メルセデス車のリベットを「外して再び打つ」…海辺にひっそりとある指定BP工場の技
リベット7月31日に公開されたメルセデス・ベンツ日本の部品・リペア・トレーニング拠点「習志野事業所」(千葉・習志野)。ボディを固定するリベットを「外して再び打つ」という作業「X Press 800」を見た《撮影 大野雅人(Gazin Airlines)》
習志野の海辺に、アルミニウムボディのリベットを打つ音や、極超高張力鋼板を専門工具で削る音が響き渡る。メルセデス・ベンツ日本は7月31日、部品・リペア・研修などをつかさどる習志野事業所を公開。「メルセデス車は、その専門の板金塗装技術を持つ指定工場へ」と訴えた。
同社は、正規販売店指定板金塗装工場(BP工場)を3つのランクで分けている。一般的な外板修理や交換、フレーム修正を実施する「レベル1」、それにアルミ・ハイブリッドボディの修理(接着・リベット)を加えた「レベル2」、さらにアルミニウム溶接を加えた「レベル3」だ。
このレベル3の指定BP(Body & Paint)工場は、全国に北海道・関東・中部・関西・福岡エリアに10か所あり、アルミボディ専用ベイや、アルミニウム構造材溶接士資格が整えられている。
同社は「メルセデス車が大破したさいは、専用修理ベイやダイムラー指定フレーム修正機(CELETTE、CAR BENCH、CAR-O-LINER)、引っ張り力2万N以上のリベッター、専用のスポット溶接機などを備える正規販売店指定板金塗装工場へ」という。
この日、リベットまわりの修理における、パンチングアウト(リベットはずし)、バックシェービング(母材の下地クリーン)、キャリブレーション(穴の再成型)、再リベット打ちという流れが公開された。「サイドパネルを交換するにあたり、50個以上のリベットを外して再び打つという、地道な作業が続く」とスタッフは話していた。
また、メルセデス車には「ちょっとやそっとじゃ変形や加工ができない固さ」(同社)の極超高張力鋼板をBピラーなどに採用している。同社は「この固い素材が変形するほどのアクシデントに見舞われたさいは、専門技術者による適正な修理が必要。塗装も同じ。5層構造の塗装膜は、STANDOX、R-M、PPG、sikkensなどのダイムラー指定塗料を使う指定工場でリペアしてほしい」とも話していた。
- 大野雅人