【ホンダ PCXエレクトリック】EV-CUBはどうなった? 2018年量産化予定
ホンダは原付二種バイク『PCX』をベースにした電動バイク『PCX ELECTRIC』(PCXエレクトリック)を企業や個人事業主、官公庁を対象に11月30日からリース販売を開始すると発表した。
PCX ELECTRICは東京モーターショー2017で、ベース車両の新型『PCX』、ハイブリッドモデルの『PCX HYBRID』とともにPCX3兄弟として初披露され、その際の「2018年に日本を含むアジア地域で発売予定」とのアナウンス通りに、今回の販売開始となった。
だが、そこからさかのぼること1年10か月前の2016年2月に行われた会見でホンダの八郷隆弘社長は「電動二輪車の『EV-CUB Concept』をベースに量産化した『EV-CUB』を、2年後をめどに日本で発売する」と表明している。
PCX ELECTRICは予定通り販売が開始されるが、EV-CUBに関しては販売される気配が今のところない。PCX ELECTRICとEV-CUBはともに電動二輪車ではあるが、明らかに似て非なるもので、2016年2月に「2年後をめどに日本で発売する」としていたEV-CUBはどうなっているのか?
PCX ELECTRICの開発責任者を務める本田技術研究所の三ツ川誠主任研究員に、EV-CUBのことを聞いたところ「もともとEV-CUBをやれと言われていた」との答えが返ってきた。さらに「その時点で着脱バッテリーを載せて造ろうということが社内的にすでに決まっていた」とも明かしてくれた。
しかも「出力はバッテリーで決まってしまうので、東南アジアにも出していくためにはバッテリーを2本積む必要があり、カブのスタイルで果たしてできるのかというのは、やはり社内でも議論がでた」という。
ちなみに今回リース販売が開始されるPCX ELECTRICは、航続距離を確保するために重さ約10kgの48V着脱式バッテリー2個をシート下に搭載している。
「お客様も非常にカブのことを大事にして下さっているし、我々もカブのことは大事にしている。バッテリーを2本載せて果たしてカブのスタイリングを維持できるのかということを考えた時に、今無理してカブにこだわって何か壊してしまうより、東南アジアでも馴染んできている新型PCXを電動化したほうが、お客様に喜んで頂けるのではないかということで、今回あえてカブという選択からPCXを電動化することに変えた」と三ツ川任研究員は経緯を語る。
ではEV-CUBはお蔵入りになってしまったのかと聞いたところ、三ツ川主任研究員は「検討は引き続き進めている」としながらも、「バッテリーパックをカブのどこに積むのかというのはやはり難しい。一方でモーターショーに出品した形がEV-CUBのすべてかというと、それはまたそれで議論すべきと思うところがある」とも語っていた。
- 小松哲也