メルセデス・ベンツ Aクラスセダンに見る、クリーンなディーゼルが大衆車に広がる難しさ【週刊クルマのミライ】

コラム Clicccar

メルセデスのラインナップでいうところのエントリーサルーン「Aクラスセダン」に、最新の2.0Lディーゼルを搭載した新グレード「A200d」が追加設定されることが発表されています。すでに予約は始まっており、納車時期は4月頃。メーカー希望小売価格は420万円(消費税10%込み)とアナウンスされています。

最高出力110kW・最大トルク320Nmという「OM654q」エンジンはフロントに横置きされ、8速DCTによってフロントタイヤを駆動します。すでにハッチバックのAクラスには設定済みですから、Aクラスセダンに搭載されることは既定路線で驚くことではありません。

とはいえ、あらためて日本市場で売られている乗用車としては他に類を見ない、最高の排ガス浄化システムを搭載した最新クリーンディーゼルの処理システムを見ていくと、クリーンディーゼルの進化はまだまだ続くと理解できると同時に、このままでは大衆車からはディーゼルが消えてしまうかもしれないとも思ってしまうのです。まずは、メルセデス自身の説明文を引用して紹介します。

排出ガスの浄化システムはエンジンに近接し搭載されたことで、排出ガスの温度 低下による浄化効率の低下を防ぐことを可能にしています。ターボチャージャーから 出た排出ガスは、まず酸化触媒へ送られた後、AdBlue®が添加されます。下流の sDPF(DPF with SCR Coating : 選択触媒還元法コーティング付粒子状物質除去 フィルター)で粒子状物質の捕集と窒素酸化物の低減を行った後、SCR触媒でさらに 窒素酸化物の処理を行います。
その後、新しく追加されたSCR触媒でさらに窒素酸化物 の低減を行うと同時に、余剰のアンモニアを処理するアンモニアスリップ触媒(ASC) を備えることで、運転状況が急激に変化した場合にもアンモニアが外気中に放出される ことを防ぐことが可能となりました。その結果、常に十分な量のAdBlue®を噴霧することが可能となり、窒素酸化物の処理能力を高めることに成功しており、日本市場 で販売される乗用車では他に類を見ない排出ガス処理システムとなっています。

この説明文だけでもターボチャージャーの下流に4つの触媒が配されていることが読み取れますが、ポイントは最後にアンモニアスリップ触媒(ASC)が装着されていることです。NOx(窒素酸化物)を処理するためにAdBlue(尿素水)を利用するのですが、メルセデスが説明しているようにAdBlueを噴射しすぎるとアンモニアがすり抜けてしまいます。それを防ぐためにAdBlueを少なめにして排ガス浄化を妥協するという手もありますが、ASCを搭載することでNOx処理に適切なAdBlueを噴射することができるというわけです。

メルセデスがすごいと思うのはエントリーモデルであるAクラス級であっても、妥協なくクリーンディーゼルを進化させている点です。こうしてメルセデスがコンパクトクラスにおいてもディーゼルのクリーン度についてハードルを上げていくと、法規的には求められなくても、ユーザーの期待値は同等レベルを求めるようになるでしょう。

しかし、他社のもっとアフォーダブル(手頃)な価格が求められるコンパクトカーのディーゼルエンジン搭載グレードにおいて、メルセデスと同程度のクリーンさを求められるようになると、それを実現するのは難しいと感じます。

そうはいっても、将来的にはディーゼルエンジンの排ガス処理の手段としてASCのような機能がマストになるでしょうし、コストが上がっていくことは否めません。ディーゼルエンジンについてはエンジン本体というよりも後処理のコストが車両価格に影響しているといわれて久しいですが、いま以上にクリーンな排ガスが求められるようになると、価格面で厳しいコンパクトクラスではディーゼルエンジンを積むことが難しくなってきそうです。

コンパクトクラスにおいて、スーパークリーンなディーゼルエンジンを積んでいることがプレミアム性の象徴となる。そんな未来がやって来るかもしれません。

日本市場でもっともクリーンといえるディーゼルエンジンを積むメルセデスA200d。メーカー希望小売価格は420万円から

(自動車コラムニスト・山本晋也)

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