マツダ100周年・未来を見据え、コルク製造からクルマづくりへと大転身!【マツダ100年史・第3回/全33回】

コラム Clicccar

ヨーロッパやアメリカそれぞれの地域で自動車産業やモータリゼーションが軌道に乗ったころ、日本でもひとつの自動車メーカーが生まれようとしていました。それがいまのマツダです。現「マツダ株式会社」は「東洋コルク工業株式会社」でスタート。社名が示すとおり、自動車とはまったく無縁の、コルクの製造で始まりました。1927(昭和2)年に2代目社長の松田重次郎が社名変更して機械製造に方向転換したことが、その後のマツダ足跡の呼び水となったのです。
第3回は、マツダの創業期を見ていきます。

マツダのルーツは、1920(大正9)年の「東洋コルク工業」にまで遡ります。
東洋コルク工業は、その名の通りコルク栓などを製造する会社として設立されました。初代社長は海塚新八でしたが、この時点で重役のひとり、後の東洋工業の実質的創業者となる松田重次郎が名を連ねています。
創業の翌年には海塚社長の体調不良により、松田重次郎が2代目社長に選任されました。重次郎は、コルク栓を製造する際に出てくる屑を圧縮コルク板として有効利用して事業の拡大を図ります。
圧縮コルク板は、当時冷蔵庫などの断熱材や絶縁体として、軍事用としては砲弾などを保管する際の緩衝材として多用されました。これによって東洋コルク工業は順調に業績を伸ばし、コルク業界でも確固たる地位を築きました。ところが輸入品の増大に加え、1923(大正12)年の関東大震災や工場火災などが重なり、一気に業績が悪化してしまいました。
これを機に、松田重次郎はかねてからの目標であった機械製造への進出を検討し始めたのです。

1920年(大正9)年当時の東洋コルク工業。

コルク事業の低迷を受け、東洋コルク工業は1927(昭和2)年に「東洋工業」に社名を変更しました。
松田重次郎は、もともとコルク事業だけ続けていたら将来はないと考えており、世界大戦前に始まった軍需の利益で技術と人、設備を着々と増強して、将来の自動車産業への進出に備えていました。
そしていよいよ機械事業に舵を切って業績復活を図ったわけですが、一気に方向転換するのではなく、社内に機械製造部門を新設した一方で、念のためにコルク事業は残しました。このときのコルク部門は、1944(昭和19)年に東洋工業から「東洋コルク株式会社」として独立、いまでは発泡スチロール製品を主力とするメーカーとして続いています。
さて、折しも日本は戦争に備えて軍備を強化していた時期。東洋工業は海軍工廠の第一次下請工場の指定を受けました。航空機のエンジンやプロペラ、軍艦といった精密機器の製造や、計測機器など大量の製造受注によって会社は急成長。利益も上がり、最新のフライス盤や旋盤などの工作機械を次々に購入、加工設備の充実も図りました。しかし、軍需に依存した受注生産ではその数量に波があり、自社では生産量をコントロールできないという課題が残りました。
このときも重次郎はさらなる将来のことを考えており、当時黎明期であった自動車の製造に注目していました。その裏付けを、社名変更の翌年には研究用のオートバイ2台を輸入したところに見ることができます。

松田重次郎。

東洋コルク工業の社長に就任するまでの略歴は下記に示したとおりですが、必ずしも順風満帆とはいえませんでした。ただし機械と新しい技術が大好きで、それを仕事にしたいという熱い想いは、一貫しています。

・1875(明治8)年、広島県安芸郡で誕生
・1888(明治21)年、13歳で大阪の鍛冶屋で働く
・1892(明治25)年、神戸の機械鍛冶屋で働くが、希望した機械作業ができず2ヶ月で退社
・1893(明治26)年、呉海軍工廠に就職するが機械が学べず、1年で退職
・1895(明治28)年、職人頭の養子となり、鉄工所を開業するもすぐに倒産
・1896(明治29)年から、長崎の三菱造船所、佐世保海軍工廠、大阪砲兵工廠と渡り歩き、当時最新の機械技術を修得
・1906(明治39)年、31歳の時に大阪で松田製作所を創業し、2年後に開発した松田式ポンプが大ヒット
・1912(大正元)年、第一次世界大戦によりロシアより大量の砲弾信管の注文を受け、莫大な利益を得る
・1917(大正6)年、幹部社員と袂を分かつかたちで会社を去り、広島に戻って広島製作所を設立
・1919(大正8)年、広島製作所を去り、東洋コルク工業の設立に協力
・1920(大正9)年、東洋コルク工業の重役に就任
・1921(大正10)年、東洋コルク工業の2代目社長に就任

(Mr.ソラン)

第4回につづく。

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第1章・自動車の発明とマツダの始まり
その1.自動車を発明した偉人たち(第1回・2020年7月1日公開)
その2.日米欧、自動車産業の幕開け それぞれの形(第2回・2020年7月2日公開)

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