【ルマン24時間 2015】600馬力の怪物 アウディ TT にファンの目が釘付け
アウディは6月13日に開幕したルマン24時間耐久レースのゲストハウスに、新型『TTクーペ』をベースとした2台の特別なモデルを展示した。1台はレース向けに開発された「TTカップ」、そしてもう一台は市販車をベースとしながらも、何と600馬力を発生するというスーパースポーツのコンセプト『TTクラブスポーツターボ』だ。
このTTクラブスポーツターボは、5月にオーストリアで開催された欧州最大規模のフォルクスワーゲングループファンイベント「Wortherseeツアー」で初公開されたコンセプトカー。このイベントでアウディが目玉として用意したのがTTクラブスポーツターボだった。
とにかく迫力のワイドボディが目を引く。オーバーフェンダー化されたTTカップとは異なり、ボディと一体化した幅広のブリスターフェンダーを採用したことで、レーシングカー的なワイルドさとは異なるアグレッシブさとスマートさを手に入れている。その力強さは『R8』並だ。
市販モデルに対し140mmワイド化され、全幅は1970mmにも及ぶ。このほか、大型化されたグリル、専用のフロントフェンダー、レーシングカーさながらのリアウイング、そして左側ドア直後に設置された排気口などが、ただものではない雰囲気を醸し出している。
さらなる注目はパワートレインだ。直噴2.5リットルターボエンジンは、通常のターボと電動ターボが組み合わせられ、その出力は600馬力まで高められているという。最大トルクは600Nm以上、これを受け止めるのはもちろんアウディ先進の4WDシステム「クワトロ」だ。軽量化技術も惜しみなく投入され、車重は1396kgに抑えられている。このことからも、その圧倒的なパフォーマンスが想像できる。
市販化を望むファンも少なくないだろうが、現在のところは残念ながら正式なアナウンスはない。
99年のルマン初参戦以来、16戦中13勝を飾ったアウディ。今回のレースでは6連覇をねらう。圧倒的な速さと高い技術力は、フランスのレースファンも虜にしている。このゲストハウスには新型R8の市販車にレース車両、ルマン本戦でも活躍するペースカーなどが展示されていたが、夜が更けても常に人だかりが絶えることはなかった。
- 宮崎壮人