【週刊クルマのミライ】新型CR-Vが2モーターハイブリッドながら機械式4WDを採用したメリットとは?

コラム Clicccar

ホンダから新型CR-Vが発表されました。日本市場ではいったん販売が途切れていましたが、北米市場ではホンダの柱となるモデル。

マミーズカーと呼ばれることもある、クロスオーバーSUVのスタンダードモデルであり、ベンチマークとされているモデルです。

その5代目CR-Vの日本仕様には、非常に興味深いメカニズムが採用されています。それはハイブリッドに用意された4WDシステムです。

ホンダのハイブリッドカーにおいて、これまで4WDとしてはフィットなどコンパクトカーを中心に採用されている1モーター+7速DCTからなる「スポーツハイブリッドi-DCD」と、レジェントとNSXに使われている3モーター+V6エンジンの「スポーツハイブリッドSH-AWD」の2タイプとなっていました。

前者はハイブリッドの出力をプロペラシャフトを介して後輪に送るタイプ。後者はメインの駆動輪を1モーター+V6エンジンとして、もう一方を左右独立モーターで駆動するというものです。

しかし、新型CR-Vのハイブリッド4WDではいずれとも異なるメカニズムとなっています。

基本的なパワートレインの構成は、実質的にシリーズハイブリッドといえる2モーターシステム「スポーツハイブリッドi-MMD」です。これは発電用モーターと駆動用モーターで構成されていますが、その駆動力をプロペラシャフトを通じて後輪に送るという、いわゆる機械式4WDとなっているのが特徴です。

トヨタ・プリウスや日産ノートe-POWER、三菱アウトランダーPHEVなど似たようなハイブリッド系を持つ各車は、後輪専用モーターを使ったプロペラシャフト・レスのシステムとしていますが、ホンダはそうした他社の流れに乗らなかったということになります。

こうした判断はけっして天の邪鬼なわけではありません。明確なメリットがあります。

ハイブリッドの4WDにおいて前後の駆動モーターを独立させることはプロペラシャフトをなくすことができ、パッケージや軽量化の面でメリットがあるのは事実です。また、後輪モーターの出力を上げることで、前後の駆動力配分を50:50に近づけることもできますし、四輪を合計した出力では十分以上の駆動力を得ることも可能です。さらに前後の駆動力配分にしてもモーター出力をコントロールするわけですから、機械的につながっている方式に比べて、緻密に制御できるという利点もあります。

それでもプロペラシャフトと前後駆動力配分機構(新型CR-Vの場合は電動オイルポンプを使った仕組み)を組み合わせたシステムでは制御の可能性が全然違うといいます。

仮に前後の駆動モーターを同じ出力とした電動4WDとした場合フルパワーを発揮できるのは前後駆動力配分が50:50の場合に限られます。プロペラシャフトでつながっている4WDであれば前後の駆動力配分を70:30にしたり、逆に30:70にすることも可能ですが、独立モーターではどちらかの出力を絞るしかないので、50:30であったり、30:50であったりといった風になってしまいます。前後の合計が100にならないのです。

スリッピーな道での駆動力配分であればフルパワーを出す必要はないともいえますが、前後独立モーターの4WDにおいて駆動力制御を緻密に行なえば行なうほど車両として持っているパワーをフルに発揮できる機会が減ってしまうというジレンマがあります。

その点おいて、新型CR-Vが採用したようなプロペラシャフトによって前後を機械的につないだ4WDシステムは、ハイブリッドのパフォーマンスをフルに引き出せる領域が広くなることが期待できる、意味のあるシステムだといえるのです。

けっしてコストダウンのためではなく、CR-Vのハイブリッドとしてベストの選択をしたのが、「スポーツハイブリッドi-MMD」として初となる4WDシステムというわけです。

(山本晋也)

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