった乗車姿勢を変えたことになります。

また、前後席の座面にブリヂストン製のシートパッドを採用。体圧を広い面積に分散できるようになり、ウレタンフォームの骨格構造を見直すことで、樹脂の減衰性と併せてより振動を吸収することが可能になっています。

実際に乗ると、市街地での微小な揺れが抑制されているのが伝わってきます。ボディやシャーシ、そしてこうしたシート設計の変更により減衰が高まったことで、とくに旧型オーナーはその違いを肌で感じられるのではないでしょうか。

さらに新型CX-5では、後席をより立体的な形状とすることで包まれ感を抱くように設計されています。先代は少し座り心地が硬く感じるのは、新型のこれらの変更が効いているのでしょう。

新型はアイポイントも低くなったことで、コーナーなどでも身体が左右に振られる感覚も少なく(もちろん、走りの領域の進化もあるでしょうが)、より落ち着いて座っていられそう。

長身の方が後席に座った場合、先代(上の写真)の方が座りやすく感じる可能性があり、全高が低くなったことで、乗降時の頭上まわりの余裕、そして居住時のヘッドクリアランスともに先代の良さが新型では少し後退している面もあります。

それでも乗降性のしやすさを考えると、新型CX-5の低全高化は、デザインによるものだとしても多くの人に歓迎されそうですし、座り心地に注力することで後席を含めて快適な居住空間を得たと言えそうです。

(文/塚田勝弘 写真/中里慎一郎)

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