【IAAE15】大破した R8 は直るのか…イタリア製の最新フレーム修正機の実力を再認識
国際オートアフターマーケットEXPOの会場内では、様々なリペア作業がデモ展示されていたが、中でも一際存在感を放っていたのがエムエスジャパンサービスのブースだった。イタリア、スパネージ社のフレーム修正機を3機も持ち込み、その修復風景をイメージさせていた。
筆者は知り合いの修理工場でこのスパネージ社のフレーム修正機を導入した際に、斬新な計測・修復システムを目の当たりにして驚いた記憶がある。
従来のフレーム修正機は、床に固定された油圧シリンダーと組み合わせることで潰れて変形したボディを引っ張り出すが、スパネージ社のボディ修復システムはリフト上ですべての作業が行えるようになっている。
しかもジグやクロスビームにはメジャーが刻まれており、車種毎に定められた位置のアンカーにジグを使ってリフトに載せるだけで、ボディの歪みや修正具合がミリ単位で読み取れるのだ。修正作業も油圧の掛け具合をメジャーで確認しながら行えるので、確実な作業ができる。
「これまでは経験や勘で行なっていた部分を完全に数値化しているので、作業が確実で時間効率が高いんです」と、エムエスジャパンサービスの田川営業本部長。
3次元測定器のTOUCHを追加することによりフレーム修正だけでなく、ボディや足回りのアライメント、さらにはホイールアライメントまで測定可能だ。
リフト上に載せられていたアウディ『R8』は、右側面を大破させていた。実際には全損扱いとなっているものなので、修理はしないそうだが、技術的には修復することは可能だろう。
ホイールアライメントも測定できるが、あくまでボディとの位置関係を確認するためのものなので、足回りに異常があるクルマのチェック用として活用するのが効率的なようだ。専用のホイールアライメントテスターを併用した方が、調整しながらの測定などは確実だろう。ここでも米国ジョン・ビーン製の最新のアライメントテスターを併用するシーンを再現していた。
軽量化と高剛性、衝突安全性といった要求をクリアするために、現在のモノコックボディは高張力鋼板の採用が進み、修復も難しくなっている。修理工場はフレーム修正機の導入は当然として、より効率良く修理するためには、こうした最新機器を導入することが理想的なのだと感じた。
- 高根英幸