【スーパーフォーミュラ 鈴鹿テスト】初日トップはホンダ期待の若手のひとり福住仁嶺、唯一の1分36秒台…でも「今回は内容が大事」
5日、スーパーフォーミュラ(SF)鈴鹿テスト初日の午前午後総合トップタイムはホンダ系の新進気鋭、福住仁嶺(にれい)がマークした。DOCOMO TEAM DANDELION RACINGの6号車を駆り、この日唯一となる1分36秒台を記録している。
ドライコンディションに恵まれた初日は、午前が2時間、午後は2時間40分(10分延長)というかたちで、計4時間40分の走行セッションが行なわれ、21人のドライバーがコースインした。SF実戦経験のないドライバーもいれば、今季レギュラー陣もチーム内でマシンを乗り換えたり、あるいは他チームのマシンに乗ったりと、非常に“変化量”の大きなラインアップによるテスト初日であったといえよう。
そのなかで午前午後総合のトップタイムは、DOCOMO TEAM DANDELION RACING(エンジンはホンダ)の6号車に今回搭乗の福住仁嶺が午後にマークした1分36秒912だった。この日唯一の36秒台となっている。
福住は今季、TEAM MUGEN(ホンダ)でSFを4レース戦ったホンダ系期待の若手のひとり。F2との掛け持ち参戦だったためSFへの全戦参戦はできなかったが、周辺状況から考えて来季はSFに初のフル参戦となる可能性が高いと見られている。なお、この日のベストは今季18年仕様のソフトタイヤのニュー(新品)で出したもの、とのことだ。
「もう少し詰められたところもありましたけど、そのあたりはデータを見て、明日に活かせたらと思います。ただ、まわりもいろんなことをしているなかですし、今回はタイムや順位は気にしていないんです。もちろん、今年は“1位”というのがなかったので、気持ち的には上にいることはいいですけどね。大事なのは内容、今回やるべきメニューをしっかりこなすことだと考えています」
質実剛健な談話を語る福住、来季フル参戦となれば「きちっとした結果を出す、それが僕のするべき仕事だと思っています」。ホンダ系の若手として、F1も意識した決意だろう。明日のパフォーマンス(と内容)も楽しみである。
同じく今季をMUGENで戦い、チャンピオンとなった山本尚貴も今回はDANDELIONからのテスト参加で、5号車に搭乗、1分37秒475がベストで総合3番手だった。また、山本とマシンをスワップする格好になっている野尻智紀はMUGENの16号車で1分37秒816がベスト、総合9番手。
午前のセッションでハリソン・ニューウェイがドライブしたB-Max Racing team(ホンダ)の50号車は、午後はルーカス・アウアーにドライバー交代した。ピットにはハリソンの父、F1界の有名技術者であるエイドリアン・ニューウェイ氏も到着したが、SFでの息子の走りを直接に見るのは明日の2日目ということになりそうだ(タイミング的に初日のハリソンの走りは見ていないものと思われる)。
ちなみに初日午後に50号車をドライブしたアウアーは、日本でも知名度の高いF1優勝経験者ゲルハルト・ベルガー(1987&91年日本GPウイナー)の甥にあたるドライバーで、こちらも血筋的有名度は高めである。アウアー自身はDTMに参戦するなどしてきた。1分39秒648で初日総合17番手タイム。
セッション終了後には“新顔”の海外勢たちが会見に参加し、世界最速量産フォーミュラカーともいえるSF14のインプレッションについて語った。ダウンフォース発生量の大きさとエンジンのパワフルさには一様に感動しており、あわせて鈴鹿サーキット、特にコース前半部分の高速スラローム区間への感嘆を口にしている選手が多かった。
ただ、さすがにタイム的には新顔勢は苦戦。しかし新顔(実戦未参戦)のなかでも全日本F3参戦経験があり、SFテストにも1年前に参加した経験があるアレックス・パロウは、常にタイミングモニターの上位につける健闘を見せた。TCS NAKAJIMA RACINGの64号車をドライブし、ベストタイム順位でも総合6番手。昨年のテスト参加時も好パフォーマンスを発揮していたパロウ、今回さらなる好印象をチームやパドックに与えており、即戦力ルーキーとしての起用に期待がかかるところとなってきた。
2日目(最終日)となる明日6日は、午前8時30分〜11時と午後2〜4時、2回の走行セッションが予定されている。
- 遠藤俊幸