ホンダ電動バイクとソフトバンク通信技術がタッグ、「宮古カレン」ねらいは“体験の提供”
ホンダやソフトバンクが宮古島で電動バイクを走らせる。そのねらいは“体験の提供”だ。運営するカレンスタイルの松良代表取締役社長はこう説明する。
「二輪レンタル事業“宮古カレン”は移動手段を提供するのではなく、宮古の魅力を感じていただく“体験”を提供しようというサービスです。宮古島というのは自然豊かで、電動バイクなら花や風の香りをそのまま感じることができます」
宮古カレンは、宮古島のアクティビティとして電動バイクをレンタルするサービスで、2019年3月6日から株式会社カレンスタイルが提供を開始する。電動バイクにはホンダ『PCXエレクトリック』が選ばれた。
◆バッテリー交換も待ち遠しい!?
ホンダはPCXエレクトリックに珊瑚をあしらった専用デザインを施し20台を用意。さらに70個のバッテリーパックと充電器を配備し、ヘルメットやグローブ、ウエアも準備した。また、車両メンテナンスのための支店、万一のためのロードサービスを用意している。
キャッチフレーズは“OVER THE BRIDGE”。宮古島では隣接する3つの島(池間島、伊良部島、来間島)に対し、3つの大きな橋が架かり、PCXエレクトリックで渡るという体験を推奨ルートとしている。
すべての島を周遊して巡ると走行距離は100km近くになり、1充電あたりの走行距離41km(60km/h定地走行テスト値)のPCXエレクトリックだと、バッテリーの充電が2〜3回は必要となってくる。
宮古カレンでは、充電ではなくバッテリーをスピーディに“交換”できる「バッテリー交換ステーション」を観光ルート上に16ヶ所も用意。いずれもカフェや食堂、土産屋で、利用者はティータイムや食事、ギフト購入などを楽しみながら、ついでにバッテリー交換ができる。
◆“見守る”ために車両データをリアルタイムで収集
また、ソフトバンクの移動体通信網に、車両に搭載された通信ユニットがつながり、位置情報や走行距離、速度、バッテリー残量などの車両データをリアルタイムで管理者側が遠隔監視し、なにかアクシデント(万一の転倒、充電切れなど)があったときに即座に対応する。
ソフトバンク株式会社ITサービス開発本部CPS事業推進室室長 山口典男博士(システム情報科学)は「利用者に何らかの情報を送るということはなく、どちからかといえば“見守る系”です」という。ユーザーが快適に利用できるよう万全を期した。
収集したデータについて本田技研工業株式会社二輪事業本部事業企画部部長 三原大樹氏は、「今後の電動バイクの開発に活かしていく」と話した。
◆タンデムでの利用も視野に
じつはこの3社、電動スクーター「EV-neo」(原付1種)を利用したパーソナルモビリティレンタルサービス「瀬戸内カレン」(2016年3月〜、香川県小豆郡・豊島=てしま)で、すでに実績がある。
豊島もまた自然豊かで、環境負荷の少ない電動バイクをレンタルに利用した。島は全周約20kmと小さく、1充電走行距離34km(30km/h定地走行テスト値)の「EV-neo」でも問題なかったが、より広い宮古島ではPCXエレクトリックを導入し、タンデムでも利用できるようにした。
走行可能距離が長いだけでなく、最高出力も3.8PSのEV-neoに対し、5.7PSとパワフル。お土産など荷物も積めるようトップケースを備え、タンデム時にはそれが背もたれになって安心感がある。
利用料金は12,960円/日(消費税8%込み)で、保険や装備一式のレンタルなどすべてを含む。前日17時までに「宮古カレン」のホームページで予約し、PCXエレクトリックは常設されるホテル(3か所)か、配車可能なホテル(4か所)から乗り出し返却すればいい。
- 青木タカオ