【初試乗】ニュル最速記録を飾った「ランボルギーニ アヴェンタドールSVJ」に驚異を見た!

コラム Clicccar

ランボルギーニ アヴェンタドール SVJ

アヴェンタドールSVJは、あの幻のランボルギーニ「J(JOTA=イオタ)」の血筋を引く限定モデル。アヴェンタドールSにパワーアップと軽量化を施しただけでなく、ウラカン・ペルフォルマンテでデビューした可変空力システムのALA(Aerodinamica Lamborghini Attiva)を採用することで、先ごろニュルブルクリンクで量産車最速タイムの更新に成功した、史上最強のランボルギーニである。

そのアヴェンタドールSVJにかつてF1ポルトガルGPが開催されていたエストリル・サーキットで試乗した。最初のセッションでは、インストラクターの勧めに従い、サーキット走行向きのコルサ・モードをチョイス。試乗スタイルはいわゆるカルガモ方式だが、今回はインストラクター車1台に対してメディア関係者が操る試乗車は1台と、きわめて贅沢なスタイルとされた。

ドライバーの背後に巨大なV12エンジンを積むアヴェンタドールは重厚なスタビリティ感が特色のひとつ。SVJの車重はアヴェンタドールSより50kg軽い1525kgと発表されているが、コルサ・モードのどっしりと重い操舵力と相まってアヴェンタドール特有の重々しい感触はSVJでも変わらなかった。

もっとも、プラス30psを上乗せして770psを発揮するSVJのエンジンは、吸気バルブをチタン製とすることでカムシャフトへの追従性を飛躍的に高めた結果、高回転域でも優れた充填効率を達成。このためトップエンドで炸裂するパワー感はドライバーに恐怖感さえ覚えさせるもので、言葉では言い表せないほどの迫力がある。そうした回転域で自然吸気V12エンジンがまき散らすサウンドは、ドライバーが正気を失いそうになるくらい壮絶でスピード感に溢れている。このエンジンフィールがアヴェンタドールSVJにとって最大の魅力のひとつといって間違いないだろう。

ステアリングを通じて得られる重厚感は単なる感触だけでなく、タイヤが路面をしっかり捉えることによって得られる安定感、スタビリティの面でも傑出している。エストリル特有の大きく回り込むコーナーでSVJのステアリングを切り込めば、わずかな操舵にも的確にノーズが反応してターンインを開始。リヤタイヤの圧倒的なグリップ感に支えられながら、ごく弱いアンダーステアの安定した姿勢を保ってコーナーをクリアしていく。

ここでいう、弱アンダーステアはスタビリティ・コントロールによって生み出されたステアリング特性といえる。そこからさらにプッシュすれば、ピレリPゼロ・コルサは軽いスキール音を発し、タイヤのグリップ力が限界に達しつつあることを知らせてくれるが、その際にもノーズの向きは安定しきっていて、SVJが描き出す走行ラインはほとんど影響を受けない。つまり、ドライバーが微妙なコントロールをしなくても、クルマが自動的に安定した姿勢を作り出してくれるのだ。このため、私程度のスキルの持ち主でも安心してタイヤの限界性能を引き出すことができる。つまり、ランボルギーニのパフォーマンスを満喫できるわけで、ここで得られる達成感や満足感は、スーパーカーファンにとっては至上の喜びといっていいだろう。

同じく大きく回り込む最終コーナーを立ち上がって短いストレートを駆け抜けていく。デジタルのスピードメーターが272km/hに達したところでフルブレーキングすれば、SVJはきれいな円弧を描いて1コーナーをクリア。試乗は2ラップ目に突入した。

こうして4ラップからなる第1セッションは難なく終わったが、正直、クルマにしっかりと見守られている印象が強く、本当の意味でSVJを御した征服感は得られなかった。そこで、次のセッションではサーキット走行向けのコルサ・モードではなく、ワインディングロード向けのスポルト・モードを選択した。このほうがスタビリティ・コントロールの縛りがゆるくなるほか、ステアリングのパワーアシストがいくぶん強まり、操舵力は軽くなる。私は、操舵力はやや軽めのほうが好み。なぜなら、そのほうが意のままに振り回せるように思えるからだ。

スポルト・モードで走った2セッション目は、最初のセッションよりもさらに積極的なドライブができた。明確なオーバーステアを引き出すのは難しいものの、スロットルのオン/オフやブレーキングの使い方次第では微妙に走行ラインをコントロールできる。実は、アヴェンタドールは重い12気筒エンジンを搭載しているためにヨーモーメントが大きく、さすがのスタビリティ・コントロールでも派手なオーバーステアを許容するのは困難だった。したがって、テールを大きく振り出す姿勢をとりたいのなら、スタビリティ・コントロールを完全にオフにするしかなかったのだ。

しかし、SVJは4WSと可変空力システムのALAを搭載したおかげでリヤのスタビリティが向上。このため、従来は不可能とされたシステム・オンでも弱オーバーステアを引き出せるようになったのである。

たとえば、ほとんど180度回り込むようなエストリルの最終コーナーでは、フロントタイヤに大きな負荷をかけたままクリッピングポイントにアプローチ。ここでスロットルペダルに込めた力をすっと抜けばリヤ荷重が減少し、リヤタイヤのグリップレベルが低下してノーズがストレートを真っ正面に見据える姿勢を整える。あとは満身の力を込めてスロットルペダルを踏み直せば、4輪を介して770psのパワーがアスファルトに伝えられ、それこそ脱兎のごとくの勢いでストレートを加速し、1コーナーへのブレーキングポイントでは1セッション目をわずかにしのぐ276km/hに到達。フルブレーキングを行ってから危なげなく1コーナーに進入することができた。

ここで印象的なのが、超高速域からのブレーキングでSVJが見せるスタビリティの高さである。これにはSVJのエアロダイナミクスが大きく貢献しているように思えた。

前述のとおり、SVJにはウラカン・ペルフォルマンテでデビューした可変空力システムのALAが搭載されているが、今回はさらに熟成されてALA2.0と呼ばれることになった。もっとも可変空力システムの原理そのものは、ウラカン・ペルフォルマンテのALA1.0とまったく同じ。フロントはリップスポイラー付近にフラップを設け、これを閉じればエアフローはボディ上面により多く流れてダウンフォースが増加するいっぽう、開けばその一部が下面にも流れ込んでダウンフォース、ドラッグともに減少する。

リヤは、ウイングの下面に細いスリットを設け、ここに気流を流す/流さないでダウンフォースとドラッグを制御する。ちなみにスリットから気流を吐き出せばウイングの上下面の圧力差が減ってダウンフォースとドラッグは減少。気流を吐き出さなければ逆に圧力差が増えてダウンフォースも増加する。さらにリヤウイングに設けられたスリットは左右独立してスリットの開閉を制御できるため、これを活用すればブレーキ・ベクタリングならぬエアロ・ベクタリングが可能。高速コーナーでは操舵量が減って走行抵抗が減少し、より高いコーナリングスピードを実現できる。

ALA1.0との違いは、リヤウイング内の空気の流れをより丁寧にコントロールすることで効率が改善されたのが主なポイント。さらに、ALA1.0ではコルサ・モードの高速域でのみ作動していたものが、ALA2.0ではストラーダ・モードやスポルト・モードでも一部速度域で作動するように改められた。

最後となる3セッション目、私はステアリング、パワートレイン、サスペンションを個別に設定できるエゴ・モードを選択した。ちなみに私の好みはステアリング=ストラーダ、パワートレイン=スポルト、サスペンション=コルサという組み合わせ。こうすると操舵力は軽く、スタビリティ・コントロールはコルサよりも利き方が柔軟になり、足まわりはもっともシャープになる。奇しくも、これはニュルブルクリンクで6分44秒97の最速タイムをマークしたときと同じセッティングのようだ。

3セッション目でもリヤの高いコントロール性を満喫した私は、深い幸福感に包まれてエストリルを後にした。V12エンジンの官能性と柔軟なハンドリングを得たアヴェンタドールSVJは、「猛牛」の歴史に新たな1ページを記したモデルとして長く記憶されることだろう。

REPORT/大谷達也(Tatsuya OTANI)

【SPECIFICATIONS】

ランボルギーニ アヴェンタドール SVJ
ボディサイズ:全長4943×全幅2098×全高1136mm
ホイールベース:2700mm
トレッド:前1720 後1680mm
乾燥重量:1525kg
車両総重量:2050kg
前後重量配分:43:57
エンジン:60度V型12気筒DOHC48バルブ
ボア×ストローク:95×76.4mm
総排気量:6498cc
圧縮比:11.8
最高出力:566kW(770ps)/8500rpm
最大トルク:720Nm/6750rpm
トランスミッション:7速SCT
駆動方式:AWD
サスペンション形式:前後ダブルウイッシュボーン(プッシュロッド式)
ブレーキ:前後ベンチレーテッドディスク(カーボンセラミック)
ローター径:前400×38 後380×38mm
キャリパー:前6 後4シリンダー
タイヤサイズ(リム幅):前255/30ZR20(9J) 後355/25ZR21(13J)
最高速度:350km/h以上
0→100km/h加速:2.8秒
0→200km/h加速:8.6秒
0→300km/h加速:24.0秒
CO2排出量(EU):452g/km
燃料消費量(EU複合):19.6リットル/100km
車両本体価格(予価):5154万8373円(税抜)

【関連リンク】
ランボルギーニ カスタマーセンター TEL 0120-988-889
https://www.lamborghini.com/jp-en

(GENROQ Web編集部)

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