【ロールスロイス ファントム シリーズ2 試乗】法悦の境地…金子浩久

[ロールスロイス]
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街でロールスロイス『ファントム』と擦れ違うと、その小山のように大きなボディに圧倒されてしまう。

なにしろ、全長は5.84m、幅1.99m、高さは1.6mもある。地面に占める割合は軽自動車の2倍以上もあるのだから圧倒されるわけだ。

2003年のデビュー直後、箱根の山道で運転して、その巨体から想像できない機敏な走りっぷりに驚かされたことがあるが、10年ぶりに改変が施されて「シリーズ2」となった。

主な改変点は、6速ATだったトランスミッションが8速AT化されたこと、フルLED化されたヘッドライト、フロントグリルやバンパーの造形が少し改められたことなどだ。他に、サスペンションや駆動系なども最適化されている。

改めて対面しても、圧倒される感覚は変わらない。ただサイズが大きいだけでなく、その孤高とも言える造形や仕上げなどが人を寄せ付けない。オーナーとゲストだけが無条件に歓迎される。

観音開きのドアを開けて車内に乗り込むと、さらに圧倒される。シート位置調整のスイッチがどこにあるのかわからない。ダッシュボードやドアなど、常識的にありそうなところにはない。なんと、上質な革が張られていたから肘掛けだと思っていたセンターコンソール先端部のその革のフタを開けた中にギンギラのクロームメッキされた大きなスイッチが鎮座していた。

ハンドルの細さ、メーターの意匠、ギアインジケーターなどはロールスロイスのデザイン文法に従っているが、現代のデザインに改めた方が機能的に優れるにもかかわらず、意図的に伝統的な造形と意匠をセルフサンプリングしている。MINIや『FJクルーザー』などと同じ発想だ。

エンジンは排気量6.75リッターV型12気筒ガソリン直噴。最大トルク720Nm。その4分の3が1000回転で得られ、そのトルク曲線はほぼフラットに3000回転まで続く。0-100km/h加速が5.9秒と発表されているから巨体の割には遅くない。

しかし、そのスペックが頭に入っていても、このクルマを速く走らせたくはならなかった。海に浮かんだ船を操っているような走行感覚だからだ。もちろん、船のようにハンドル操作やスロットル操作に一拍遅れてから車体が動き出すというわけではない。こちらの操作に対する反応は明確なのだが、路面から少し浮きながら走っているような感覚が独特なのだ。

外観の独特さ以上に運転感覚も非常にユニークだ。したがって、路面からの振動や衝撃などは皆無。フロントグラス越しの視界を確保するために前席よりも着座位置が18mm高くされた後席は極上質な革シートに包み込まれ、快適を通り越して法悦の境地にある。このクルマは後席に乗せられるに限るという僕の願いとは違って、イギリスでは運転手付きではなく自分で運転するオーナーの方が多いと輸入元の営業担当者は語っていたからそれも驚いてしまう。もっとも、ホイールを伸ばし、全長も6mを超える「ファントム エクステンディッドホイールベース」モデルはさすがに自分で運転する人はいないらしい。

いずれにしても、存在も内容もそして乗り味も、他のクルマからは二枚も三枚も大きく異なっていることは間違いない。したがって、他人と違うクルマに乗りたい人、贅沢を極めたい人には大いに勧められる。欲しい人が買うことだけで成り立っているクルマの究極だから、以下の星評価は成立しないも同然だ。くれぐれもご参考までに!

■5つ星評価
パッケージング:★★★
インテリア・居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★★★

金子浩久|モータリングライター
1961年、東京生まれ。主な著書に、『10年10万キロストーリー 1〜4』 『セナと日本人』『地球自動車旅行』『ニッポン・ミニ・ストーリー』『レクサスのジレンマ』『力説自動車』(共著)など。

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