ホンダ、リハビリ患者の運転支援活動で奮闘…収益度外視でノウハウを提供

業界 レスポンス

ホンダは12月5日、埼玉県川島町のホンダ交通教育センターで脳梗塞などで手足に麻痺が残るリハビリ患者が、運転できるようになるための講習を報道陣に公開した。しかし、その普及にはいろいろと苦労しているそうだ。

ホンダは「安全なクルマをつくるだけでなく、その正しい乗り方や知識も提供する必要がある」という本田宗一郎氏の考え方のもと、1970年に安全運転普及本部を設立した。同時に障害者でも運転できるようにとさまざまなサポートを進めてきた。例えば、ハンドルに取っ手がついた「テックマチックシステム」を搭載したクルマを世に出してきた。そのほか、リハビリテーション向けの運転能力評価サポートシステムやそのシミュレーター、運転再開支援のための安全運転プログラムなども開発した。

これまでにシミュレーターを173カ所のリハビリセンターや病院に納入、また全国7カ所のホンダ交通教育センターで212人のリハビリ患者に安全運転プロクラムの講習を行ってきた。しかし、安全運転普及本部の関係者によると、脳障害によって手足に障害が残る人がハンドルを握って公道を走れるようになるにはいくつものハードルがあるという。

まず医師から運転してもいいという診断書をもらった後、運転免許試験場で臨時適性検査を受け、それに合格してやっとハンドルを握ることができる。ところが、患者の運転能力を判断できる医療機関は全国でも少なく、運転をあきらめている患者もいるという。そもそもリハビリ患者が運転を再開できることさえ知らない人も多いそうだ。

この日に講習を受けた東京都北区の関根義寛氏(57歳)もその一人。脳梗塞で左半身に麻痺が残るため、板橋区のリハビリテーション病院に通っていたところ、院内でホンダのシミュレーターを発見した。そこで、病院関係者に話を聞いたら、リハビリ患者でも臨時適性検査に合格すれば運転を再開できることを知り、ホンダ交通教育センターで講習を受けることにした。講習では横に乗った指導員の指示に従って、取っ手のついたハンドルを右手で操っていた。講習は50分で5000円だ。

ただ、都道府県の各公安委員会の対応にも大きな違いがあり、提出する診断書の形式もまちまちだという。「リハビリ患者の運転再開に非常に熱心な公安委員会もあれば、そうでないところもあります。また、担当者の異動が激しく、担当者によって対応が大きく異なるんです」と安全運転普及本部の関係者は打ち明ける。

現在、脳梗塞などで体に障害が残る人は全国で50万人ほどおり、これからその数はさらに増えると見られている。ホンダでは今後、シミュレーターの導入を全国のリハビリセンターや病院に積極的に働きかけていくと同時に、全国の教習所にも運転再開支援プログラムの導入を働きかけていく計画だ。「社会活動の一環として、収益を度外視して進めていく」(安全運転普及本部)そうだ。

  • 山田清志
  • ホンダが行っているリハビリ患者の運転再開支援講習の様子《撮影 山田清志》
  • ハンドルに取っ手などテックマチックシステムが搭載されたクルマ《撮影 山田清志》
  • ホンダが病院などに納入しているシミュレーター《撮影 山田清志》
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