【INDYCAR 第4戦】ニューガーデンが初優勝…苦境続く琢磨は17位
インディカー・シリーズ第4戦決勝が現地26日、米アラバマ州のバーバー・モータースポーツパークで実施され、ジョセフ・ニューガーデンがシリーズ初優勝を飾った。佐藤琢磨は17位。
1周約2.3マイル(約3.7km)の起伏に富んだロードコースを90周する決勝はドライコンディションでの開催、燃費的には原則3回のピットストップが必要になる。これにアクシデント発生等によるフルコースコーションが絡まり、各陣営の戦略が多様化する展開になってはいったが、この日のニューガーデン(#67 CFH Racing/エンジンはシボレー)の勝因には、とにかく人車とも絶好調であったこと、これを素直に挙げるべきだろう。
予選5位から1周目のうちに2位まで上がるなど、ニューガーデンと彼のマシンは終始、好パフォーマンスを発揮した。終盤を迎えた段階で5位を走っていたグレアム・レイホール(#15 Rahal Letterman Lanigan Racing/ホンダ)が上位陣では燃料的に余裕がある状況で、猛攻を見せた彼は最終的に2位まで上がるのだが、首位に立っていたニューガーデンには届かない。ニューガーデンの好調さがウイニングマージンをしっかり築いていた、ということになる。
とはいえ、最終的には3位だったスコット・ディクソン(#9 Chip Ganassi Racing/シボレー)、通算36勝のトリプルチャンピオンが4〜5秒の背後にいる展開だったこともあり、ニューガーデンは「僕がどれほどナーバスになっていたかは説明できないほどだよ。いつもはレース中、あんな精神状態にはならない」と、緊張がピークだったことをゴール直後に吐露した。
それらを克服しての、自身55戦目の嬉しい初優勝。「今、チームがとても充実してきている。だから、近いうちにこういう日が訪れることは分かっていたんだ。チームは勝利に値する」と、ニューガーデン(米国出身24歳)はともに戦った仲間たちを讃えながら勝利を喜んだ。
最終周にディクソンを抜いたレイホールが2位で、ホンダ勢最上位。3位はディクソン、4位にはウィル・パワー(#1 Team Penske/シボレー)が入った。5〜6位にはAndretti Autosport(エンジンはホンダ)のライアン・ハンターレイ(#28 )とカルロス・ムニョス(#26)が続いている。ポール発進のエリオ・カストロネベス(#3 Team Penske/シボレー)は15位。また、ファン・パブロ・モントーヤ(#2 Team Penske/シボレー)が今回14位ながら、ポイントランキング首位の座を守っている。
琢磨(#14 A.J.Foyt Racing/ホンダ)は今回も苦境だった。予選は20位。レース中にはピットアウトしてきたパワーにヒットされてスピンするなどのハードラックもあり(パワーにペナルティ)、展開のなかで一時はトップ10内に顔を出すなどしつつも、最終的には出走23台中17位というリザルトに甘んじた。
佐藤琢磨のコメント
「いろいろと難しい状況に直面しながらもゴールまで走り切れたことは良かったと思います。ピットアウトしてきたパワーにヒットされる不運もありましたが、彼はこちらがコーナーに完全に飛び込んでいたのに、全然見えていなかったようですね。横に並んだままコーナーを通過できるかとも思いましたし、接触を避ける努力もしました。しかし、避けきれませんでした。難しいレースではありましたが、チームメート(#41 J.ホークスワース=今回21位)と2台のマシンを走らせたことで、今日も私たちは多くを学びました。次の“インディ・グランプリ”でそれらを活用したいと思います」
3〜4月の序盤4戦を終えたインディカー・シリーズは、いよいよ“インディ500月間”の5月に突入する。世界3大レースのひとつであるインディアナポリス500マイルレース(インディ500、現地5月24日決勝)に向けての戦いは、以前ほどではないが期間的に長丁場の戦いとなり、その前哨戦的に開催されるのが次戦(シリーズ第5戦)「グランプリ・オブ・インディアナポリス」、琢磨の言う“インディ・グランプリ”なのだ。インディアナポリス伝統のビッグオーバルで戦うインディ500(シリーズ第6戦)の前に同地ロードコースでまずは一戦、というのが昨年からのインディ500月間の新構図となっている。
第5戦決勝は現地5月9日。琢磨にはここで苦境を脱し、3年前に優勝目前まで迫ったインディ500へ向けて調子と運気を上げていってもらいたいところだ。
- 遠藤俊幸