「なぜトヨタはポルシェに勝てないのか?」〜トヨタ・ガズー・レーシングWECル・マン24時間耐久レースへの挑戦

コラム Clicccar

去る5月29日(火)、今年6月17(土)~18日(日)にフランス・ル・マンのサルト・サーキットで開催される世界3大レースのひとつ「WECル・マン24時間耐久レース2018」に参戦するトヨタ・ガズー・レーシングの記者発表会が行われました。

そこで今年のトヨタ・ガズー・レーシング(以下トヨタ)の決意表明が行われたのですが、今年メーカー系ワークスチームでル・マンLMP1に参戦するのはトヨタのみ。トヨタは2014年にWECのシーズンチャンピオンには輝くも、これまで一度もル・マン24時間レースでの優勝は無し。つまりル・マンでの勝利はトヨタの悲願なのです。

2016年ではトップを快走していた#5号車がゴールまであと3分というところでまさかのスローダウン。私もそれまでLIVEで観ていましたが、勝利を確信し、歓喜の瞬間を共有しようと「メガウェブ」で開催されていたパブリックビューイングに行ったのにまさかの結末。結果は#5号車はリタイヤとなり#6号車が2位。その時は言葉を失い、関係者の方にはかける言葉も無く会場を後に帰宅の途につきました。

そしてリベンジすべくトヨタは翌年の2017年は3台体制でル・マンに参戦。予選でポールポジションスタートとなったトヨタ#8号車セバスチャン・ブエミ/アンソニー・デビッドソン/中嶋一貴組。ポルシェは2位スタートで、3・4位はトヨタ。ポルシェのもう一台は5位スタートとトヨタが圧倒的有利な状態。しかし24時間後、チェッカーを受けたのは5位スタートのポルシェ#2号車。そしてポルシェはレース終了後にル・マンからの撤退を発表。トヨタはル・マンで2度とポルシェと戦うことはできなくなってしまったのです。トヨタにしてみたら来年こそリベンジを、と気持ちを切り替えた矢先のポルシェの勝ち逃げに相当モチベーションにダメージはあったと思われます。それでも今年もル・マンに挑戦するのは「人と技術を磨きたい」ということに尽きると言います。確かにル・マンのような大舞台でのレース経験はレーシングドライバー、エンジニア、メカニック、チームにとって貴重な体験であることには間違いありません。そしてそこで鍛えられた技術をトヨタのクルマにフィードバックし「運転が楽しいクルマを作る」ために。

そして今年、トヨタが参戦する「LMP1」はトヨタ以外はプライベーターチームの計10台で争われます。とはいえ、去年トヨタはクラス2位を獲得するも、総合2位、3位はプライベーターチームが獲得したこともあり、今年はこれまで以上にトヨタにとって負けられないレースなのです。

そして私がどうしても気になるのは、

「なぜトヨタはポルシェに勝てないのか?」ということ。

今となってはポルシェはル・マンから撤退しているのでもう戦うこともリベンジすることもできませんが、今年の「ニュルブルクリンク24時間耐久レース」でトヨタはクラス優勝ではありますが、総合順位では147台中96位。しかしここでも総合優勝はポルシェ。クラスは違うとはいえやはり強い。それにしてもなぜポルシェがそんなに強いのか…「それがわかれば勝っている」という話ですが、その疑問の答えを見つけるため、いろいろな方にこのテーマで話を聞いてみました。

話を聞いたのは、GR(ガズーレーシング)モータースポーツ開発部 小島正清氏、GRマーケティング部長 北澤重久氏、モータージャーナリストの方などなど数名。

まずは記者会見内でも話していましたが「トヨタは速さはあるけど強さが無い」と。

そして北澤氏曰く「ポルシェは根っからのスポーツカーメーカー。ポルシェに勤めている1人1人が「勝ちたい」と強く思っているからではないでしょうか? トヨタは良くも悪くも大きな会社なので、全員がモータースポーツに対して同じ気持ちとは言えず、向かう気持ちは薄いのかもしれません。本来スポーツカーは楽しく走るものなのですが、トヨタはまだ力不足です。ポルシェはレース屋さんがクルマを作っている、その差ではないかと思います。トヨタは本当の意味で自分たちのスポーツカーを作るのはもう少し時間がかかるのかもしれません。そして、ドライバーは自分が乗ってみて本当に乗りやすいクルマを作れているかどうかも。たとえばWRCのマキネン氏はそういうクルマ作りをしているので、それがレースの結果に繋がっています。自分が乗りやすく、ドライバビリティが高く、フィーリングが合うクルマをつくればおのずと結果はついてきます。そのためドライバー目線をどれだけ取り入れられたクルマかどうかということではないでしょうか」とのこと。

そしてこれはほかの方から聞いた話ですが、どこのメーカーも開発陣は市販車のポルシェをバラバラにして分析しているそうです。それをみると1つ1つのパーツの手の加え方やクオリティの高さに「ポルシェは値段が高いという人もいますが、これを見たらむしろ安いぐらい」というほどしっかり作られているのだとか。しかも一旦バラバラにしたものを組み立てても、同じようなパフォーマンスが出ないというのです。そのあたりがひとつ、肝なのかもしれませんね。

ある方は「日本のメーカーがポルシェやメルセデスと圧倒的に違うのは、車体です。しかし、その中でトヨタも頑張っている」と。

また、ほかのある方は「トヨタとポルシェでは信頼性に関して、モノの考え方が違います。そしてレースをやり続けているので経験値も。ポルシェのGT3はあらゆるレースに出ているのでテータが山ほどあります。もちろんトラブルに対するデータも。最初からクルマの持っているポテンシャルが違うし、クルマの耐久性が違います。足回りなどにもっとお金をかけているし、材質そのものや加工などにももっと。しかしこれは意識改革をしなければできませんが、車体が本質的に違います。もともとのポテンシャルが違います。それは最新のプラットフォームにしても変わらず、そしてそれがなぜだか原因は未だにわかりません」。

と、いろいろ取材しても明確な答えはなく、ポルシェの強さは未だに謎。しかし、ポルシェにしかない経験値が強さの秘密のようです。そしてレースにかける強い思いと。これに関しては引き続き、取材をしたいと思います。

ちなみに「トヨタ・ガズー・レーシング」はル・マンに向けてアクシデントに対応する練習も行っているとか。加えてこれまでの経験と、レーシングドライバーはもちろん、エンジニアやメカニック、チームの総合力で今年こそはル・マンで総合優勝を!そしていつかポルシェと同じ土俵で戦う時、ポルシェに勝つ日が来ることを願っています。

吉田 由美

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