Mr.ロードスター貴島氏が平井先輩から聞いた「スポーツカー作りのための広島弁」は?【マツダのレジェンドに学ぶ・第4回】

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続いては、現在は大学で自動車工学を教える立場にいらっしゃる、貴島孝雄さんの登場です。山本健一さんが提唱していた「感性工学」を、学問として教えているそうです。

ご存知、Mr.ロードスターである貴島さんからは「ものづくりは、どういう志で作る」かを説いてもらいました。

「スポーツカーは、こう作るべき」というものは、じつは文字にしにくいという貴島さん。

スポーツカーには魅力的なスタイリングが必要です。そして操縦する楽しさがあること。それがマツダのスポーツカーの基本にあるものだといいます。

「RX-VISION」がどうなっていくのかにも、OBとして興味があるそうです。貴島さんが入社した1967年は、コスモスポーツがデビューした年でした。センセーショナルなデビューをいまでも覚えているそうです。

いまは「バーチャル」の時代です。SKYACTIVもコンピュータがあってこそできた技術です。マツダは、1970年代から操安性をコンピュータで解析するプログラムを導入していたそうです。

いっぽうで「人馬一体」という人間中心の発想を重視しないといけない。それを忘れてしまうと、感性性能が希薄化してしまいます。コンピュータ理論だけではだめ、それがもの作りにどれだけ活きているのかが重要で、貴島さんはその間をつなぐのは私だ、という意識で仕事を進めてきたそうです。

開発者である以上、クルマを乗りこなす技術を持っていなくてはなりません。当時のマツダでは、ポール・フレールさんを招いてドライビングスクールを催していました。

あるとき、足が骨折した際も参加してくれ、270km/hでテストコースを激走。「右足が折れてたら参加しなかったけどね」と軽口を言うほどの余裕を見せていたそうです。それが83歳のときというからなお驚きです。

そのドライビングスキルは神の領域で、あるときS路で後輪を脱輪させてしまった貴島さん。それを見たポールさんはタイヤ1本ぶんのラインの違いを細かく的確に指摘したそうです。

マツダのスポーツカーの理念として、フロントエンジン・リアドライブ、前後重量配分は50:50、車両の質量は車両重心に集中、かつ低重心、慣性モーメントの最小化などが脈々と受け継がれています。あわせて自然の摂理に忠実なもの作り、徹底した軽量化も特徴です。

それを象徴していたのがフロントミッドシップの元祖、コスモスポーツでした。前後重量配分を適正にするためデビューから1年後にホイールベースを150mm伸ばしているのです。これにより48:52だったリヤヘビーだった前後重量配分は、51:49になりました。

大事なのはニュートラルステアのクルマをいかに作るか、ということなのです。

感性に歩みよったクルマ作りについても、深い考察を述べられていますので、動画を参考にしてみてください。

貴島さんいわく、3代目のNCロードスターの開発時は「人馬一体はもう古いよ」というジャーナリストもいたそうです。

それでも、守り抜くものと変えていくものを、スポーツカーにとって何が必要かを選択しながら進められたそうです。

ときには「創造的破壊」も必要だといいます。そのためには社内基準とも戦いました。時代遅れのものをずっと守り続けていてもいけない、というのもスポーツカー開発の側面なのです。

ロードスターの内装は、茶室をイメージして作られた話は有名ですが、モチーフとなった広島の茶室は武士が精神修養する場、として使われていた茶室でした。

本来動物が持っている以上に自分を動かすことができるのが自動車。そういいうものと付き合っているんだという緊張感を、ドアを開けて閉めた瞬間から感じてもらいたいという演出でした。

どちらかにハンドルを切っても即座に反応する剣道の「かまえ」を持ったクルマであり、

流鏑馬(やぶさめ)のように、どこからでも馬とコミュニケーションをとりながら矢を射ることができるような空間を、クルマのなかに作ろうという理想があったのです。それが初代ロードスターでした。まさにサムライスピリットを備えたクルマだったのです。

貴島さんが主査を引きついだ先輩・平井敏彦さんの語録も紹介されました。

・スポーツカーには、何でも着けようとせんことよ!

・少しくらい抜けとっても、とがった面があったほうがええ、優等生は面白くない!

・足を引っ張る奴は必ずおる、気をつけよ!

・貴島さん、欲をかくなよ

と、ピュアなスポーツカーを作るうえでの障害となる事柄を、バリバリの広島弁で伝えてくれています。

キーレスエントリーやパワーアンテナの装備を求められる社内の声にも、この言葉を思い出して戦ってきたそうです。

ロマンの実現には、社内のファイナンスの部署とのすり合わせも必要だったといいます。「投資に見合った回収ができるか」を解決できるのもエンジニアの腕、といいます。フォードと提携している時代に学んだのが「ソロバン」の部分だといいます。まさに「ロマンとソロバン」の両立です。

現在「教室のなかだけでは、優秀なエンジニアは育たない」との理念のもと、学生フォーミュラにも注力している貴島さん、その意思を継いだ優秀な後輩が自動車メーカーで芽吹いてほしいものです。

 

【動画はこちら】

https://www.youtube.com/watch?v=2HloL_XbGcQ

 

(Kaizee)

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