RE雨宮の原点、80年代を代表するストリート派スーパーチューンド・RE雨宮シャンテ その1【OPTION 1982年1月号より】

コラム Clicccar

1981年6月創刊号から時代を追って、といっても2〜3年の間を行ったり来たりしながらOPTION誌の歴史をプレイバックしているのですが、ン〜……なにか忘れているような気がしてならなかったのです。チューンド派には心にとどめておいて欲しい、80年代初期に活躍したスーパーチューンドをなにか1台、紹介をスッ飛ばしてしまっているような……!!

そうだ、RE雨宮シャンテだ!!!!! 大変申し訳ございませんでした。ワタクシ、この記事紹介をすっかり忘れていました。というか、もうすっかりと〜の昔に紹介したツモリでおりました(汗)。

1982年8月号の「キャノンボール」でチョロっと登場していましたが、このマシンを隅から隅までちゃんと紹介しないのは「Play Back The OPTION」をやっている中で最大の汚点となってしまいます! そのくらい、このRE雨宮シャンテは時代を代表するスーパーチューンド、チューニングカーの歴史上、最も偉大なマシンなのです。

ということで、遅くなりましたがRE雨宮シャンテをプレイバックです!

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ブルーの雨宮レーシングカラーに、鮮烈イエローストライプのコイツを見てくれ!! これが、雨宮自動車のニューマシンだ。見て分かるとおり、コイツは今(81年)はもう作っていないマツダの軽自動車、シャンテだ。コイツの心臓は、12Aサイドポートチューンのロータリーエンジン!

以前に旧ファミリアにロータリーを搭載した怪物マシンがあったが、どうせやるなら軽けりゃ軽いほどいい、と考えた。ついに史上初の軽ロータリーが誕生したというわけ(そういえば、シャンテはマツダでも当初、1ロータリーを研究していたという噂だった)。

それにしても、考えつくのは簡単。誰でも思いつくが、実際に作るのは大変だ。大体、軽に12Aが乗るだろうか、なんて真剣に考える人はまずいないだろう。

「最初はね、ウチの若い衆(雨さんはスタッフをこう呼ぶ)が、仕事ばっかじゃツマラナイからってんで、遊び半分に作ろうってことだったんスよ。初めはナンバー付きでストリートで使う予定だった。でも、作って速かったらゼロヨンやろうか!って話になってね」。

で、買ってきたのが48年式の大古車、3万円のシャンテ。コイツをベースに、大手術を施すワケだ。

「別に苦労したところは無いね」と雨さんは言うが、そんなことはないだろう。大変な作業のハズだ。エンジンは12Aサイド。RX-7でお馴染みのストリートチューン仕様で、ウェーバー48φIDAとコーエイCDIレース用2個のセミチューン。馬力的には180ps前後だろう。

シャンテのエンジンルームはもちろん小さい。ロータリーを搭載するには、エンジンを載せるフロントメンバーも改造・強化しなければダメだ。

結局、RX-3のフロントメンバーをごっそり切り取って、シャンテのエンジンルームに溶接、ここにロータリーを搭載することにした。ミッションはもっとも小型の10A用を使用。それでもエンジンルームの前、ギリギリまで前進させて、やっと収まった。

ラジエターは昔のファミリア(プレスト)ロータリー用。エンジンルームから若干ハミ出てしまうので、フロントグリルの位置は5cmほど前にずらしてある。

プロペラシャフトはRX-7用を切り詰めて使用。このへんは13B搭載の改造で手慣れたモンだ。デフもRX-7用。ギヤ比は3.909だ。リミテッドスリップを買うと高いので、ノーマルのギヤを電気溶接し、デフロックとした。

ドライブシャフトはファミリア・ロータリー用だ。これはノーマルのまま使用している。サスペンションは、前後ともノーマルのまま。ただし、フロントショックのストラットはオイルバルブを加工して減衰力をアップさせた雨宮オリジナルに交換。リヤショックはなんと、セドリック用のカヤバ8段アジャスタブルに交換した。

なんとなく、サスはこのままでは不安なような気もしたというが、案の定、最初のテスト走行ではフル加速をするとリヤサス全体がホップしてしまい、前に進まなかった。

そこで、RX-7用のトルクロッドを追加。また、リーフスプリングとボディの間に、パイプとチャンネルで加工したリンクを装着して対策。これで、今のところ足まわりはOK。全開で踏み込めるようになった。

タイヤはフロントがノーマルホイールにダンロップの細いラジアル。リヤはゼロヨン用に13インチのスピードスターMKIに、ダンロップ・スリックをかませてある。

ボディ関係では、ダッシュボードや内装を取り去り、ミッションが収まるようにセンター部をアルミで製作した。ドアの内側は骨を切り取って軽量化してある。

トラストのバケットシートを付け、メーターはボディモノコックに直に穴を開けて装着した。

フロントバンパーを加工してオイルクーラーを入れ、エアダムを鉄板を加工して継ぎ足す。なんとなくユーモラスなシャンテの顔は、まるでドクロのような不気味な表情になった。ボディはもちろんオールペンしたのだが、このブルー&イエローのカラーは実はOPTIONのスペシャルデザイン。ストリートファイターらしい雰囲気が出ている。

簡単だった、なんて軽く言う雨さんだけど「クラッチは大変だったスね、そういえば。シャンテのクラッチはワイヤー式でしょ。あれ、油圧式に直すの苦労したっスね」と、ちょっぴりホンネももらす。いやいや、簡単なんてワケがない。想像を絶する作業なハズだ。

シャンテが引っ張り出される。そのあまりの小ささ、可愛らしさにしばし一同、絶句…。エンジンをかけたとたん、この小さな身体からストレート・エキゾーストの爆音が轟いた!!

巨大なF1スリックタイヤのように見える13インチのレーシングをホイールスピンさせ、転がるようにシャンテが飛び出す。コイツは速い! なにせ、車重600kgに180ps。パワーウエイトレシオは約3.3だ。ポルシェターボは敵じゃない。ヘタすると御本家RX-7ターボを凌ぐパワーバランスだ。

「そのうち、12Aペリを載せる予定スよ。そしたら速いだろうなぁ」。まったく、ウカウカしてられない時代になってきた。ボヤッとしてると軽に抜かれちまうゾ!!

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これが80年代、トップクラスに有名だった「RE雨宮シャンテ」です! 雨さんはいつの時代も「小さなボディにハイパワーエンジン」を頭に置いていると聞きます。それが、RE雨宮の真骨頂!

そのコンセプトを現在も貫く雨さんの姿は、いつお会いしても眩しく、ストリートも現役で走り回るそのパワーを我々若い衆も見習わなければいけないと、再確認するのです。そして次回は、その2として最高速仕様のRE雨宮チャンテをプレイバックします!

[OPTION 1982年1月号より]

(Play Back The OPTION by 永光やすの)

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