【新聞ウォッチ】麻薬密輸容疑のトヨタ元女性役員不起訴へ、逮捕後3週間で幕引き
気になるニュース・気になる内幕---今日の朝刊(朝日、読売、毎日、産経、東京、日経の各紙・東京本社発行最終版)から注目の自動車関連記事をピックアップし、その内幕を分析するマスコミパトロール。
2015年7月8日付
●「新国立」工費2520億円承認、有識者会議、財源未定、10月着工(読売・1面)
●トヨタ元役員起訴猶予へ、麻薬密輸、地検、悪質性の低さ考慮(朝日・37面)
●スカイマーク説明会、再生案激しい応酬、最大債権者「第三極失う」ANA「運賃は関知せず」(毎日・6面)
●配偶者手当廃止へ、来年にもトヨタ「子ども」は4倍(毎日・6面)
●TPP日米事務協議あす再開、車の関税打開策焦点に(東京・7面)
●新社長、60歳以上が4割、上期、本社調査、ベテランを起用、手堅く(日経・12面)
●広報トップ職を早川専務が兼務、トヨタ(日経・12面)
ひとくちコメント
トヨタ自動車の元常務役員ジュリー・ハンプ氏が麻薬取締法違反容疑で逮捕されたのは6月18日のこと。それからの3週間、本人をはじめ関係者にとってはまさに針のムシロ状態のようだったが、東京地検が、不起訴(起訴猶予)とする方針を固めたことで、ハンプ氏は勾留期限のきょう8日にも釈放される見通しという。
7月7日付の読売が夕刊1面で報じたほか、きょうの各紙も社会面で大きく取り上げている。すでにハンプ氏は6月30日付でトヨタ自動車役員を辞任しており、経済面での関連記事は「早川茂専務役員が広報トップ職を兼務する」(日経)以外は見当たらない。
記事によると、これまでの調べに対しハンプ氏は「麻薬は父親から送ってもらった」と供述し、「腰やひざの痛みを緩和するために必要だった」と説明。捜査の結果、実際に痛みを伴う症状があることが判明したことからも「悪質性が低い」と判断。
さらに、逮捕後に自ら役員を辞任したことから社会的地位を失ったことなども考慮しての不起訴となったとみられる。ただ、識者のコメントには「社会的な制裁を受けたとしても、許される事件ではない。逮捕は当然だし、起訴されるべきだ」としている一方で、「悪質性は低く、逮捕は行き過ぎで、不起訴は当然だ」との見方もある。
いずれにしても、東京地検が不起訴としたことで3週間に及んだトヨタの「目玉人事」だった外国人女性役員のスピード逮捕劇は一件落着、幕引きとなる。だが、「真のグローバル化」への道が遠ざかったことで、大いなる反省と教訓を残した前代未聞の騒動であったことは間違いない。
- 福田俊之