自動運転中のながらスマホで大惨事!テスラ死亡事故から見る手放し運転の落とし穴

コラム Clicccar

2019年に話題を呼んだ日産のスカイラインやBMWの一部モデルに搭載された、高速道路での「手放し運転」機能ですが、今アメリカでは、自動運転中の『ながらスマホ 』による、ある死亡事故が話題になっています。事故の原因は「ドライバーとクルマのどちらにあるのか」について論争が起きているのです。

2018年3月にアメリカで起きたテスラ・モデルXのオートパイロット作動中の死亡事故により、事故の責任は「人かクルマなのか」が物議を呼んでいる

これに関し、米NTSB(アメリカ国家運輸安全委員会)は、2月25日に聴聞会を実施し、事故原因に関する調査レポートを発表しました。

事故は、2018年3月にカリフォルニア州マウンテンビューで起きたもの。テスラの電動SUVモデル「モデルX」のオートパイロット作動中に、ドライバーがスマホゲームをしていて事故に遭い、死亡したというものです。

EV(電気自動車)メーカーのテスラが販売しているSUVモデルがモデルXだ

現地大手メディアのFOX NEWS(フォックス・ニュース)によると、当時アップル社のエンジニアだったウォルター・ファン氏(38歳)は、オートパイロット機能を作動させたモデルXの乗車中に、スマートフォンでゲームをしながら高速道路を走行。州道への出口に繫がる分岐点のコンクリート分離帯に時速70.8マイル(約114.2km/h)で衝突し、他のクルマ2台も巻き込んだ大事故に。ファン氏は病院に搬送されたが死亡、遺族はテスラを相手取り事故責任に 関する訴訟を起こしています。

2月25日付けFOX NEWSの記事には、NTSBが公表した事故現場の生々しい写真も掲載された

NTSBによると、モデルXは事故当時、「高速道路の走行レーンと出口ランプの間の舗装エリア(分岐点)に向け左にハンドルを切った」ことが事故の原因であると発表しています。センサーなどが道路をきちんと認識できなかったかどうかは不明ですが、オートパイロット中に『勝手に』進行方向を変えようとしたようです。

一方テスラは、オートパイロットに関し、「あくまでドライバーの運転支援に使用されることを目的とした機能であり、ドライバーは(不測の事態などでは)常に運転に介入する準備をしている必要がある」と主張。つまり、オートパイロット作動中も、ドライバーは常に周囲の安全を確認し、いつでも自分が運転を代われるように準備していなければならないというのです。

NTSBは、こういったテスラの機能については認めつつも、「ドライバーが自動運転機能を過度に過信する危険性があるため、より強力なドライバー監視システムが必要である」ことを指摘。ドライバーがスマートフォンなどを注視するなどでよそ見をしたことをクルマが監視し、必要な場合は注意喚起などを行うシステムが不十分だったとしています。

テスラは、自社のオートパイロット機能は「ドライバーは、常に不測の事態に備え運転に介入する準備をしている必要がある」と主張する

この事例で分かることは、現在の自動運転システムは、クルマへ完全に「運転を任せられる機能ではない」ということです。

前述の日産スカイラインに搭載されたプロパイロット2.0や、BMWのハンズオフ(手放し運転)機能についても同様で、これらにはドライバーの視線監視システムが搭載されており、ドライバーがよそ見をすると警報などが出るようになっています。

日産スカイラインに搭載されているプロパイロット2.0は、視線監視システムを搭載

また、BMWのシステムでは、機能を高速道路の渋滞時に限定。テスラは、日本国内においてオートパイロット機能を封印するなど、まだまだ気軽に「手放し運転」ができる機能になっていないのが現状です。

BMWのシステムは、高速道路の渋滞時など使用条件をより限定している

「自動運転のクルマ」というと、ドライバーや同乗者は車内で周囲の道路状況を気にせず、映画やスマホを見たり、仮眠を取ったりなどで快適な移動を楽しめるといったイメージがあります(自動運転レベル2までは、「自動運転」としながらその責任はドライバーにあります)。

ですが、少なくとも市販車に搭載されているシステムについては、技術がそこまで進んでいないのが現状です。スマートフォンなどを使用した「ながら運転」については、2019年12月に施行された改正道交法で罰則が強化されましたが(違反点数と反則金を約3倍に引き上げるなど)、それ以前に「ながらスマホ」は、どんな高機能のクルマに乗っても現時点では「不可能」であることを認識することが重要です。

日産の最先端技術プロパイロット2.0においても、現在では「ながらスマホ」などはできない

警察庁の発表では、平成30年中に全国で発生した携帯電話使用等に係る交通事故件数は「2790件」で、過去5年間に約1.4倍の増加傾向だといいます。また、携帯電話使用等の場合には、使用なしと比較して死亡事故率が約2.1倍となっています。

特に、こういった先進機能は、得てしてその詳細を知らないと「なんでもできると勘違い」しがちです。前述のファン氏のように、ドライバーの「過信」が、取り返しがつかない事態にならないことを切に望みます。

また、自動車メーカーでも、便利な機能に関する「いいこと」ばかりを宣伝するのではなく、使い方を間違うことによる危険性や機能の限界に関する情報の公開・周知のさらなる徹底などを行って欲しいものです。

(文:平塚 直樹/写真:テスラジャパン、FOX NEWS、日産自動車、ビー・エム・ダブリュー)

【関連リンク】

NTSB
https://www.ntsb.gov/news/press-releases/Pages/NR20200225.aspx

FOX NEWS
https://www.foxnews.com/auto/tesla-driver-video-game-fatal-crash-ntsb

警察庁
https://www.npa.go.jp/bureau/traffic/keitai/info.html

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