【新聞ウォッチ】狙われたスズキ 、“物言う株主”米有力ファンドが株買い占め
気になるニュース・気になる内幕---今日の朝刊(朝日、読売、毎日、産経、東京、日経の各紙・東京本社発行最終版)から注目の自動車関連記事をピックアップし、その内幕を分析するマスコミパトロール。
2015年8月4日付
●サードポイント、スズキ株保有(読売・8面)
●企業広報大賞マツダを選出(読売・8面)
●成田新滑走路検討へ、国や千葉県月内にも協議会(朝日・7面)
●国内新車販売先月は7.6%減、前年比、軽の増税影響(朝日・7面)
●スカイマーク両再生案否決「迷走」も、ANA対デルタ、あす債権者集会(毎日・7面)
●軽2強とも最終減益、4〜6月期、増税で国内販売低迷(産経・11面)
●スズキ、経常益5%増4〜6月インド好調、国内不振補う(日経・3面)
●独ダイムラー、サービス企業へ脱皮着々、カーシェアやタクシー配車「移動手段」軸に新事業(日経・6面)
●タイ新車、富裕層頼み、消費不振でも底堅く、三菱自とトヨタ(日経・9面)
●ニュース一言、アウディジャパン大喜多社長(日経・13面)
●ホンダ株、一時10%高リコール費用吸収、増益発表で見直し買い(日経・15面)
ひとくちコメント
新体制に移行したばかりのスズキに株式投資をめぐる厄介な問題が浮上してきた。ソニーやIHIなどの日本企業に投資し、「物言う株主」として知られる米国の有力ヘッジファンドの「サード・ポイント」が、スズキの株式を取得したという。保有の株式数や取得金額は明らかにしていないが、投資家向けの書簡で表明している。
週明け8月3日のスズキ株は一時前営業日比4.7%高の4525.5円に高騰。出来高も増えて年初来高値を更新するなど、自動車株の中では出遅れていたホンダ株とともに急伸した。ヘッジファンド関連で大量の買い占めがあったものとみられる。
きょうの読売などが取り上げているが、サード・ポイントは書簡でスズキのインド子会社マルチスズキがインドの自動車市場で優位にあり今後も伸びることが期待されるが、スズキの株価には十分反映されていないと指摘。
また、独フォルクスワーゲン(VW)との資本提携の解消をめぐる係争にも言及。スズキの株主は利益を極めて控えめにしか享受していないなどと「市場で過小評価されている」との見解を示したという。
「一難去ってまた一難」と言いたいところだが、鈴木修会長にとって懸案のVWとの係争も未解決のままで社長のポストを長男の俊宏氏に譲ったばかり。隠居どころか、こんどはしたたかな物言う株主との“神経戦”を繰り広げることになりそうだ。
- 福田俊之