【SCOOT 26B(RE) × S30】L型エンジンを撤去して4ローターNAユニットを搭載したフェアレディZに試乗!

コラム Clicccar

S30型のフェアレディZといえば、旧車の中で最も人気の高い車種のひとつ。そして、搭載されるL型エンジンのチューニングは今でも進化を続け多くのマニアを楽しませている。そのL型エンジン搭載車のライバルとされていたのがRX-7とロータリーエンジンの搭載車。当時はL型か? ロータリーか? どっちが速いのかと議論が巻き起こり、レースでもストリートでも多くの勝負が繰り広げられていたほどだ。しかし今回、稲田大二郎が試乗したマシンは、フェアレディZに禁断とも言えるロータリーエンジンを搭載、しかも搭載されているのは4ローターNAのペリ仕様というから興味深い。

稲田大二郎インプレッション!

ドライビングシートからの眺めはダッシュボードやボンネットなど、初代S30フェアレディZのソレに間違いない。

しかし、ベッ、ベッ、べっ、ウオーン、というエキゾーストノートは紛れもないロータリーサウンドだ。このサウンドはペリ、そうペリフェラルポートチューン。しかも、V12搭載のスーパースポーツにも引けをとらない整った高周波サウンドは、4ローターエンジンだからこそ奏でることのできるものだ。

ところで、この4ローターサウンドといえば、僕の中から消えることはない記憶がある。1991年6月のル・マン24時間耐久レースだ。

このル・マン24時間レースに勝つことは自動車メーカーにとって最大の名誉。787Bに搭載されたマツダの4ローターエンジンは、レギュレーションの都合でこの年で最後の挑戦となり、そこで見事に総合優勝という名誉を遂げた。日本の自動車メーカーでは初の快挙だった。当日、僕が早朝に目覚めた時、ル・マンの町のホテルの寝室にまで4ローターサウンドが響いてきたのに驚いた。まだ走っていた! そして優勝に向かって順位を上げていたからだ。とにかく感動のレースだったことは忘れられない。

その後時は流れ…スクートスポーツがストリート用に4ローターエンジンを開発したのは何年前のことだっただろう?

試作、製作から市販化には長い時間がかかったし、ストリート用として登録するための手続きにもさらに時間をかけた。しかし、今世界に流通する4ローター用パーツは、スクートのキットの開発があってこそ形になったもの。そして、当時デモカー(FD3S改)に搭載された4ローターエンジンを試乗して、股間から脳天まで気持ちいいサウンドに酔いしれたのはハッキリと記憶に残っている。

あの感動の4ローターのフィールをストリートで味わえることになるなんて、なんて凄いことだと心底感じたのだ。

そして、今回製作された車両はさらに変わり種…S30Z? 旧車人気抜群のS30Zで、しかも240ZのGノーズ仕様だ。この4ローターエンジンを搭載した車両がRX-7などのマツダ車じゃないところも、なんともおもしろい。自由な発想で作れるチューニンングカーらしくていいじゃないか!!

そしていざ試乗、と言ってもまだナラシ中ということで全開走行はしていないが乗った瞬間からこれまでのデモカーを越える感触。というのも、約1トンにという軽量ボディの初期型S30Zに500ps/50kgmという4ローターエンジンを搭載しているのだから当然の話。アクセルをハーフにしただけでも、マシンは甲高い雄叫びをあげながらグングンと進んでいく。

4ローターの大きなトルクはレシプロに換算すると3600ccともそれ以上とも言われるほど。大げさに言うとアイドリング回転でもスイスイ走るという印象だし、5速40〜50キロからでもブーンとどこまでも加速する。

ファイナルギヤが3.7というから7000〜8000rpmあたりまでまわせば、300km/hオーバーも楽勝だろう。

現在はまだ暫定仕様で、全開ができなかったし、スクートの小関さんが得意とする足まわりも市販品に手を加えていない状態。さらに、全開にむけてはエンジンなどの冷却対策もしていく必要もありそうとのことなので、細部まで仕上がったらもう一度試乗させてもらいたいな。もちろん全開で。

というわけで、4ローターNAエンジン搭載のS30Z、乗っていると軽くて素早い昔のRX-7(SA22C)が10倍くらい速くなって、しかも乗りやすくなって現代に甦ったみたいだ。

最近の速くても面白みのないスーパーカーよりも、少しクセがあってもこういうチューニングカーのほうがよっぽどおもしろいし感動する! そもそも、僕のクルマへの持論でもあるエンジンが命っていうのにピッタリとハマる、夢のあるチューニングカーと言えるものだしね。

時間をかけてテストと手直しを重ね、一昨年に晴れて保安基準に適合するマシンとしての登録が可能となった4ローターエンジン。

そんなスクートのオリジナル4ローターエンジンもストリート仕様として3台目となり、エンジンの製作から登録までの流れもスムーズに進むようになってきた。

しかし、3台目の搭載となった車両はスクートスポーツの小関さんも予測すらしなかったフェアレディZ、しかも当時ローターリー搭載車のガチのライバルでもあるS30Zで、依頼を受けた当初はかなり戸惑いもあったという。

とはいえ、L28のライトチューン車両を手に入れたがL型エンジンに失望した! というオーナーからの、以前乗っていたペリのSA22Cのような楽しいチューニングカーに仕上げたいという話を聞いて共感、異端児チューンドの製作に取りかかることとなったという。

搭載にあたって、S30Zのエンジンルームは比較的スペースが広く、4ローターエンジンは意外にコンパクトなため、レイアウトに関してはそれほど困らず決めることができた。ただし、オイルパンの位置が低くメンバーやラックなどを避ける形状で製作しなくてはいけなかったので、そのあたりには換装チューンならではの苦労もあったという。

もちろん、インマニやエキマニなど各部はスペースに合わせてワンオフするなど手間は通常のボルトオンチューンとは比較にならないほどかかっているのはいうまでもない。

製作の中で拘ったのはマフラー。車検対応&日常仕様レベルまで音量をセーブしながらも、美しい4ローターサウンドは強調したいとの思いで、レゾネーターつきで複雑なレイアウトのマフラーを製作、そのために燃料タンクの移設まで行ったという。

現在はまだナラシ中なのでクルージング程度の走行に留まっているが、ナラシが終われば1トン程度のボディに500psの出力というから、かなりスリリングなチューンドになることはまちがいないだろう。

PHOTO:Akio HIRANO

取材協力:スクートスポーツ

ベース車はオーストラリア仕様(右ハンドル)の昭和47年式。前期型のためボディが軽く、各種規制も最低限のためエンジン換装などのベースとしても保安基準に適合させることが容易。ちなみに、世界的に日本の旧車ニーズが高まりを見せているためベース車の価格も異常な高騰を見せている。純正のエアロチューンである240ZGスタイルに、オーバーフェンダーを組み合わせた定番スタイル。

13Bのハウジング&ローターを4個組み合わせ、オリジナルのエキセンを使って組み上げられた4ローターエンジン。吸排気ともにペリフェラルポートとされ、最高出力は530ps/7900rpm、最大トルクが50kgm/6900rpmとNAながら凄まじい出力を誇る。完全オリジナルのカスタムエンジンながら、排ガス試験などをクリアし合法的に市販車に搭載することが可能となっている。

エンジンマネージメントはVi-PECのV88によるもの。なんと、ベースプログラムが4ローターにも対応しているので、初期セッティングが非常に楽だという。

スロットルは戸田レーシングの50φ汎用品を4連装。ホンダ車などに多く使用されるタイプだ。もちろんインマニはワンオフ品。点火コイルはRX-8のコイルを流用している。

スペースの都合でオイルクーラーは水平マウントとして製作されたが、走行風の抜けが悪いためダクトの製作など一考の余地がありそうとのこと。エンジン搭載位置を低くするためオイルパンの形状確定には苦労したそうだ。ミッションはFD3S用を使用し、プロペラシャフトの加工でS30Zの駆動系に適合させている。

マフラーはワンオフ。実はそのレイアウト方法など製作の中でもっとも拘った部分のひとつだという。センターから2つのタイコに分岐し、途中にレゾネーターも組み入れることで消音/整音を行い音質チューニングを徹底しているのだ。メインパイプは80φでトルクと抜けのバランスを両立。エキマニは45φで長く等長にされた4-1構成。

マフラーのレイアウトを理想的に行うため、燃料タンクは室内に移設(安全タンク化)されている。現在は製作した隔壁がむき出しとなっているが、今後内装を製作するなことなどを検討しているという。元々の給油口は現在使用されておらず、左側Cピラーの元々エンブレムがある位置に移設されたタンク用の給油口を新設。

インテリアはS30Zとして極めてオーソドックスに仕上げられたもの。撮影用にフロントガラスにステッカーが貼られていること以外は、見た目からは4ローターエンジンの搭載はまったく感じさせない。

ホイールは懐かしのロンシャンRX-4。極太のリムを納めるため、通常の240Z用オーバーフェンダーよりも幅広のオーバーフェンダーを装着する。

ライトは現在を走るクルマらしくHID化を果たしている。

フェンダーに貼られているのは、構造変更など車両の登録に携わったスターダストファクトリーのもの。搭載する車両の排ガス規制年式にもよるが、現在では完全な合法仕様として4ローターエンジンを搭載したチューニングカーを製作することが可能となっている。

スクートスポーツ 小関さん

「イチバン最初に依頼があった時には、その禁断の組み合わせ…ホントにいいの?? なんて思いましたが、軽量ボディに積まれた4ローターのフィーリングは、ゆったり走るだけのナラシ中からじゅうぶん以上に味わえます。そして、今後全開できるようにしていくには、熱対策や駆動系の強化も必要になると思われるので、じっくり取りかかり完全な車両に仕上げたいですね」
web option編集部

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