【ハーレー スポーツスター883R 試乗】軽快でエキサイティング、長くつき合える一台…青木タカオ
車名の末尾につく「R」はロードスターである証。
スポーツスターファミリーでは唯一となるフロントのダブルディスクブレーキや、ストローク量がたっぷりとある前後サス、そして2015年モデルで変更されたレーシンググラフィックがそれを物語っている。
12.5リットルの容量を持つ小振りな燃料タンクといい、フロント19/リア16インチのホイールサイズなどは、旧『XL883』を彷彿させるベーシックなもので、全体のシルエットは昔ながらのスポーツスターといったところ。
ローダウン化された兄弟モデルたちでは、バイクを大きく傾けるとステップがすぐに地面を擦ってしまうが、『883R』のバンク角は深く、ストレスを感じない。
狙ったラインを外さない従順なハンドリング、負荷がかかったところでしっかり踏ん張ってくれる足まわりのおかげで、コーナリングもエキサイティングだ。
熟成の域に達する空冷Vツインは極低回転域から充分にトルクフルで、発進時にクラッチを繋ぐときも神経質なところはなく半クラを必要としない。
街乗りでの常用回転域となる1800〜3500rpm はじつに扱いやすく、スロットルレスポンスも過敏すぎず程良い。
ハーレーの中では排気量の小さい部類になってしまうが、883ccといえば立派なビッグバイク。高速道路に上がれば5速3200rpmほどで100km/h 巡航を楽々こなしてくれる。
振り回せるサイズ感とパワーフィール、そして飽きの来ないスタイリングでいつの時代も愛されるスポーツスターのロングセラー。長くつきあえる1台として、ビギナーからベテランまで幅広い層にオススメしたい。
■5つ星評価
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★
コンフォート:★★★
タンデム:★★★
オススメ度:★★★★★
青木タカオ|モーターサイクルジャーナリスト
バイク専門誌編集部員を経て、二輪ジャーナリストに転身。国内外のモーターサイクルカルチャーに精通しており、取材経験はアメリカやヨーロッパはもちろん、アフリカや東南アジアにまで及ぶ。自らのMXレース活動や豊富な海外ツーリングで得たノウハウをもとに、独自の視点でオートバイを解説している。現在多くのバイク専門誌、一般誌、WEB媒体で活動中。
- 青木タカオ